【イスラエル-(超)多文化共生(強制)の地を覗く-その5】
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コシェルなハンバーガーの看板 |
イスラエル考現学の3つ目は食事の話である。ユダヤ教の律法における食事規定を「コシェル(ヘブライ語読み)」という。基本的にイスラエルの食品やレストランはコシェルである。授業でも教える。豚肉は食べないとか、イカとかエビ、ウナギはだめだとか、肉製品と乳製品はいっしょに食べないとか…。だから、よく売っているサンドイッチは、野菜やトマトとチーズだけだで、ハムなど挟んでいない。トホホである。反対に、ハンバーガー(かなり馬鹿デカい。)は、チーズを挟んでいない。ピザも、チーズだけのことが多いが、ツナをトッピングすることは可能だった。ツナはウロコのある魚故にOKだったのだ。スーパーに行くと「ハム」や「ソーセージ」も売っているが、牛肉や鶏肉から作ったものだったりする。
イスラエルは地中海性気候で、野菜と果物の生産が盛んだし安い。妻も嫁さんのTさんも大のサラダとフルーツ好き。毎日堪能していた。たしかに美味しいし、レストランなどで注文すると量もふんだんに出てくる。コシェルの不自由さを補っているかもしれない。
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エレサレム新市街のマハネー・イェフダー市場にて |
ところで、そこは超多文化の国である。一般的にはコシェルが基本なのだが、豚やイカ、エビを食べさせる店もある。たとえば、エレサレムの新市街にある韓国料理店。ここでは豚の焼き肉を食べた。貴重だと思えばこそ、さらに美味く感じる。4人の罰あたりは「穢れる~。」と喜んで食べたのだった。また、アッコーやヤフォーなど海沿いのシーフードレストランでは、イカやエビが食べれたりする。これまた「穢れる~。」と美味しくいただいた。エレサレム住まいの息子夫婦は、高価故に魚料理に餓えている。息子などここぞとはかりに親の金で満喫していた。(笑)
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テルアビブのエチオピア人街 |
極めつけは、テルアビブのバスステーション近くの地域である。なんと、『猪肉』(豚肉)と大書きしてある食肉店がある。このあたりは、テルアビブの最も低所得層の集まる地域で、エチオピア人やアフリカ移民、フィリピン人や中国人、さらにはロシア人が集まっている。凄い無国籍な街なのである。息子は、私がこういうトコロが好きだろうということで連れてきたのだ。アムハラ語(エチオピアの言語)やロシア語の看板が多いテルアビブの最もディープな街である。ここに美味しい中国料理店があるという。無茶苦茶汚い、中国の田舎といった店であった。無愛想な中国人夫婦が作る料理は、コシェルなど全く無視した中国料理そのものだった。ここにロシア人も来て、豚まん(東京的に言えば肉まん)を買って行った。ニヤッと笑い、イスラエルに移民しても豚肉を食べるロシアの食文化を捨てられない業(ごう:カルマ)のようなものを感じたのだった。こういう店は、ノン・コシェルと呼ばれる。超正統派から見れば、罰あたりの店なのだろうが、多数派である世俗派の存在もあって、かのイスラエルにもこういう店が存在しうるのである。超世俗派の日本人旅行者からみれば、ノン・コシェル万歳である。
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