2009年12月28日月曜日

今年、この1冊


先日、M新聞紙上で、私の今年の3冊という特集記事を見た。「現代アフリカの紛争と国家」を挙げた識者が2人もいた。政治学的なアプローチの本である。残念ながら私はまだ読んでいない。先日顔を見せに来た立命館大の法学部政治学科4回生で、来期インドの大学院に進みたいという某OBは、「読みました。よかったですよ。」と言っていた。ちょっとむかついた私であった。私も毎年、倫理の最後の授業で『1tの本を読め!』という推薦図書一覧を出している。かなりの枚数になるのだが、毎年最優秀本を提示している。昨年度は当然、ポール・コリアーの「最底辺の10億人」だった。今年は、「アフリカ 動き出す9億人市場」(ヴィジャイ・マハジャン著/英治出版)を挙げたい。実は、この本、マーケティングの本である。いかにアフリカにビジネスチャンスがあるか、様々な実例を示しながら紹介している。アフリカ本の中でも稀有な本である。明るい将来の展望が示されている。私のオリジナルテキスト・『高校生のためのアフリカ開発経済学』を3.0にヴァージョンアップして、この本の内容を入れて書き直そうかと今考えているくらいだ。前述のOBは、この本はまだ読んでいなかった。ちょっと安心した私であった。

1 件のコメント:

  1. 初コメントさせていただきます。

    私も読みました。アフリカをこれだけポジティブに捉えた本もなかなかないと思います。まずそれだけでも価値はあるでしょう。そして、著者の視点の広さには驚きます。大した調査をしていなさそうなのに、在外アフリカ人の送金の話などは、同じく在外アフリカ人の調査をしている私からしたら、「やられた…」という思いもありました。

    「ただ…」と付け加えたくなるのは私のみではないと思います。インド人であるヴィジャイ・マハジャン氏が書き、帯にコメントを書いているTATAグループの会長さんが、インドの視点でみたら、えらく魅力的なマーケットに見えることは必定です。ちょっと粗いな、と思うのは数字の読み方で、これが著者のポジティブシンキングの基礎になっているのが気になりました。その証拠に、一番数字に信憑性のありそうな、マグレブ諸国、南アに事例が集中していたように思います。

    長文失礼しました。

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