2012年8月13日月曜日

エレサレムの博物館を見るⅡ

【イスラエル-(超)多文化共生(強制)の地を覗く-その10】
イスラエル博物館 死海写本館をのぞむ
イスラエル博物館。その名の通り見ごたえのある国立の大博物館である。私たちが滞在したのは3時間ほど。とても全部見れたわけではない。(笑)ユニークな玉ねぎのような形の死海写本館が超有名であるが、結局見れなかったくらいだ。私たち夫婦が行きたかったのは、何といってもユダヤ教とユダヤ民族誌棟。ちょうど、超正統派の民族誌を紹介する企画展が行われていた。
A world Apart Next Door glimpses into Life of Hasidic jews.

超正統派の企画展より 結婚式
実はこの企画展、無茶苦茶面白かったのだ。妻に言わせると、彼女にとって今回の旅のベストらしい。数々の超正統派の様々な祭事の様子を記録した写真やビデオが特に興味深かった。仮装をして楽しむ場面や、結婚式の場面、無礼講の食事の場面、対面して互いに踊りあう場面など、普段は矜持の塊のような超正統派が自分たちの集団の中では、意外にコミカルで愛嬌がある人々だということがわかるのだ。貴重な展示内容を記録した映像のWEBページを見つけた。興味のある方は是非ご覧いただきたい。
http://www.dailymotion.com/video/xs4y9a_israel-museum-shines-light-on-secret-world-of-ultra-orthodox-jews_news

美術棟にて マグリッドとダリ
常設展示の方も面白かった。様々な地域のユダヤ教の経典の展示もすばらしい。また、イタリア、インド、スリナムのシナゴーグが館内に実寸大で移築されているのだ。同じユダヤ教なのにこうも違うのかということを実感させられる。スリナムのシナゴーグなど床替わりの砂までちゃんと再現されている。さすがイスラエル博物館と言うしかない。その後、「ダリもあるでぇ。」という息子の言葉に、大のサルバドール=ダリのファンである我が夫婦は、ホイホイと美術棟に向かった。ダリは有名な作品ではなかったが、その隣にマグリッドの有名な作品が置かれていた。さらにミロもエルンストもあったし、パリのロスチャイルド家から寄贈された印象派コレクションなど、なかなか見ごたえのある美術棟であったのだ。ということで超正統派企画展と美術棟で時間をとられて閉館時間が迫り、死海写本館に行けなかった次第。(笑)

ユダヤ人書斎の展示
常々思うのだが、観光や博物館などは、期待して行くとロクなことがない。ところが前エントリーのヤド・ヴァシェムも、このイスラエル博物館も、期待以上であった。もうひとつだけ博物館を紹介したい。ウルフソン博物館というグレート・シナゴーグの横にある博物館である。「地球の歩き方」にも参考程度に書かれているマイナーな博物館なのだが、これが期待を大きく裏切って面白かった。あるヨーロッパ在住だったユダヤ人の書斎を再現した部屋や、反ユダヤ美術を集めた小展覧会、子供のための聖書の名場面(出エジプトやシナイ山の十戒など)のジオラマ、リトアニアの作家のホロコーストをイメージした現代美術展示など、全くハズレなし。レベルが高い博物館だったのだ。

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