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2026年10月23日金曜日

LIVE FREE OR DIE

https://www.nhpr.org/politics/2016-01-28/house-rejects
-bill-to-give-n-h-motorists-a-choice-on-live-free-or-die-motto
アメリカの国是といえるものの1つは、VAのパトリック・ヘンリーによる演説で語られた”Live Free or Die”(自由をしからずんば死を)だといえる。イギリスのアメリカ植民地への茶税など独立戦争に関わるコトバである。

授業では、アメリカが銃を保持できることの意義について語った。これは、最初のアメリカ行で、デトロイトのコーディネーター・サム氏が語った言「もし、私の自由や権利を、州政府や連邦政府が犯そうとした時、銃がなければ戦えないではないですか。」に由来している。

多くの日本人は、自衛のために銃を保持していると思っているが、もっと深い理由によるものだ。自由は、暴力によって勝ち取られたものだということは、フランス革命を始めとした歴史が教えてくれる。日本には、そういう経験がない。WWⅡ以後、もうひとつのアメリカの国是「明白なる天命」によって、自由と民主主義は与えられたという稀有な歴史を持っているからである。

フランスの現在の状況、国民の抗議する自由を認めつつ、各自の権利も認めつつ、悪化する国家財政やユーロとの兼ね合いの中で苦しんでいる姿の原点も、ここにあると思うのである。

2026年10月21日水曜日

揺れるフランス 考

https://www.threads.com/@kiraboshi33/post/DerVvfpGYZ2/
高校生の教育費の削減批判から始まったフランスのデモは、不満の高まりを抑えきれなくなったムスリム移民や、これを利用しようとする極左勢力によって、暴動に発展している。多くのYouTubeで取り上げられているのだが、私もこの状況について考察してみたいと思う。ちょうど、地理総合の授業では2学期後半は「国是」をテーマに話を進めていくのだが、当然フランスの国是も触れる予定であるからだ。「自由・平等・博愛」といったフランス革命以来の国是と「ライシテ」(政教分離の原則)を中心に語るつもりだった。

あるYouTubeでは、暴動でスーパーが襲われたが豚肉には手がつけられていないとか、マクドナルドは襲われたが、隣のハラル(イスラムの食のタブー)の店は無事だとか、パレスチナの旗が振られている(画像参照)とかで、ムスリムが暴動の中心にであることを強調するものもあった。それも事実であろうが、フランスの帝国主義の歴史を見ると、さもありなんと私は思っている。
フランスに移民している人々には、たしかにムスリムが多い。過去にもライシテの影響で、公立学校での女生徒のヒジャブが禁止されたりして、フランスの文化的価値観とイスラムの価値観の衝突が言われていた。フランスは、ヨーロッパにおける中華思想を強烈に持っている故に、移民に対して同化政策を推進してきた。それ故に、移民は集住して自分たちの価値観を守ろうとする。国家内にそういった地域が増加し、警察権力も介入できない地も多いと聞く。もちろん、移民は貧困に沈み、差別を受けているし、失業率も高い。こういったデモに際して暴徒化することは必然であったといえる。

そもそも、最初の教育予算の削減(学校設備の老朽化や教員不足)という話は、フランスの財政事情に大きく関わっているようだ。フランスは今、G7の中でも最も財政が厳しいと言われていた。実は、ここに日本の機関投資家が関わっているようだ。長らく低金利(というかゼロ金利・マイナス金利)だった日本で、金利が上昇した。これを受けて、フランス国債の主な購入者だった日本が、一気にフランスから逃げ出したらしいのだ。フランスにとっては一大事なのだが、ここでEUの中枢(EUの起源は、仏・独・伊+ベネルクス三国)であるフランスは、その対策に窮するのである。ユーロ圏であるが故に、フランス独自の理由で金利を上げたり下げたりできないのである。ユーロ圏では、政策金利を欧州中央銀行の決済で行われているからである。フランス国債の格付けもどんどん下がっていった。自国ではどうしようも出来ない状況に陥っているのである。

昔会ったことがある、パリのエッフェル塔の下で、お土産を売っていたガボンの人々も、この暴動に参加しているのだろうか…と思う。まあガボンはキリスト教徒のほうがムスリムより数的優位なのだが…。貧困や差別といった不満は当然あるだろうから…。

この暴動、正直なところ先が見えない。解決の糸口はどこにあるのか見当がつかない。今日のところは、今の私の感想というところで…。

2026年9月12日土曜日

「私の開発計画文書」

https://www.sankei.com/article/20260619-K4AJM6OP2BMETJ
O4LT7BORNQ5I/?outputType=theme_soccer_worldcup2026
昔々、M高校で3年生に受験の地理を教えていた時、アフリカの任意の国の開発についての計画を立ててみようというグループワークの課題を課した。当時の受講生は5名、それぞれ国公立や難関私大に進学していった優秀な子たちだった。

彼女らが選んだのは、コートジボワールだった。国立公園の観光開発などが提案されていたのだが、私が注目したのは、サッカーのナショナルチームを強化してW杯に出るという提案だった。多くのエスニックグループをまとめ上げ、国家としてのアイデンティティを確立したいと彼女らは言った。私は、高校生の斬新なアイデアに少しばかり感動したのを覚えている。

