2026年3月20日金曜日

海自の掃海技術が凄い

https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/mso/awaji/
日米首脳会談で話題となっているのは、ホルムズ海峡への海自の出動要請であるようだ。特に「掃海挺」(機雷を除去する作業船)が必要らしい。この話を聞いて、私がイメージしたのは非金属で出来た木造船であった。これはかなり古いイメージであり、機雷もトゲトゲした金属製の球体を思い浮かべたのだが、今の機雷は、音(船のエンジン音の周波数)や水圧(航行による水圧の変化)、磁場(金属の船体が生み出す磁場)を同時に捉え、どんな船か判断する能力を持っているに反応するらしい。海底で待ち続けるプログラム兵器であり、通過回数やを数える機能(例えば3隻目に作動する)もあるという。浅く狭いホルムズ海峡は機雷にとってうってつけの条件を持っているわけだ。

海自は(まだ自衛隊が生まれる前の)朝鮮戦争以来の掃海経験、さらに1991年の湾岸戦争後のペルシャ湾での掃海経験をもっている。この時は他の国が手を付けられなかった機雷を見事に処分している。

現在では、FRP(=繊維強化プラスチック/磁場を発生させない)で造られた世界最大級の「あわじ型」(画像参照)をもち、機雷関連の戦闘艦20隻と掃海ヘリを10機保有している。(世界最強のアメリカ海軍は8隻だから、倍以上である。)「あわじ型」は、水面近くの機雷は専用のレーダーで探知可能だし、深い海底でも無人潜水機で機雷を探知すると自走式処分爆薬という装置が機雷に近づき爆破できるという凄い艦である。ヘリは掃海装備を空中から引きながら広い海域を探知できるそうだ。地味ながら70年積み上げてきた技術のまさに集積と言える。

安倍政権時代、安全保障関連法を整備した際、このホルムズ海峡の機雷封鎖を代表的事例として挙げ、集団的自衛権を使って可能としてきた。それが現実になった今、たしかに難しいところである。国家存立危機にたるか否か?戦闘行為中の機雷除去は戦闘への参加とも見なされ、憲法との兼ね合いで、法的には今すぐ動くことは難しいというのも事実…。

https://www.youtube.com/watch?v=6f1XOL1LXiw

2026年3月18日水曜日

WBC 祭りのあと

https://embar.howetic.info/item-ip4ehel4g6.html
今回のWBCは大方の予想を裏切る展開であった。決勝戦は接戦の末にベネズエラがアメリカ3-2で勝った。

勝った方は問題ないが、負けたらいろいろと批判が出てくる。敗北の責任を追求し、戦犯を探し出す。「組織」というもののもつ宿命的な「祭りのあと」が吹き出す。侍ジャパンもその例に漏れず、様々な批判が飛び出している。その多くは井端監督に向かっているようだが、連覇というプレッシャーの中、誰も引き受けなかったのをU-12の監督をしていたがために、ドタバタ劇の中で就任したという経緯があるようだ。NPBでの監督経験もなく、スター選手をまとめるだけのカリスマ性もないままに苦しんだと思う。すくなくとも他者に責任を押し付けず、全責任は私にあると言った井端監督に対し、(専門的な野球評論家はそれが仕事ゆえに仕方ないとしても)心無い批判は慎むべきだと私は思う。それが美学というものだ。

仮説 イラン攻撃とドル

ニクソン大統領は、ベトナム戦争終結、ウォーターゲート事件での辞任など、かのジョン・レノンが住んでいたNYCのダコタアパート入居を拒まれたくらい歴代大統領の中でも人気も評価も低い。とはいえ、1971年のドルショック(ドルと金の交換停止)を敢行した際に、参謀のヘンリー・キッシンジャーがドルをただの紙切れにはしなかった。サウジ王家と石油取引にドルのみを使うことと引き換えに、アメリカ国債を購入する王家を軍事的に守るという秘密協定を1974年に結んだ。ペトロダラーシステム(石油をドルでしか買えない仕組み)である。このおかげで、世界各国はドルを得なければならくなり、ドルをいくらでも刷れるアメリカは、国家債務を好きなだけ増やせるようになった。これは、ニクソン政権の置き土産であるわけだ。(本日の画像はAIで作成)

