ポール・コリアーの4つの罠は、サブ=サハラ・アフリカ理解の重要な視点だが、これに追加的な学びを加えねばならない。貧困の最大の原因である農業の問題。植民地時代に良い土地を商品作物のプランテーションに取られたサブ=サハラ・アフリカでは、悪い土地で主食となるメイズや雑穀の生産を行うことになった。灌漑農業ではなく天水農業を今だに行っているので土地生産制が低い。これは、学院の図書館で借りてきた『シリーズ地域研究のすすめ② ようこそアフリカ世界へ』(遠藤貢・坂本拓人著))の第7章「経済と開発」(出町一恵)に詳しい。緑の革命が取り組まれた時代、1950年代にはケニアやジンバブエでも穀物生産が押し上げられたが、多くの国では80年代に経済停滞が起IMFの構造調整プログラムに飲み込まれ、関税引き下げ、公営企業の民営化とともに、政府支出削減の一環として農業分野の肥料補助金が廃止されたりして、農業の近代化が遅れたことも大きい。さらに、主食の慢性的な不足から、商品作物で得た外貨はその補填に使われている。
若者をは農村から都市へと移動したが、雇用がなくインフォーマルセクターとしてその日暮らし医を強いられる。3度のアフリカ行で、いやというほどインフォーマルセクターの実態を見てきた。彼らの収入は、当然課税の大正とはならないので、政府の税収は拡大しない。このインフォーマルセクターの存在も貧困の原因として大きい。
これに帝国主義が、多民族社会を無視して引いた国境線によって、国民国家的なまとまりがないことも重要である。これらの学びを追加して、ダイヤモンドランキングを行うことにした。
最大の懸念は、サブ=サハラ・アフリカといっても国によってかなり違う。必要な政策を思考しランキングするのに、ステレオタイプはない。たとえば南スーダンやサヘル諸国なら紛争の罠をまず解決する必要がある。治安に問題がない国も多い。そこで、生徒自身に対象とする国を選んでもらうことにした。対象国を自ら詳しくリサーチする必要が生まれるが、それも重要。但し、HDIの上位にある国(モーリシャスや南ア、ボツワナ等)は対象国から省くことにした。
さて、その政策群は、以下のとおり。①軍・警察の充実、②政権の民主主義化(王政打倒)③デモクレイジーの打倒(クーデター等)④腐敗を監視するマスコミの確立⑤税制の確保⑥金融・商法などビジネス環境の整備⑥海外企業の誘致⑦世界銀行・IMFの融資を受ける⑦欧米や日本の融資を受ける⑧海外への移民を奨励しGNIを増やす⑨鉱産資源の国有化⑩新たな鉱産資源の開発⑪観光資源の開発⑫交通インフラ(道路等)の整備⑬発電所上下水道などの生活インフラ整備⑭公共交通システムの整備⑮スマホなどの通信設備の整備⑯デジタル化の推進⑰灌漑で農業の生産性を増やす⑱肥料の使用で農業の生産性を増やす⑲初等教育の充実⑳高等教育(大学・職業教育)の充実㉑保健医療の充実㉒環境問題への対応
②はこれはエスティワニ王国のみに該当する。⑥⑦はそれぞれ厳しい条件がつく。⑧はディアスポラとなった自国民からの送金を期待すること、GNIは海外送金も入る。これと関連しているのが⑮⑯である。今や海外からスマホで送金可能な時代になっている。
サブ=サハラ・アフリカの様々な国に対応する政策となれば、これくらい政策の種類が多くなってしまったのだった。生徒諸君には、それぞれその選択理由を書いてもらう。かなり難しい提出課題になってしまったが、仕方がない。



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