今回学院でもダイヤモンドランキング(8月8日付ブログ参照)を、やってもらうのだが、提示した政策群以外にも、自分なりの必要だと思える政策を入れてもらいたいと伝えてある。M高校での経験が、私にそう言わせたのだが、果たして意外で、なるほどと思わせるような政策提案が出てくるだろうか。楽しみにしている。

2026年9月6日日曜日

国連決議 イコールアース図法

https://www.zakzak.co.jp/article/20260905-B6VJ2VFB4ZBT7ESO4UTKZZLG4M/
9月4日に国連で、メルカトル図法に代わるイコールアース図法の使用を促すという決議が採択された。提案したのは、アフリカ・ギニア湾岸のトーゴである。USAのみ反対票、ウクライナなど棄権6、圧倒的多数で採択された。

メルカトル図法は、正角図法なので航海においては極めて有効である。目的地に合わせて船の進行角度を定めれば正しく着く。航空路は、最短距離で飛ぶので曲線になってしまう。この場合は正距方位図法が有効になる。

トーゴが主張したのは、メルカトル図法によるとアフリカ大陸は赤道に近く面積は近しいが、高緯度の国の面積が肥大化するので、大きな錯覚を呼び起こす故世界全図には望ましくないという主張だ。実際、ロシアの国土はアフリカ大陸全体の中に収まる。

地理を教える身としては、生徒諸君がメルカトル図法を信じてしまうのは常々危険だと思っている。イコールアース図法の緯度は直線表記で問題ないが、経度が曲線になるのがデメリットになると思う。また、プリント作成時に、長方形であるメルカトル図法は安易なのに対し、東西が曲線となるのも多少デメリットとなる。

まあ、私としてはイコールアース図法に変わっていくことは悪くはないと思う。

2026年8月22日土曜日

SUZUKI in INDIA

https://www.youtube.com/watch?v=URCrMg5B3ps
生徒諸君に見てもらいたいと私が考えているYouTubeチャンネルは、日本の自動車会社であるSUZUKIのインドでのビジネスと国際協力の話である。アニメーションになっているので生徒諸君も見やすいと思う。我がブログの読者の皆さんにも是非見ていただきたいと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=URCrMg5B3ps

今回の授業では、HDI、サブ=サハラ・アフリカの4つの罠、サプライチェーンに組み込まれた中進国、金融と技術でリードする先進国の姿を伝えたが、このYouTubeでは、日本の関わり方が象徴的に描かれている。

SUZUKIがインドにインドに進出したのは、ビジネスである。ただ、他の先進国のメーカーのように単なる1つの市場としてインドを見たのではなく、インドという市場に合わせた車作りをした点で他を席巻した。インドの人々が購入できる価格に合わせて、しかも丈夫で雨にも悪路にも強い車を提供することに成功した。

当然ながら進出のメリットであるインドの労働賃金は安い。そのメリットは輸出することで多くの場合活かされる。だがSUZUKIは、国内需要にしぼり、消費を生み出した。工場建設を進めたわけだが、自動車工業は、部品の集積が重要である。インド国内にそういう様々な部品工場も生まれ、雇用を生んでいき、技術力も上がり、やがて彼らが消費者となってくれるというサイクルが生まれるわけだ。

一方で、カースト制度を工場内で打破していく。副社長自ら労働者と同じ食堂でランチを取るというのは、現地人幹部を戸惑わせる。インドのカースト制度(ジャーティといった方が正確だが…)では、上位の者が下位の者と食事をするとその穢れが伝染ると信じられてきたからである。しかし、この大きな大きなタブーを破ったことで、生産性は4倍になったという。これは伝統の破壊というより、覚醒であろう。

女性の地位向上にも働きかける。牛糞を集めるのは女性の仕事であるが、その牛糞を買い取ってガスに変え再利用する戦略をSUZUKIは取っていく。そのおかげで女性は現金収入を得て、やがて地位向上に結びついていったのである。ちなみに、インドの牛の数は世界最多である。

飲料水が安全基準値を越えた地には、ろ過装置付きの水販売機を設置していく。企業利益の還元のひとつだが、無料にはしない。1リットル0.2円という少額だが、あえて無料にはせず管理を地域に任せるカタチを取っている。

JICAの国際協力のテーゼは、”魚を与えるのではなく、釣り方を教える”というものである。SUZUKIが行っているビジネスと国際協力の融合は、この日本の国際協力のテーゼに従っている。インドの人々に寄り添いながら、これからも”魚の釣り方”をどんどん模索していくのではないかと私が思う。

生徒諸君には、こういう日本の姿勢を知ってもらい、世界の構造的暴力に対して、自分が何をできるのか、高校生という純粋な時期に考えて欲しいと思っている。

2026年8月21日金曜日

2学期に向けての教材研究6

酷暑が続いたが、教材研究は中間考査の草案まで進んだ。昨年は、サブ=サハラ・アフリカの講義から一気に先進国中心の近代国家論に進み、その中でサプライチェーンをキーワードに講義したのだが、関連性から言うと、経済主体にASEANの内容を挟んだ今年度の方が、理解しやすいだろうと思う。