もしこのシステムが崩れたら、ドルの需要が急落し、金利が上昇し、現在$35兆の債務を抱えるアメリカは崩壊する。

イラクのフセインが2003年に石油をユーロで売ると宣言した。3年後イラクにアメリカは侵攻した。2011年にはリビアのカダフィが、アフリカ統一通貨・金ディナールで石油取引を計画した。その年NATOが空爆した。

世界最大の石油輸入国である中国は、2018年に上海エネルギー取引所を開設、人民元で取引しようとした。ここでSWIFT(ドル建ての国際金融取引システム)を遮断されていたイランが登場する。人民元で取引したことは、50年間続いているドルによる石油取引独占に亀裂を生み、それはアメリカの覇権を脅かすことになった。さらにデジタル人民元を開発、SWIFT・ドルなしの国際決済システムを構築。ベネズエラも同様に人民元で石油を中国に輸出していた。(両国あわせて中国の全輸入量の17%)しかも2024年にサウジがこのドルを迂回するシステム(mBridge)に参加し、BRICSへの参加も検討していた。

しかし、イランの報復攻撃でサウジはアメリカ側に戻った。湾岸諸国も同様である。アメリカの戦争コストは6日間で、$113億。ペトロダラーシステムが崩壊した場合の損失は$35兆の国家債務全体が揺らぐ。そう考えれば、実に安い投資である。アメリカがイランを攻撃したのは、まさにドルを守るためであったという仮説、いや真実…。

https://www.youtube.com/watch?v=caEGJ7i3cdo

2026年3月17日火曜日

civil warの宗教戦争的側面

https://www.twinkl.jp/teaching-wiki/american-civil-war
「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)の書評の続きである。civil war(南北戦争)は、自由貿易か保護貿易かの経済政策的対立が主原因だと思っていたが、奴隷制をめぐって宗教戦争の側面を持っているという。

南部の奴隷制擁護の聖句は、創世記(9-25)の「カナンは呪われよ。奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ。」と、レビ記(25-44/45)の「あなたの男女の奴隷が、周辺の国から得た者である場合は、それを奴隷として買うことができる。…それを財産とすることもできる。」よって、クリスチャンでなく異なる人種ならば、奴隷として売買や所有が許されており、新約でもイエスは奴隷制度を非難していない、という論である。

それに対し、北部はマタイの福音書(22-37)「心を尽くし、…あなたの神である主を愛しなさい。…隣人を自分のように愛しなさい。」を聖句として反論した。要するに、黒人奴隷にも隣人愛を持つべきだと説いたのである。

civil warでは、南軍1300人、北軍2400人もの従軍チャプレンを動員した。両軍とも10万人が回心したとされ、戦中戦後で宗教意識が高まった。また南部のバブテスト教会の黒人クリスチャンは、白人教会を離脱するものも多かったという。

2026年3月16日月曜日

アメリカの「市民宗教」

https://nativecamp.net/blog/20221126-holidays
WBCのアメリカ対ドミニカ共和国は、アメリカが僅差で勝利した。これまでの勢いからドミニカ共和国有利と見ていたが、見事に予想を裏切るのが今回の大会の特徴であると思う。

さて、そのアメリカの「市民宗教」について、本日はエントリーしようと思う。「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)の書評の続きである。「市民宗教」とは、このブログでも何度か登場したルソーの『社会契約論』から始まった概念で、国民の宗教的指向性といえる。イギリスなら英国国教会、ドイツなら北部はルター派、南部がカトリックといった具合である。

アメリカは連邦憲法の修正第1条で、信教の自由を謳うと共に、政教分離の原則も規定している。だが、公務員の就任宣誓、さらに紙幣や硬貨には、「我々は神を信じる」の明示があり、一見政教分離に反しているようなことが当たり前に行われている。この神は、キリスト教の神と言うより超越的な神、社会に秩序を与える機能的な神と受け止められている。

歴代の大統領で最も尊敬を集めているのは、初代のワシントンと16代のリンカーンであろうと思われるが、彼らは特定の教会に属さないが礼拝には出席し、演説でも聖書的背景が色濃く出ている。しかし、ワシントンは神という言葉を、リンカーンはイエスという表現を使わなかった。しかし両者とも神への感謝を強く国民に訴えたと言われている。

