総合科目の授業のほうは、EJU対策の範囲を既に終えて、過去問題や模擬問題を学生に配布して、その解答をずっとやっている。今年は公民分野のみを受け持ったわけだが、教師というのはいくら歳を重ねても進化していくべきものだと思う。高校の政治経済分野もこれまで何度も担当した。ベーシックな経済の教科指導はもちろんできるけれども、自分の学びというか、興味をそそられる分野もこっちにきて新たに生まれてきた。それが、「国債」である。当然ながら、私は「国債」を購入したことなどないし、教科書上の理解しかなかった。しかし、日本はGDPの2倍以上の国債を発行しており、世界一の借金を抱えていること、現在のアベノミクスが国債の価値を一気に下げる可能性があり、日本が破綻する危険があることなどを知るにつけ、「国債」についてはもっと学ぶべきだと考えていたのだ。
昨日、またまた日本人会の無人古本コーナーに、新しい書籍が入っていた。「国債の歴史~金利に凝縮された過去と未来」(富田俊基著/東洋経済新報社・2006年6月発行)である。2006年度の日経・経済図書文化賞受賞と帯に書かれていた。定価はなんと6000円。これが、RM10(=270円くらい)で売られていた。(RM1が古本コーナーの基本原則なので、ここでも特別扱いである。)
冒頭にある「はじめに」を立ち読みしたのだが、すぐに引き込まれてしまった。
国債の歴史は議会とともに誕生したこと。絶対王政の時代は国王の借金は、元本も金利もきちっと支払われなかったし、国王の寿命が尽きた後後継者は借金を踏み倒すこともできた。しかし議会は恒久的な機関で、その決定から国民は逃れることは出来ない。故に信用力が高く、国王よりも低い金利で借金ができた。イギリスでは、名誉革命で国債が誕生した。国王は国債の発行の際は議会の承認が必要になったし、利子を生み出す恒久的な税を設定するよう議会が要求した。これによって確実な利払いが保障され、最も安全な資産という地位を確立した。
…なるほど。目次を見ると近現代の世界史にそった内容になっている。これは、私の学びにうってつけの本だと思ったのだった。おそらく他の本と併読することになると思うので、次の書評をエントリーするのはいつになるかわからない。だが、今日のところは、読み始めた、ということで…。
2017年10月7日土曜日
2017年10月6日金曜日
中東系ユダヤ人とその音楽世界
息子が東京で明日・明後日とコンサートと講演会を開くとのLINEが妻から届いた。うーん。親ばかではあるが、我がブログでも紹介したい。タイトルは、「中東系ユダヤ人とその音楽世界」であるそうだ。
https://twitter.com/eventbar_eden
10月7日(土)SSY外国語教室
18:30~20:00
10月8日(日)イベントバー・エデン 14:00~15:30
会場がどこにあるのかもしれないけれど、首都圏在住の読者のみなさんにお知らせしておきたい。曲目は、上記のアドレスに詳しく書かれているけれど、当然私はどんな曲かもしらない。極めていいかげんな紹介だが、とにかく親ばかということで…。もし、興味のある方がおられましたら…。
https://twitter.com/eventbar_eden
10月7日(土)SSY外国語教室
18:30~20:00
10月8日(日)イベントバー・エデン 14:00~15:30
会場がどこにあるのかもしれないけれど、首都圏在住の読者のみなさんにお知らせしておきたい。曲目は、上記のアドレスに詳しく書かれているけれど、当然私はどんな曲かもしらない。極めていいかげんな紹介だが、とにかく親ばかということで…。もし、興味のある方がおられましたら…。
2017年10月5日木曜日
書評 イスラム化するヨーロッパ
今日は、「イスラム化するヨーロッパ」(新潮新書/三井美奈著・2015年12月発行)の書評をエントリーしたい。これも、日本人会の無人古本コーナーで手に入れた新書である。題名の通り、ヨーロッパに於けるムスリム移民について書かれたもので、イスラム復古主義に共鳴しホームグロウン・テロリストとなった二世・三世の境遇と、それを取り巻く社会について書かれたものだ。その取材の中心地は、フランスである。
およそ内容については想像しうる内容であったのだが、私が特に感じたことについて書きたい。私はフランスという国は、ヨーロッパの中華思想を体現した文化大国であると思っている。その矜恃たるや尋常ではない。イギリスにはイギリスの世界帝国であったという矜恃はあるが、ローマ帝国以来のヨーロッパの辺境・田舎という認識は抜けない。宗教的な心情では反カトリックではあるものの、フランスほど強烈ではない。フランスの政教分離への執念は極めて強い。カトリックでありながら、それを強要される事への忌避は、歴史的にもかなり古い。一方で、同じ一神教であるイスラムへの嫌悪の情が強い。これは、フランス文化への自信と愛着の裏返しのようである。この二国を比較すると、イギリスの方が比較的移民に寛容であるように見える。