2学期の中間考査までの8クラスのコマ数は行事の関係で、およそ10コマ平均である。その内3回は提出物(HDIの表・サブ=サハラ・アフリカの4つの罠・関連表・サブ=サハラ・アフリカへの政策案)作成の作業時間となるので、講義は7コマくらいになる。これは、長年教師をやっている私でも、多いのか少ないのか、およその感覚でしかわからない。(まあ、最後には帳尻を合わせる。それがプロであるのだが…。)

時間が余った場合は、EUなどの先進国の問題(移民問題、環境重視と国際競争力低下など)を語るのも悪くないと思っている。また、今期の学習内容と関連したYouTubeのチャンネルで、生徒諸君に見てもらい、感想文を書いてもらいたいものがある。それを見せるのもいいかなと考えている。そのYouTubeの紹介については、次回。

2026年8月12日水曜日

2学期に向けての教材研究5

先進国の金融面についての学習。経済はより具体的に語らないとわかりにくいというのが、長年高校の政治・経済を教えてきた私の実感である。金融については、特に具体化しにくい。

地理総合の授業なので、まずは金融立国(資産運用立国)のランキングについて示しておくのが重要だと思う。2024年のデータで、第1位は当然アメリカ。第2位はイギリス、第3位はヨーロッパ最大の投資信託市場を持つルクセンブルグ。第4位はシンガポール、以下ドイツ、フランス、アイルランド、香港、スイス、オランダ、カナダ、日本、イタリア、ベルギーと続く。

企業はいかにして莫大な資金を集めるかというのは、高校生にとっては不思議だと思う。この先進国の金融面に入る前に、航空機産業のボーイング社の最新機B787について調べてみた。(上記画像参照)開発費は、膨らみ続けて2.5兆円。1機あたり350億円くらいである。生産コストが380億円というから赤字なのだが、人気があり注文も多いので、2027年には黒字に転じるとのこと。これだけの資金をボーイング社は集めているわけだ。

そのシステムは、借入・社債・株式と資産売却によるわけだが、株式は高校政治・経済では詳しく解説されるので割愛し、社債や機関投資家についてカバーしようと思う。ちなみに、高校政治・経済では、借入を間接金融、株式と社債を直接金融という分類を行っているので、受験生には再確認が必要である。画像内の赤い○と→がそれを示している。

社債については、ヤマトHDが200億円の社債を発行していた。東南アジアの小口ネットワーク事業への投資であった。高校生にも馴染みのある企業で説明したほうがいい。ただ、騰減率とか日経平均とか、やたら専門用語が増えるのが難点。(笑)もうひとつ高校生にわかりにくいのが、機関投資家である。

どんな機関投資家があるのか、またどんな銘柄を購入しているのかを紹介した。すると、日本生命や農林中央金庫(=農協の金融機関)、野村、三井住友などの名が出た。さらに、アメリカが本社のJPモルガンやブラックロックなどの名前が出てきた。これらを少しずつ紹介したいが、さすがに、ヘッジファンドの空売りなどの説明はしないつもりである。(政治・経済なら、アジア通貨危機・タイのバーツと絡めて教えるけれど…。)

最後に基軸通貨の簡単な説明で先進国の金融面の内容は終わる。為替の話を詳しくすると地理総合から見事に離れてしまう。(笑)いよいよ”まとめ”に入る。

2026年8月11日火曜日

2学期に向けての教材研究4

サブ=サハラ・アフリカ諸国から中進国のASEAN諸国への学習は、さらに先進国へと進む。先進国の定義は、一応OECD加盟国なのだが、重要なのは、金融立国とサプライチェーンのトップやその周辺に位置する技術を持っていることである。今回の学習の最重要キーワードとなるサプライチェーンの内容から入ることにした。

現在のアメリカ経済を牽引しているのは、まぎれもなくIT企業である。ソフトウェア、ハードウェア、半導体の設計、SNSなの分野で世界トップの実績を誇るGAFAMGoogle/Apple/Meta/Amazon/Microsoftが有名である。

最も先端的なAIなどに使われる半導体のサプライチェーンは、設計はアメリカ企業、純度の高い素材は日本企業、製造設備機器はオランダのASML、実際の製造は台湾のTSMCがトップシェアをそれぞれ誇っている。ここには、中進国の(たとえばマレーシア・ペナン島の)半導体産業は、まだまだ入り込めない。技術力が追いつかないからである。だが、家電製品や自動車に使われる半導体なら作れるわけで、この辺が労働賃金の上昇とともに中進国の罠といわれる停滞状況があるわけである。やはり人は石垣・人は城、優秀な人材育成が待たれるところ。

自動車産業に関しては、完全に国内だけで内燃エンジンを作れるのは、日本、アメリカ、ドイツのみと言われている。世界の自動車メーカーも基本この3カ国の主導するいくつかのグループに組み込まれている。インド系のタタ・モーターズはジャグアーやランドローバーのイギリス系自動車メーカーの親会社であるが、エンジンに関しては自社開発もしているが、ステランティスと提携しているようだ。数え切れないほどの部品メーカーと、サプライチェーンを構築しているはずだ。ちなみに、インドで頑張っているズズキは自社でエンジン開発製造をしており、孤高の存在。この表中にはない。

旅客機の航空機産業に関しては、仏独のエアバス社と米のボーイング社が双璧をなしているが、日本企業は炭素繊維やチタン、ニッケル合金などの素材面で、重要なサプライチェーンを担っている。