アメリカにはフランスの”ライシテ”のような徹底した政教分離は行われていないし、多くの宗派に分かれているキリスト教やユダヤ教、仏教、イスラム教、ヒンドゥー教等の国民を包括した微妙な「市民宗教」を形成しているわけである。その最も顕著な例は、メリー・クリスマスを、ハッピー・ホリデイと言い換える風潮であるといえるだろう。

2026年3月15日日曜日

侍ジャパン、準々決勝で散る

https://www.youtube.com/watch?v=5zGpHYR5uVA
ベネズエラは実に強いチームだった。初回、先頭打者HRを打たれて、その裏大谷選手がお返しの先頭打者HRを打ったのには、さすがだったし、鈴木誠也選手が盗塁で怪我をして、その代役となった森下選手の逆転3ランもおおいに湧いたのだが、その後はベネズエラ打線の凄さばかりが目立った試合となった。あーあ。初のベスト4を逃した大会になってしまったのだった。残念。

2026年3月14日土曜日

福音派の博物館

https://www.christiantoday.co.jp/articles/30343/20211214/patrick-marsh-designed-ark-encounter-creation-museum-dies.htm
福音派の人々は、聖書の無謬性を信じている。と、いうことは進化論の否定に繋がる。スコープス裁判(テネシー州では1925年に反進化論州法=バトラー法が定められ、公立学校で生物進化論を教えることを禁じたことに違反したとされる生物教師・スコーブスを有罪とした裁判)が有名だが、2018年の調査によると、非進化論の立場を取る人々は、白人福音派で38%、黒人プロテスタントで27%、白人主流教会派で16%、カトリックで13%、全成人では18%となっている。

これに進化の過程には神の導きがあるとする有神論的進化論支持者が、白人福音派で58%、黒人プロテスタントで66%、白人主流教会派で53%、カトリックで56%、全成人では48%もあり、科学大国アメリカにおける驚くべき数字である。(ちなみにヨーロッパ主要国の平均は、進化論支持が40%、非進化論が20%、有神論的進化論支持者が21%である。)

この数値は「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)によるものである。本書には、こういう非進化論(=創造論)のスタンスで建てられた博物館がいくつか紹介されている。

ケンタッキー州には、方舟との遭遇館という、実物大(長さ155m・幅26m・高さ16m)の博物館があり、ノアとその家族が収容された動物と船内でどう過ごしたのかという展示やアトラクション、大洪水の最中にどんなことが起こったかなど、ノアの箱舟が事実であることを科学的に説明しようとしているそうだ。(画像参照)

またテキサス州には、ICR科学と地球の歴史発見センター、ワシントンD.C.には聖書博物館などもあり、子供に聖書の無謬性を伝える役割を果たしているそうだ。

ところで、アメリカの宗教心の強さ、特に黒人の教会での礼拝への姿勢には、何度も驚かされたことがある。初めてシカゴを訪れた時に、黒人の婦人がシカゴマラソンで通行止めになり、教会に行けないことに怒り、「神があなたをゆるさないわ」と警官に怒鳴ったのを見聞きした時は、その言葉自体に大いに驚いた。(このような言葉を、日本では絶対聞くことはないだろう。)またNYのハーレムツアーで、正装というか精一杯おしゃれをして集まっていた黒人女性や子供(彼はスーツに蝶ネクタイをさせられていた。)にも驚いた。彼らにとって教会に行くということの重みを感じずにはおれない。「ジーザス・イズ・カミング」をバプティストの牧師が何度も叫び続け、デキシーランドジャズ風のゴスペルに切り替わった途端、すごい光景を目にしたのだった。トランス状態の人々を始めて見させてもらった。

アイオワでは、ホームステイさせていただいていた姉妹校のミラー先生(ドイツ系)とともに、ルター派の教会の礼拝に参加した。白人ばかりで、厳かに礼拝は進んだ。おもしろいのは、先生の奥さんはアイリッシュでカトリックだったことだ。こういうことも、アメリカの宗教の実相であると思われる。