お騒がせなB級新聞社だったシャルリー社が、その風刺画のためにテロに襲われた事件の後、フランスの新聞は一部を除き一斉にこの風刺画を載せ、表現の自由・政教分離を大々的に主張した。イギリスでもタイムズからガーディアンまでが掲載した。ドイツでは、大衆紙が掲載したが、フランクフルターアルゲマイネは、シャルリー紙を広げる読者のカット写真にとどめた。アメリカでは、ニューヨークタイムズ紙が「宗教的感情を故意に害する表現は一般的に掲載しない」と表明、AP通信やCNNも報道を見送った。アメリカは、英仏に比べ歴史的に宗教心は強い故だろうと思われる。一方、ワシントンポストは、「(NYTと同様の見解を載せた上で)今回はそうではない。」として掲載、唯一の全国紙USAトゥディも「通常は掲載しないが、今回は報道に値する。」とした。日本はと言うと、主要全国紙が全て掲載を見送った。自粛という日本的な感情である。
この辺の対応の相違、実に興味深いと私は思う。表現の自由と宗教の尊厳。実に難しいテーマだが、フランスの政教分離の伝統も十分念頭に入れたうえで、私は暴力行為はさておき、フランスのこれまでの植民地政策・差別政策・移民との格差といった構造的な暴力を顧みない点を、やはり問題だと思う。多文化共生を拝する率直な感情も理解しないではないが、他者の不幸の上に自己の幸福を築いてきたという、過去から続く(植民地支配の歴史を背負う人々の)痛みにあまりに鈍感なのではないだろうか。これは、フランスだけではなく、欧米の先進国全てに言えることだと思う。日本もまたアジアの中で欧米側に立っている事は間違いない。
およそ内容については想像しうる内容であったのだが、私が特に感じたことについて書きたい。私はフランスという国は、ヨーロッパの中華思想を体現した文化大国であると思っている。その矜恃たるや尋常ではない。イギリスにはイギリスの世界帝国であったという矜恃はあるが、ローマ帝国以来のヨーロッパの辺境・田舎という認識は抜けない。宗教的な心情では反カトリックではあるものの、フランスほど強烈ではない。フランスの政教分離への執念は極めて強い。カトリックでありながら、それを強要される事への忌避は、歴史的にもかなり古い。一方で、同じ一神教であるイスラムへの嫌悪の情が強い。これは、フランス文化への自信と愛着の裏返しのようである。この二国を比較すると、イギリスの方が比較的移民に寛容であるように見える。
お騒がせなB級新聞社だったシャルリー社が、その風刺画のためにテロに襲われた事件の後、フランスの新聞は一部を除き一斉にこの風刺画を載せ、表現の自由・政教分離を大々的に主張した。イギリスでもタイムズからガーディアンまでが掲載した。ドイツでは、大衆紙が掲載したが、フランクフルターアルゲマイネは、シャルリー紙を広げる読者のカット写真にとどめた。アメリカでは、ニューヨークタイムズ紙が「宗教的感情を故意に害する表現は一般的に掲載しない」と表明、AP通信やCNNも報道を見送った。アメリカは、英仏に比べ歴史的に宗教心は強い故だろうと思われる。一方、ワシントンポストは、「(NYTと同様の見解を載せた上で)今回はそうではない。」として掲載、唯一の全国紙USAトゥディも「通常は掲載しないが、今回は報道に値する。」とした。日本はと言うと、主要全国紙が全て掲載を見送った。自粛という日本的な感情である。
この辺の対応の相違、実に興味深いと私は思う。表現の自由と宗教の尊厳。実に難しいテーマだが、フランスの政教分離の伝統も十分念頭に入れたうえで、私は暴力行為はさておき、フランスのこれまでの植民地政策・差別政策・移民との格差といった構造的な暴力を顧みない点を、やはり問題だと思う。多文化共生を拝する率直な感情も理解しないではないが、他者の不幸の上に自己の幸福を築いてきたという、過去から続く(植民地支配の歴史を背負う人々の)痛みにあまりに鈍感なのではないだろうか。これは、フランスだけではなく、欧米の先進国全てに言えることだと思う。日本もまたアジアの中で欧米側に立っている事は間違いない。
2017年10月4日水曜日
IBTの話(128) 中秋と月餅
![]() |
| http://klmom.blog120.fc2.com/blog-entry-618.html |
我がクラスの学生のお母さんが、IBTの先生方にと、手作りの月餅をつくっていただいた。IBTでは現役の学生からのプレゼントは、本来的に受け取らない決まりになっているのだが、元校長のK先生が特別に許可して頂いたおかげで、多くの先生方も月餅をおいしく味わった次第。残念ながら、妻はこの月餅が好きではないので、持ち帰ることをひかえた。まあ、糖尿病の正規軍である私にとっては、完全なる「毒」である。ひとかけらだけ頂いた。極めて美味であった。(もっと食べたい。)
秋の来ない夏・夏・夏・ココナッツのマレーシアの「中秋」。残念ながら今晩は曇天で、月を拝むことはできない。(現地時間9時前/おぼろ月になっている。)ちょっと残念である。しかし…。
中華系ばかりの我がクラスの学生は、「今晩はきっと花火が上がると思います。」と言っていた。うーん、それだけはご勘弁頂きたいところだ。また睡眠不足になるのは間違いない。
追記(10月5日):日本でも10月4日が中秋の名月であったらしい。花火は、9:30くらいに1カ所だけ上がっただった。
2017年10月3日火曜日
混迷の日本の政情を憂う。
