2012年8月13日月曜日

エレサレムの博物館を見るⅠ

【イスラエル-(超)多文化共生(強制)の地を覗く-その9】
内部撮影はできないのでWEBから借用
エレサレムの新市街には、たくさんの博物館や美術館がある。暑い日中は涼しい博物館にひたるのも良いというわけで、博物館に行ったのだが、強く印象に残った博物館を3つ紹介したい。
まずは、LRT(路面電車)の西の終点にあるホロコースト博物館である。ヤド・ヴァシェムと呼ばれることが多い。イザヤ書にあるヘブライ語で決して消し去ることができない「記念と記憶」を意味する。私は、アメリカのワシントンDCにあるホロコースト博物館に行った事がある。だから、両者をつい比較してしまう。私は、アメリカの方が、その内容をドッパーンとダイレクト、そしてショッキングにに展示している、それに対してイスラエルの方は粛々と、被害者としての訴えを中心に置いているように感じた。残念ながら、館内の展示に関しては写真撮影が禁止されている。(まあ当然であると思うが…)アメリカよりショッキングな展示としては、アウシュビッツ等で使用された毒ガス(農薬)の缶とその中身の錠剤らしきものが展示されていたくらいだろうか。それより体験者のビデオによる証言が多い。この博物館は10歳未満の子供は入れない。反対に小学校4年生以後、学習活動の一環として訪れ深く学ぶことになるらしい。(大家さんの奥さんの言)アメリカの方が、イスラエルへの同情を喧伝するものであるとするなら、こちらは民族のアイデンティティをホロコーストという記憶から再確認するため、あるいはイスラエルと言う国家の存在の必要性を最終的に訴えるものとなっているように感じた。
最後の展示?イスラエルの田園風景
全ての展示を終え、重い気持ちを引きずりながら出てくると、そこにはイスラエルの入植地然とした田園風景がパッと拡がるのだ。おそらく、これも重要な展示であると私には思える。イスラエルの「希望」がそこにあるように見せているのだ。こういう展示はアメリカの方にはない。

イスラエルの教育は、国家の存亡に関わる指針をもっているようだ。『イスラエル人とは何か?』には、18歳の兵役への準備として様々なプログラムが組まれているコトが詳しく書かれている。同時に、小さい頃から徐々にユダヤ民族の苦難の歴史をじっくりと学ばせるそうだ。このヤド・ヴァシェムもそういう位置付けなのだと思われる。

再び、大家さんの奥さんの言である。「下の幼稚園の娘がホロコーストの話を聞いてきて、ユダヤ民族は神から愛されていないの?と突然聞かれ、答えにつまったわ。」「17歳になったら、ユダヤ人の高校の90%は、ポーランドに修学旅行に行くの。アウシュビッツ収容所にね。」

8 件のコメント:

  1. はじめまして、エルサレムのホロコースト博物館について検索していて偶然このブログを見つけ、拝読させていただきました。1週間後にイスラエルへの小旅行を予定していて、中3日しかないので、そこで、エルサレムには絶対行きたいが、午後をホロコースト博物館かベツレヘムかというツアーで悩んでいました。私もワシントンDCの博物館に行ったことがあり、そしてベルリンのユダヤ博物館、ダッハウの強制収容所なども知っているので、違いが知りたかったのです。ワシントンほど強烈ではないのであれば見てもいいかなという気にさせられました。ワシントンは、本当にナチの残酷さを前面に出していました。ベツレヘムも捨てがたく、経験からどちらがお勧めですか?こんなコメントをいきなり書きこんで申し訳ありません。

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  2. コメントありがとうございます。うーん難しいですね。どちらも貴重な体験になると思います。エルサレムのホロコースト博物館は、あくまでユダヤ人のためのものだと私は思います。一方、ベツレヘムは、聖誕教会を見るというより、私にとってはパレスチナ自治区を見にいったという感覚が大きくて、その差異を実感できます。両方ともやはり半日はかかりますねえ。すいません、結論は出せません。お気をつけて。

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  3. お返事ありがとうございます。私もベツレヘムは、パレスチナ自治区を見てみたいのです。教会は、たぶんエルサレムでおなかいっぱいになっていると思うので。やはり、パレスチナ自治区は雰囲気違いましたか?ユダヤ人のためのホロコースト博物館というのが気になります。ただ、ワシントンの博物館を見た後は、収容所に連れて行かれなくてよかったという気にさせられました。ドイツ在住なので特に。イスラエルには見るものがありすぎますよね。

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  4. 研究者の息子によれば、ベツレヘムにいるアラブ人でも、キリスト教徒とムスリムでは、かなり感じが違うようです。キリスト教徒の方が礼儀正しいし、おとなしいです。
    入国後、おそらく聖誕教会のある中心部に向かうのにタクシーに乗るのですが、ぼられる恐れがあるので、ガンガンやりあっていました。ヘブライ語とアラビア語のできる息子は、これがかなりうっとうしいらしいです。(笑)
    壁アートはかなりいいと思います。イスラエル国内にもアラブ人がいますが、その差異はうまく言葉では言い表せないですねえ。

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  5. いろいろと御忠告ありがとうございました。
    たまたま、今日、レストランのビアガーデンでテルアビブから出張中というラビに出会いました。私の質問をぶつけると、ベツレヘムの教会はすばらしいし、ツアーでないとベツレヘムには入れないので、行ったほうがいいといわれました。ただ、バスでは、なるべく前の方の席を取るように。超保守派の人たちに負けないようにと一言いわれました。女性蔑視があるそうすね。それは、知りませんでした。ラビに出会ったのは初めて、こんなときに出会ったのも何かの縁のような気がします。

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  6. ベツレヘムに女性1人で行かれるのはお勧めできませんよねえ。ヘブライ語が堪能でも大変かと思います。ツアーがお勧めですが、もしかしたら、壁アートが見れないかもしれません。壁アートは、出入国口の近くです。歩いていけます。聖誕教会からは、歩くのはきついです。どうか、無理をせず、ご無事で、そして十分楽しまれますようお祈りしています。

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    1. 御心配ありがとうございます。
      無事、帰ってこられました。結局、日帰りツアーでエルサレムとベツレヘムを見てきました。ユダヤ教のお正月のためホロコースト博物館はお休みでした。壁のアートは、バスの窓越しに見ることができました。他のツアーと帰りのバスで合流するために待ち合わせの国境近くのみやげ物店で40分くらい待たされたので、その時に壁まで行っておけばよかったとちょっと後悔しました。それにしても歴史的にも政治的にもとても貴重な体験ができました。見るものがたくさんありもっと滞在していたかった反面、出国の厳しさに、戻ってこれてホッとしています。

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  7. 無事でなによりです。今回出国の厳しさについては一切触れませんでした。イスラエルのセキュリティの問題もあると思いましたので…。ちょいとばかりウンザリですよね。(笑)

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