先進国の技術力といっても、ある一部の国の影響力のもとにある。ただこれらの技術力を支えている開発や設備投資には莫大な資金が必要である。次は、先進国の金融面に移っていく。

2026年8月9日日曜日

2学期に向けての教材研究3

サブ=サハラ・アフリカの学習の後は、ASEAN(特にマレーシア・タイ・インドネシア・ベトナム・フィリピン)などの中進国にスポットを当てることにした。サブ=サハラ・アフリカとの対比のために4つの罠の提出課題に主要輸出品の欄を追加した表から入る。サブ=サハラ・アフリカ諸国との最も大きな相違は、工業製品を輸出しているところである。
これはグローバリゼーションの進展下で、サプライチェーンに組み込まれていることを示している。労働賃金が安い故に先進国の企業進出が増加した故である。治安・ガバナンス・ビジネス環境、教育をベースにした質の良い労働者という条件が、呼び寄せたものであることを生徒諸君に理解してもらうことが重要だ。

ちなみに、ASEAN諸国の現在の月額最低賃金の目安は、マレーシア/500USドル、インドネシア/250-400、タイ/300USドル、ベトナム/160-230USドル、フィリピン/160-200USドル、カンボジア/210USドル、ミャンマー/60USドルとなっている。(日本の現在の最低賃金は、約179,360円1~94,830円=約1137USドル〜1,235USドル)である。

マレーシアのペナンは東洋のシリコンバレー、タイのバンコクは東洋のデトロイトなどと呼ばれて発展しているが、実際のところは、ペナンではAIに使われるような最先端の半導体は作れないし、バンコクの自動車工場は日本製のエンジンをつんだ日本車そのものである。中進国の罠に陥っており、先進国入りにはまだ届いていない。

2026年8月8日土曜日

2学期に向けての教材研究2

サブ=サハラ・アフリカの学習の〆は、ダイヤモンドランキングとするアイデアが浮かんだ。このダイヤモンドランキングは、様々な命題に、重要だと思う項目をランキングしながら9つ選ぶという国際理解教育(開発教育)で学んだもの。

ポール・コリアーの4つの罠は、サブ=サハラ・アフリカ理解の重要な視点だが、これに追加的な学びを加えねばならない。貧困の最大の原因である農業の問題。植民地時代に良い土地を商品作物のプランテーションに取られたサブ=サハラ・アフリカでは、悪い土地で主食となるメイズや雑穀の生産を行うことになった。灌漑農業ではなく天水農業を今だに行っているので土地生産制が低い。これは、学院の図書館で借りてきた『シリーズ地域研究のすすめ② ようこそアフリカ世界へ』(遠藤貢・坂本拓人著))の第7章「経済と開発」(出町一恵)に詳しい。緑の革命が取り組まれた時代、1950年代にはケニアやジンバブエでも穀物生産が押し上げられたが、多くの国では80年代に経済停滞が起き、IMFの構造調整プログラムに飲み込まれ、関税引き下げ、公営企業の民営化とともに、政府支出削減の一環として農業分野の肥料補助金が廃止されたりして、農業の近代化が遅れたことも大きい。さらに、主食の慢性的な不足から、商品作物で得た外貨はその補填に使われている。

若者は農村から都市へと移動したが、雇用がなくインフォーマルセクターとしてその日暮らし医を強いられる。3度のアフリカ行で、いやというほどインフォーマルセクターの実態を見てきた。彼らの収入は、当然課税の対象とはならないので、政府の税収は拡大しない。このインフォーマルセクターの存在も貧困の原因として大きい。

これに帝国主義が、多民族社会を無視して引いた国境線によって、国民国家的なまとまりがないことも重要である。これらの学びを追加して、ダイヤモンドランキングを行うことにした。

最大の懸念は、サブ=サハラ・アフリカといっても国によってかなり違うことである。必要な政策を思考しランキングするのに、ステレオタイプはない。たとえば南スーダンやサヘル諸国なら紛争の罠をまず解決する必要がある。治安に問題がない国も多い。そこで、生徒自身に対象とする国を選んでもらうことにした。対象国を自ら詳しくリサーチする必要が生まれるが、それも重要。但し、HDIの上位にある国(モーリシャスや南ア、ボツワナ等)は対象国から省くことにした。

さて、その政策群は、以下のとおり。①軍・警察の充実、②政権の民主主義化(王政打倒)③デモクレイジーの打倒(クーデター等)④腐敗を監視するマスコミの確立⑤税制の確保⑥金融・商法などビジネス環境の整備⑥海外企業の誘致⑦世界銀行・IMFの融資を受ける⑦欧米や日本の融資を受ける⑧海外への移民を奨励しGNIを増やす⑨鉱産資源の国有化⑩新たな鉱産資源の開発⑪観光資源の開発⑫交通インフラ(道路等)の整備⑬発電所上下水道などの生活インフラ整備⑭公共交通システムの整備⑮スマホなどの通信設備の整備⑯デジタル化の推進⑰灌漑で農業の生産性を増やす⑱肥料の使用で農業の生産性を増やす⑲初等教育の充実⑳高等教育(大学・職業教育)の充実㉑保健医療の充実㉒環境問題への対応 後に国債の発行を付け加えた。

