2012年8月12日日曜日

アフリカの開発と民主化論争

イスラエルの紀行文の幕間に、アフリカのことをまた書きたい。(なんといっても、”アフリカ留魂録”である。)グローバル・ボイスというWEBの面白い記事を見つけた。エチオピアで5月に開かれた世界経済フォーラムでのパネルディスカッションでのエチオピアの首相が、自国の経済発展を称賛しつつ、経済成長と民主化の関連について否定的な発言をしたことに対し、WEB上で議論が巻き起こっているのだと言う。

一読してみたが、かなり熱い議論だ。なかでも世界銀行のチーフエコノミスト・リン氏の言う『成長の志向』の理論は面白い。v1.0は、過去にかなり無理を強いた輸入代替産業政策の推進を意味する。v2.0は、先進国がその後強く指摘したガバナンスの見直しを意味する。v3.0は、国の資質と比較優位性をつきとめることを民間セクターがスケールアップすることを政府が支援することだという。開発経済学史から見て、なかなか示唆に富む見方だと思う。

成長の志向v3.0は、その国の何が間違っていて何を是正するべきかを考えるのをやめ、長所をつきとめることに専念すべきだという。これが国際競争力を生むというのである。

このリン氏の意見に対してエチオピアのネチズン(ネット上の市民)の反論が書かれているわけだ。この開発と民主化という問題、極めて難しい問題だ。日本も含めた先進国では、歴史的にも必ずしも民主化が先行したわけではない。フランス革命のジャコバン党ではないが、時として民主化が混乱を生むこともある。ならば、一部のエリートが自らを肥やしつつ開発を進めればよいのかというと、民主主義が正義であることが普遍化してしまったこのグローバリゼーションの中、決してコンセンサスは得られないだろう。ずっと考えていかねばならない大問題だと思う。

とにかく、このWEBページ、大いに気にいった次第。リンクに加えたいと思う。
http://jp.globalvoicesonline.org/2012/08/12/15039/

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