マレーシアにあって、WEB記事で日本の政情を知るしかないのだが、どうも納得できないことが多い。政治とは権力争いであるし、党利党略で解散することは常道ではある。しかし、北朝鮮情勢が危うい中で、某2つの学校問題を丁寧に説明するといいながら、結局はその禊ぎのために解散したような感じを受けてしまう。ちょうど、野党・民進党が浮ついた時期を狙っての解散であったが、ここで「希望」という名のポピュリスト政党がスポットライトを浴び、その勢いに救いを求めるべく民進党は解党してしまった。はっきり言って、全く美しくない。自らの政治信条はどうなっているのだろうか。まだ、立憲民主党という「希望」から排除され結成されたリベラル派のほうがマトモに見える。
こんな中で、ダイヤモンドオンラインの保守派の論客・西部氏のインタビューを読んだ。我々の年代からすれば、微妙な立場の人物だが、その言わんとすることはなんとなく理解できる。少なくとも、政治屋家業に執着しているヒトビトの言を追っかけるよりは、充実した時間となった次第。
http://diamond.jp/articles/-/144344
せっかくウクレレを買ったし、少しは弾けるようになったので、「あ~あ、やんなっちゃった。あ~あ~驚いた。」と嘆いてみようかな。
こんな中で、ダイヤモンドオンラインの保守派の論客・西部氏のインタビューを読んだ。我々の年代からすれば、微妙な立場の人物だが、その言わんとすることはなんとなく理解できる。少なくとも、政治屋家業に執着しているヒトビトの言を追っかけるよりは、充実した時間となった次第。
http://diamond.jp/articles/-/144344
せっかくウクレレを買ったし、少しは弾けるようになったので、「あ~あ、やんなっちゃった。あ~あ~驚いた。」と嘆いてみようかな。
2017年10月2日月曜日
クルドとカタルーニャ
![]() |
| http://polandball.blog.fc2.com/blog-entry-1932.html |
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/09/post-8532.php
http://www.bbc.com/japanese/41464293
イラクの政府もスペインの政府も不安定である故の行動であると思われる。この動きは、さらにスペインのバスクやスコットランド、さらにベルギーのフランドル、イタリアのベネチアやドイツのバイエルンにまで影響を及ぼしそうだ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171002/k10011164741000.html
…クルディスタンの独立に関しては、極めて根が深い。トルコやイランもからんで独立に向かうのは極めて困難であるだろうと思う。新たな中東での紛争が起こりえる危険をはらんでいる。今や、アメリカが世界の警察として、その意志も力も完全に喪失しており、英仏も過去の栄光はない。それどころか、先進国では、投資先を失い資本主義の終焉のような低インフレとデフレが進み、金融市場だけが肥大し経済格差をさらに拡大している。政治的にはポピュリズム化が進み、中国やロシアは、近代領域国家の逆走をして、領土拡大をはかろうとしている。
…まさに、脱コード化、スキゾでリゾームな時代に突入しているという実感が湧く。ドゥルーズの予測は、かなり当たっているのではないかと思うのだ。これから世界はどう動くのだろう。この2つの独立運動はその分水嶺のような気がしてならない。
2017年10月1日日曜日
アフリカに万里の緑の壁
![]() |
| http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51217 |
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51217
セネガルから紅海まで、いわゆるサハラ砂漠の南縁のサヘル地帯に8000km、幅15km、11ヶ国にまたがる巨大な植樹計画である。現在のところセネガルではうまく進んでいるとのこと。枯れた井戸に水が戻り、樹木による影の影響で農地に必要な水の量も減り、砂漠化の進行によって故郷を捨てざるを得なかった人々も戻ってきて、地元経済の再生に役立っているという。
2007年に始まり、総工費$80億。世銀や国連、AU、英国王立植物園は寄付を約束しているそうだ。
…サヘルに対して、このような大規模なプロジェクトが進展することは、極めて重要であると私は思う。深刻な砂漠化に対しては、このような大規模な施策でないと追いつかないからだ。ただ様々な懸念がある。最大の問題はこの地に住む遊牧民とその生業の保障である。彼らの説得にはかなりの時間と経験を要するだろうと思う。また、太陽エネルギーなどの利用で、エネルギー需要を賄い、樹木の消費を減らす事前の準備も必要だと思う。このビデオでは、セネガルの農耕民の様子が中心だったが、遊牧民への理解と説得なしにはこのプロジェクトは進まないのではないか。繰り返すが、遊牧民は誇り高い。彼らの価値観は我々とは大きく違う。開発の名の下に正義を振りかざすことは絶対に避けて欲しいと思う。
こういう想いは京都大学のアフリカ地域センターでのセミナーで遊牧民の生活を学んだ故のことである。文化人類学と持続可能な開発を今こそ融合していく時代に入ったということだろうか。
登録:
投稿 (Atom)