②はこれはエスティワニ王国のみに該当する。⑥⑦はそれぞれ厳しい条件がつく。⑧はディアスポラとなった自国民からの送金を期待すること、GNIは海外送金も入る。これと関連しているのが⑮⑯である。今や海外からスマホで送金可能な時代になっている。国債については、外貨(ドルやユーロ)になるし、高金利にならざるを得ないと思う。実際国債を発行している国もある。

サブ=サハラ・アフリカの様々な国に対応する政策となれば、これくらい政策の種類が多くなってしまったのだった。生徒諸君には、それぞれその選択理由を書いてもらう。かなり難しい提出課題になってしまったが、仕方がない。

2026年8月7日金曜日

2学期に向けての教材研究1

北海道から帰ってから、2学期の中間考査の範囲の教材研究をコツコツ進めている。昨年同様、この範囲は、政治経済的なアプローチである。本年はアフリカの開発経済学的な学びから、中進国のASEAN、さらに先進国へというベクトルで進めようと考えている。

1学期の末、期末考査後にすでに提出課題として、アフリカの地名の作業(提出課題)の授業を行った。アフリカ諸国の地名は、ヨーロッパやアジアと違い、馴染みが薄い。この作業の延長戦上で、今回もHDI(UNDP作成の人間開発指数:豊かさのランキング)の整理作業から入る。(昨年7月16日付ブログ参照)世界的な視点でアフリカ(アラブ系のホワイト・アフリカを除いたサブ=サハラ・アフリカ諸国)の置かれた位置を確認してもらうためだ。

さらに、ポール・コリアーの『最底辺の10億人』にある4つの罠を解説してから、サブ=サハラ・アフリカ諸国に絞って、HDI順に確認してもらう作業(画像参照)もすることにした。

「紛争の罠」については、外務省の海外安全HP(https://www.anzen.mofa.go.jp/riskmap/)のレベルを記入してもらうことにした。(これが最も現状としては正確で同時に調べやすい)

「天然資源の罠」については、かなり時間を要するので私の方で具体的な資源など事前にまとめ表に記しておいた。ポイントは資源との関わりで、コンゴ民主共和国のように、資源が紛争の罠と繋がっている:●、ザンビアのように、モノカルチャー経済に陥り国際価格に左右される:◎、現在新たな資源開発されている国:○、ボツワナのように、資源がうまく利用されている国:△、資源に恵まれていない国:ーといった記号も事前に挿入しておいた。

さらに、「内陸国の罠」で、内陸国に○を入れるようにした。最後の「劣悪なガバナンスの罠」については、”腐敗認識指数ランキング”(https://www.globalnote.jp/post-3913.html)から、数値と記号を入れるようにした。

最後に、この作業を通じて判明した「法則性」を箇条書きに文章化してもらうことにした。こういう思考的な教育実践が今最も重視されていると思う。

プリント・提出課題・パワーポイントを同時に作成していくわけで、すこぶる時間がかかる。しかしこれまでの教材研究で最高のものをつくりたいという想いが、酷暑の中で湧き上がるのである。

2026年6月14日日曜日

地図で読むアメリカ

月1の病院通いの昨日、早めに診察が終わったので、枚方市駅近くの本屋に寄った。新しい新書を物色するためである。住道駅の本屋が閉店してしまい、新書が多い本屋がまたひとつ減ってしまった故でもある。

で、選んだのが『地図で読むアメリカ』(J・M・Vardaman著/森本豊富訳/朝日新書)である。昨年地理総合の2学期末の範囲で、11のアメリカというフレーズで地誌的な授業をしたのであるが、この時は、コリン・ウッダード氏の論であった。本書は、10地域に分けている。いずれにせよ、教材研究の一環として読んでおきたいと思ったのだった。11のアメリカの区分より、大まかで内容次第でこちらに乗り換える可能性が高い。

アメリカという国は、まさに合衆国であって、ステレオタイプで語り尽くせない。ボチボチ読みながらエントリーしていこうと思う。

蛇足だが、学院のボストニアンであるG先生と先日、もしアメリカに移住するなら、私は、1:カリフォルニア州のサンディエゴ、2:ノースカロライナ州の海岸平野部、3:G先生の故郷・ボストンだと話した。理由はいろいろあるのだが、気候や地域の人柄などが大きい。

2026年5月11日月曜日

EUの内実 若者の移住問題

https://x.com/OECDTokyo/status/1739798280962224411
ドジャーズは、ブレーブスに全くいいところなしで連敗してしまった。あーあ。エントリーは中止。今日は、YouTubeで見た興味深い内容についてのエントリーにしたい。

EUの国の中で、若者の移住が進み、国家の危機を迎えている国が多いようだ。地理総合の教材研究として、その内容を残しておきたい。(上記グラフはOECDの受け入れ先のグラフ/EU内の移民の多い国の資料は見つからなかった。)https://www.youtube.com/watch?v=FCXr4b4YZXo

ルーマニアは、EU最大の人口流出国と言われている。首都や東欧のシリコンバレーと呼ばれるクルージュなどは活気に満ちているが、内陸の地方では、見捨てられた村が多い。イタリア・ドイツ・スペインなどへ、若者がより多くの賃金を求めて祖国を捨てているからである。国内とこれらの国の賃金格差は絶望的であるとのこと。

