【イスラエル-(超)多文化共生(強制)の地を覗く-その28】
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エレサレム旧市街 イスラム地区にて |
いよいよ、イスラエルの話を閉じたいと思う。今回の旅は日本の日常では全く経験できない「超多文化共生を強制された社会」を経験したと結論付けていいだろう。
イスラエルはユダヤ人国家であるが、イスラム教徒のアラブ人、キリスト教徒のアラブ人も、イスラムのようでイスラムでないドルーズ派、さらにその他の少数派の宗教を信ずる人々もいる。さらに、ユダヤ人もその出身地によって微妙に異なるし、それぞれがまた超正統派や正統派・保守派、世俗派などで大いに生活スタイルが異なる。ユダヤ教徒自体が多文化そのものだなのだ。彼らは、互いの差異を埋められないまま、共生を強制されているわけだ。
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エレサレム新市街 超正統派の街をTAXIから撮影 |
私はこれまで、海外に出ると紀行文と感想や考察を残してきた。アメリカ、アフリカなど数編の文章が残っている。今回は、これをブログでエントリーしながら断続的に書いて来たわけだ。今回の28回におよぶイスラエルのエントリーでは、最初に総論を2回にわたって書く破目になった。「家庭内別居」という表現が、まさに当てはまることを先に述べた方が私の想いを伝えやすいと判断したためだ。8月10日付の「It's not just an airline.」「家庭内別居?イスラエルの現実」は、それにあたる。
エントリーの構成上、イスラエル考現学と名付けた1つのキーワードを元に、時間と空間を超越した内容を9回記した。いわば地理で言う系統地理的な視点である。
1.TAXI 自我の強い多文化共生の社会をタクシーという視点から
2.BUS 想定外の様々な経験を記して、紀行文の序章的な意味を込めて
3.KOSHER ユダヤ教の特徴的文化である食事規定について
4.IDF イスラエルの国防軍の紹介とその日常性について
5.CAT 意外に猫と蠅が多いことは、かなり印象的だったので…
6.שבת ユダヤ教の特徴的な文化である安息日について
7.Haredi 超正統派について、改めて整理しておきたかったので…
8.Arabian アラブ系イスラエル人についても、改めて整理
9.USA イスラエルを語る上で避けられない事項だと思っている故に
紀行文は、およそ3シリーズに分けてみた。
1.エレサレム(旧市街・博物館・新市街・シナゴーグ・近郊)
2.ガリラヤ湖畔
3.地中海沿岸の街
9月に入るとBloggerのアーカイブが白紙になる。少し間をおいて(文化祭が終わってからになると思われる。)から、常設ページに再構成してエントリーしようかなと考えている。
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初日のエレサレム新市街の夜 |
最後に、逆説的になるが、イスラエルに着いた夜の話を少しだけ書いておきたい。深夜の新市街。ホテルに荷物を置き、家にもどる息子夫婦を見送りに外に出た。ホテル内は禁煙なので煙草に火をつけた。すると、通りがかった若い女の子が「一本くれない?」と言ってきた。これまで、海外で煙草をあげた事(ケニアやブルキナなどアフリカでの話。)はあるが、ねだられた事はこれが初めてだった。嫁のTさんが、「こういう事はよくあるみたいです。」と言ってくれたので、ちょっとびっくりしたが煙草を1本あげて火もつけてあげたのだった。今から考えると世俗派の女の子だと思う。アメリカ人以上にフランクな感じを受けたのだが、それ以後の私は、超多文化共生のわけがわからない大混乱の世界に飛び込むことになる。すなわち、私たちが唯一普通につきあえるのは、世俗派のユダヤ人たちであった。コーシャや安息日、兵役はあるけど、あまり気を使わなくていいフツーのアメリカ人だと考えればいいのだった。ことさらにイスラエルの超多文化共生を強調したが、最も多いのはこの世俗派の人々である。それだけは誤解のないように記しておきたい。
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