リトアニアもこの40年で人口の1/4を失った。イギリスやドイツ、ノルウェー、アイルランドなどに流出した。

クロアチアは観光が盛んな沿岸部はともかく、内陸部は人口減少が進んでいる。ドイツ、オーストリア、アイルランドに向かっている。

ギリシャは、2008年の経済危機以来、若者の人口流出が起こり、島々では極端な高齢化・少子化が進んでいる。親がドイツやオランダに行き、祖父母が孫の面倒を見るというルーマニア同様の現実がある。

ラトビアもまた移民と過疎の波が、EU加盟後に移動の自由を得た後に起こった。イギリス、ドイツ、アイルランドへ消えた。人口の約1/4がロシア系住民であるというのも社会的分断を呼んでおり若者の背中を押している。

エストニアは、IT先進国として有名であるが、インフレの中、給料が上がらず、フィンランドやスウェーデン、ドイツに向かっている。地方は過疎化が深刻である。ラトビア同様にロシア人との問題もある。

ポルトガルも、賃金の低さから移住が進んでいる。リスボンなどでは海外投資のせいで住宅価格が上がり、ローカル(現地の人々)は追い出されてしまった。イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、ルクセンブルグなどに知的エリートが移り住んでいる。

ポーランドも過去数十年にわたって経済成長をした国だが、イギリス、ドイツ、オランダなどに若者が移っている。物価上昇とそれにおいつかない給料、官僚主義的な政治など閉塞感に満ちている。

ブルカリアは、最も人口が減少している国の1つである。経済成長はしているものの、給与はEU平均を大きく下回っている。ドイツ、オーストリア、あるいはイギリスへの移住が多い。官僚主義と汚職も大きな問題である。

若者が世代ごと移住するということは、大変なことである。労働力が減り、イノベーションが生まれず、活力が失われていく。少子化も進む。地方は疲弊し、急速な高齢化、学校も病院も閉鎖されていく。

…EUの「移動の自由」は、グローバリゼーションの中で、このような結果を生んでいるわけだが、必然的なような気もする。EUに後から参加した東欧諸国は、安価な労働力のサプライチェーンとして投資も進んだのだろうが、若者にはそれが足かせ(安価な労働力に我慢できない)となり、移住が進んだように見える。上記の各国の移民先が気になるところ。GDPからドイツが多いのは当然だが、ルーマニア→イタリア、エストニア→フィンランドなど、それぞれの特徴も出ているように思う。また地方の過疎の農業地帯には、これから先進国の農業ビジネス会社が侵略していくような気がする。それはさておき、これらの国々の存続自体が危ぶまれる。民族や言語の違いを払拭して、統合から合併・併合へと進むのだろうか。

2026年2月25日水曜日

ロシア解体新書

https://www.youtube.com/
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来年度の地理の授業に役立ちそうなYouTube第二弾。「ロシア解体新書」。

二学期の後半に、アメリカを中心軸に、いくつかの国の国是というか理想についてまとめたのだが、ロシアについても語った。ロシアは、ヨーロッパからは田舎と蔑まれた、歴史的地政学的に半分アジアの国である。しかもナポレオン(祖国戦争)とナチスドイツ(大祖国戦争)に、二度も蹂躙されているというトラウマがある。一時期、ロシア革命による世界初の社会主義国家・ソ連となり、一部のヨーロッパ人から尊敬を受けたが、ソ連崩壊後は、またトラウマに支配されることになる。(このマルクス・レーニン主義を教えるのが、倫理や政経ではまだしも、地理では時間をとるのが難しい。)

このYouTubeはその辺をうまくまとめてくれている。大学生向けとされているが、高校世界史を履修してれば問題はないと思う。おすすめは、ロシアが侵略をやめれない理由を解説した以下のURLのものである。

https://www.youtube.com/watch?v=Nvdl6CPRUrw

2026年2月24日火曜日

熱帯の経済が発達しない理由

https://www.youtube.com/watch?v=XQ-ITuArBLA
地理の教材でも使えそうなYouTubeを発見した。https://www.youtube.com/watch?v=XQ-ITuArBLA

経済が発展しているとは、国民1人あたりの付加価値が多いことを意味する。この付加価値を多く生み出すためには重化学工業が発達する必要がある。この重化学工業は、資本集約的産業という特徴がある。つまり、設備投資に膨大な金が必要である。これは「蓄財」への取り組みこそが重要であることを意味する。このYouTubeでは、蓄財を不道徳とするカトリックと、不道徳ではないとするプロテスタントの相違でヨーロッパの南北格差を説明している。さらに、蓄財の背景として、気候の相違からも語られる。Cs(地中海性気候)の南欧では、温暖故に食料を貯めるという行為は愚か(=腐らせる)な行為であり、北欧はその逆になる。高温多湿な熱帯(A)は、ヨーロッパの例から導かれる(食料の)備蓄の文化の無さが顕著であり、蓄財への意識も同様である。

農業の生産性の問題も大きい。生産性の高い国ではと蓄財が可能だが、低いと不可能である。熱帯の地質は、微生物の働きが活発すぎて、落ち葉や遺骸が分解され尽くしてしまい、土壌に還らないという特徴がある。Af(熱帯雨林気候)やAm(熱帯モンスーン気候)では、多大な降水量が養分を洗い流してしまう。樹木が多いことと土壌が豊かであることは関係しない。熱帯の樹木は根から酸を放出して、土や岩を溶かし痩せた土地から養分を得ることができる能力がある。これにより、土壌が酸性化し、作物にとっては成長が鈍る。伝統的な焼畑農業で生まれる灰や炭はアルカリ性で中和させる事が可能だが、どうしても生産性は低くなる。よって農業従事者の蓄財は厳しくなるのである。ところが、日本では渋沢栄一が、農業従事者に蓄財を勧め、銀行に預金を集めて、資本を形成したという過去があり、このことが日本の経済的成功の重要な一因だと説いている。…なるほど。

最初に、「教材に使えそうな」と書いたのだけれど、途中、もろにカトリックの悪口が語られていて、カトリックの学院で、直接このYouTubeを見せることは諦めた次第。(笑)

2026年1月21日水曜日

外国語学部専攻語アドバイス

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共通テストが終わり、もうすぐバンザイ・システム(予備校による全国的な資料を元に合格率を出すシステム:昔A評価だとバンザイのマークが付いたので業界ではこの名がある。)が出てくる。昨日、特進コースの生徒から、某国立大学の外国語学部の専攻語選択について、アドバイスを求められた。

中国語・デンマーク語・アラビア語・モンゴル語・フランス語・トルコ語・フィリピン語・スペイン語・ロシア語・ベトナム語・ドイツ語・ヒンディー語・ウルドゥー語・アラビア語・朝鮮語・英語・ペルシャ語・インドネシア語・イタリア語・スワヒリ語・タイ語・ポルトガル語・ハンガリー語・ビルマ語・スウェーデン語の中から1つ選ぶことになる。昔M高校時代にもよくアドバイスをした。この言語に全て志望順位を付けなければならないらしい。

私のアドバイスのポイントは、1:成績結果次第であること。ヨーロッパ言語は比較的上位の成績が必要で人気が高い。アジア・アフリカの言語は人気が低く、比較的下位になっている。ただ、マイナーな言語は日本語対応の辞書がない場合が多く、英語版辞書で学ぶことになるので、英語の学力がさらに身につく。2:各言語の文字が、アルファベット(ダイアクリティカルマークのあるものも含む)か、それ以外か。学ぶうえで文字の違いは大きい。3:文法的にSVOCか、日本語同様、Vが最後に来るのか。これも大きい。

成績のことはとりあえず無視して、上記の言語をアドバイス・ポイントの2・3で4分類してみることを勧めた。アルファベットにこだわるか、SVOにこだわるかである。一応自分でも分類してみた。

アルファベット&SVO:デンマーク語・フランス語・フィリピン(タガログ)語・スペイン語・ベトナム語・ドイツ語・英語・インドネシア語・イタリア語・スワヒリ語・ポルトガル語・スウェーデン語

アルファベット&非SVO:トルコ語・ハンガリー(マジャール)語

非アルファベット&SVO:ロシア語・タイ語・中国語(中国語の文字は簡体字化している)・アラビア語(基本はVSOだが、SVOも非常によくつかわれるらしいので、ここに分類)

非アルファベット&非SVOC:ヒンディー語・ウルドゥー語・朝鮮語・ペルシア語・ビルマ語

アジア・アフリカ諸国の言語には、旧宗主国の語彙が混じってくることも伝えておいた。結局、本人が何に重点を置くかが大切だと思う。この分類以外にも、その言語を使う国の魅力なども加味されるだろうと思う。ちなみに私のおすすめは、英語やマレーシア語同様、アルファベットでダイアクリティカルマークがない、ケニア・ウガンダ・タンザニアで使われる”スワヒリ語”である。(笑)

2026年1月19日月曜日

共通テスト2026 地理

共通試験の考察、最後は地理である。正直なところ、あまりおもしろい問題はなかったのだが、あえて挙げるとすれば、第5問の問2。当該国における外国人居住者と当該国における国外居住者をグラフ化(画像参照)した問題。当該国は、UAE・インドネシア・フランスの3カ国である。アはUAE、イはフランス、ウはインドネシアで、決して難問ではないが、世界的に見た人口移動の状況は重要だと私は思っている。
もう一つ。第6問の国際河川と気候区の関連付けの問題(画像参照)。各ケッペンの気候区は上流から河口にかけて明確にはされていない。ここがミソである。ドナウ川は上流から河口までCfb。次にイの河口とウの上流が同じというのもミソ。これはAwである。これだけで正解が導かれるわけだ。

本年は、私に関係の深い3科目の考察、というより面白い問題の抽出になってしまった。共通テストは、毎年毎年、資料を使った思考問題に変換されている。国公立大学を目指す優秀な高校生に求められているのは、まさに短時間で資料を読み解く力と思考力であることが明確になってきた。現場としては、この傾向をますます踏まえなくてはならないわけで…。

2026年1月13日火曜日

ポスターセッション無事発表

このところ、硬い話題ばかりだったので、久しぶりに地理総合の授業の話をエントリーしたい。本日、ポスターセッションの最初の発表をやった。グループ分け・国選び・企画段階で1時間、3クラスのグループ数が判明してから模造紙購入をして年明けに配布、制作開始で1時間。そして次の時間に発表本番という、かなりタイトなスケジュールとなった。これは、オーストラリアからの短期留学生(昨年12月7日付ブログ参照)にも発表してもらいたいという理由によるものである。

果たして、それぞれ完成し発表できるか不安であったのだが、全グループはスタンバイできていて安心した。聞くと土曜日の放課後に作業をしていたグループ、B4の白紙に各自の担当部分を自宅で完成させて張り合わせたグループなど様々に工夫してくれたようだ。

特に印象に残ったのは、いつも熱心に授業を受けてくれたグループの「ブルキナファソ」の発表である。何より、最後にブルキナファソの問題点を解説してくれた点である。最貧国のひつであるブルキナファソの教育や保健医療の問題に踏み込んでくれていた。授業の最後に、少し私の体験的な保健医療や教育の問題(街角で足の立たない人を見たこと、JICAの看護師さんが言っていた妊婦が病院にいくと悪霊がつくと避けている現状や奈良教育大学の先生が数学の授業を教育関係者にしていたこと、教育省のエリートと対話させてもらったことなど)を付け加えておいた。良い授業になった。

特に、敬意を払ってオーストラリアを選んで発表した留学生の参加するグループの写真を中心に撮り、授業終了直後に私のカメラ→PC/USB経由でホームステイしている生徒のPCに移すことが出来た。後はどうにかなるだろう。(笑)日本での思い出の一つになればと思う。

2025年12月29日月曜日

今年この1冊 2025

https://x.com/Osaka_Shin_Ai/status/2002961293293064605
年末恒例の「今年この1冊」のエントリーである。学院図書館(画像参照)や市立図書館で借りた本は、今年という修飾語に合わないので、佐藤優氏の『哲学入門』『ゼロからわかるキリスト教』などは、残念ながらまず省いた。というわけで、候補に残ったのは、次の5冊である。新書ばかりで、しかも全て違う出版社になった。(笑)

神なき時代の終末論(佐伯啓思著/PHP新書)
経済で読み解く世界史(宇山卓栄著/扶桑社新書)
伝授!哲学の極意(竹田青嗣・苫野一徳著/河出新書)
誤読と暴走の日本思想(鈴木隆美/光文社新書)
荒野に果実が実るまで(田端勇樹/集英社新書)

”アフリカ留魂録”という我がブログのタイトルからして、京大農学部の新卒の青年がウガンダでの国際協力の実態を描いた稀有なノンフィクションである『荒野に果実が実るまで』が最も妥当に思えるのだが…。

倫理の教師としては、『伝授!哲学の極意』と『誤読と暴走の日本思想』の両書は実に示唆に富んだ内容で、有為であった。『伝授!哲学の極意』は、プラトンの善のイデアから始まる哲学の王道を学んだし、『誤読と暴走の日本思想』は、儒家や仏教思想にいかに西洋哲学を接ぎ木したかがわかる。もし、倫理を教えているならば、この両書は格好の題材として使えたと思う。全国の同業者に是非一読を勧めたい新書である。

『経済で読み解く世界史』は名著であり、教材研究の宝庫であった。受験科目として暗記するだけの世界史ではなく、繋がりを理解・重視する世界史の教養は、社会科教育の中で、ある意味最も重要だと私は考えている。これも全国の同業者だけでなく、全ての読書人に是非勧めたい。

しかし、現在、地理総合という科目を教えている身からすれば、”今年この1冊”は、『神なき時代の終末論』に落ち着く。その最大の理由は、本年度の地理総合の授業を、この書にある”世界を四層に分けるて見る”という社会思想的な視点をもとに授業を構成したからである。

1学期は、基層となる風土(地形や気候などの自然環境)と、深層となる無意識のうちに人々の思考形式の型を与えると文化・歴史的経験と宗教を、世界価値観調査の図をもとに講じた。2学期は、中層となる現実的な国営機・勢力圏や生存権、同盟・敵対関係、戦争などを、HDIのランキングをもとに、構造的暴力などの国際理解教育・途上国理解の視点を交えて講じた。さらに表層、ある種の理念や価値の高い理想ということで、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・ロシア・南ア・オランダといった国々の国是を中心に講じた。
この四層に分けた構成は、3年生で受験科目ではない地理総合という非常に珍しい学院のカリキュラムでは、世界史・日本史・政経・倫理などの他の社会科科目の復習と関連してしても講じれるので、かなり有効だと思われる。

というわけで、今年も多くの良書に恵まれた1年であった。

2025年12月7日日曜日

ポスターセッション 留学生参加

https://newt.net/aus/mag-066016825969
先日、学院にオーストラリアのメルボルン(画像参照)の姉妹校から1ヶ月ほど短期留学してくる子が、3年生の生徒宅にホームステイするそうで、私の地理総合の授業に参加することになった。期末考査後から来年にかけては、ポスターセッションをする予定のクラスなので、それはそれで楽しみである。

M高校時代は、こういう留学生が授業に参加してくる事例はよくあったので、私自身は特に問題はない。またまたサバイバルイングリッシュで対応するだけである。(笑)

ポスターセッションの候補国に、オーストラリアを入れているのでちょうど良いかも知れないと思っている。