2026年5月10日日曜日

フロイト漫画講座と訳者論文

https://www.amazon.co.jp/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E7%94%9F%E3%
81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%
A4%E3%83%88%E6%BC%AB%E7%94%BB%E8%AC%9B%E5%
BA%A7-%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%8C-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4900963615
『高校生からのフロイト漫画講座』(コリンヌ・マイエール著・アンヌ・シモン画・岸田秀訳)の最後に訳者の論文「フロイト理論とは何か」があって、なかなか興味深い内容であった。

フロイトの生きた19世紀末のヨーロッパについては、ヴィクトリア時代の最盛期、キリスト教が唯一の普遍宗教でヨーロッパの文明こそが人類唯一の最高の文明であり、それ以外の邪教を信じる民族は下等で不潔で穢れている故に野蛮人であった。この野蛮人に対しキリスト教化し、文明化するのが崇高な使命と責務を負っているつもりであった。

神は死んだ(ニーチェ)、とかでキリスト教の信仰が衰えてからは、神が理性に取って代わられた。ヨーロッパ人だけが理性をもった賢明な人(ホモ・サピエンス)であり、他は無知蒙昧な存在とされ、植民地化が進み、多大な被害を与えたが、加害者のヨーロッパ人自身も被害を免れることはできなかった。

子供はまだ理性を獲得するに至っていないので公教育制度が成立した。(この話は実に興味深い。)大人の社会で精神病とされた人は終身刑のように精神病院に送られた。言うまでもなく、このような「理性人」は現実には存在しない妄想であった。一方、理性に基づいて正しい道徳を制定し、正しい理想の社会を構想し建設できるという妄想を実践しようとした。フランス革命もロシア革命も失敗したのも当然である。

URL同じ
フロイトはユダヤ人である以上、一般のヨーロッパ人とは異なる何らかの思考形式や感性があったに違いない。被差別者には差別者の無意識がよく見える。差別者は往々にしておのれの醜い面を否認し、被差別者に投影するので、差別者の醜い面は被差別者には丸見えになる。特にヨーロッパ人は理性中心主義に反する性欲は強く抑圧されてきた。ユダヤ教ではキリスト教ほど性的禁止はなく、神々しい行為と見られていた面があり、リピドーが理論化されていく。

ここからの内容が俊逸である。明治初期で外人教師が地動説を説いた時、(聖書を知らない)学生たちが別に驚かず平気な顔で聞いていたので驚いたという話があるが、フロイト理論も専門用語をさておいて具体的にどういうことを言っているかと考えれば、日本人にとって別に突飛なことは言っていない。

精神分析は性格の形成における幼年期の重要性を強調するが、日本には「三つ子の魂百まで」という諺がある。フロイトの言う用語を日本語の諺で言うとわかりやすい。「抑圧」は「頭隠して尻隠さず」のこと。「投影」は「下衆の勘ぐり」。「愛憎一如」は「可愛さ余って憎さ百倍」。またフロイトは、宗教は幻想であると説くが「鰯の頭も信心から」。「転移」は「江戸の敵を長崎で討つ」あるいは「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。」「ナルシズム」は、自分の欠点は自分には見えないが他人にはよく見えるので「岡目八目」。「摂取」は他者の特徴を身につけることだが、好ましくない特徴の場合「朱に交われば赤くなる」などになる。フロイトは民衆の知恵を網羅している。体系化し理論化しただけだというのが、訳者の論旨である。

…なるほど、である。まとめると、フロイトは被差別者のユダヤ人(ユダヤ教徒ではない)として、キリスト教の神や理性に翻弄されることがなく、人間の深層に迫ることが出来た。日本人にも同様に、キリスト教の神や理性の呪縛がないので彼の精神分析学を容易に理解することが可能である、ということになる。…ちなみに、本文(上下の画像参照)の最後の最後に、フロイトの名の意味は「喜び」という意味であることが書かれている。この「喜び」とは、神や理性に翻弄されない、呪縛がない(=アンチ・ヨーロッパ)という意味に受け取ってもいいのではないか。

2026年5月9日土曜日

ブレーブスとの初戦 快勝

https://www.youtube.com/watch?v=wnaf2OdH628
現在勝率8割という、今MLBで最も強いアトランタ・ブレーブスとの初戦。ドジャーズは快勝した。相手投手はMLBを代表する名投手であったのだが、まずはテオヘルとタッカーで1点。大谷選手が決勝打となるタイムリー・ヒットで1点。フリーマンがさらにソロHRで1点。これを投手陣と守備陣が頑張って守り抜いたのだった。

ドキドキするピンチの展開もあったが、やはりドジャーズの強さが証明されたいい試合だった。明日は、ササミローキ投手ではなく、山本由伸大好きのスネル投手が復活登板で先発するらしい。大谷選手の打撃不振も底をうったとハムショー氏も言っていたが、私も同感。この三連戦、相手が強いだけによけいに頑張ってほしい。

フロイト漫画講座とダリ

『高校生からのフロイト漫画講座』(コリンヌ・マイエール著・アンヌ・シモン画・岸田秀訳)を、通勤で気楽に読めそうなので昨日学院の図書館で借りてきた。

本編もなかなか面白い。アンナ・Oの症例、エディプス・コンプレックス、ねずみ男の事例、ハンス少年の症例を挟みながら、フロイトの人生を概観している。1938年、ナチの台頭で、ロンドンに移住してから、サルバドール・ダリがフロイトに会いに来た話も出てくる。ダリは、「フロイトの頭をカタツムリみたいですね。」「私と気違いとの違いは、私は気違いではないということです。」と言ったようで、フロイトは「気違いになりたい人は気違いじゃないよ、ハッハッハッ。」と言っている。(差別用語バリバリだが、本書のママに記した。)
https://www.artpedia.asia/dali-snail-and-the-angel/#google_vignette
このダリとの対話に関しては、ダリのシュールリアリズムの作品群を念頭に置くと実に面白い。特に、この出会いの際に、自転車の上に乗っていたカタツムリにインスピレーションを得て「カタツムリと天使」という彫像を後年作っている。…つづく

2026年5月8日金曜日

GWは貨物列車の動画三昧

https://www.youtube.com/@cargojournal
GWが終わって、一昨日から授業が再開した。GW中は、例年どおり中間試験を作っていたのだが、休憩時に最も心が休まったのは、貨物列車のYouTubeを見ている時だった。

私にとって貨物列車を見る機会があるのは、鴫野駅と放出駅の両駅である。おおさか東線は旧城東貨物線で、百済貨物ターミナルと東海道本線を結んでいるからで、両駅に立っていて偶然見れることがある。ものすごく得をした気分になる。(笑)私は鉄道ファンではないが、貨物列車が大好きなのである。

このGW中、何本のYouTubeチャンネルを見ただろうか。大阪には、大阪(吹田)貨物ターミナルと安治川口、それに百済の3つの貨物ターミナルがある。全国にJR貨物の駅があるわけで、丁寧に〇〇発〇〇行き〇〇列車とかの紹介を見る度に、心が踊る。東海道本線を走るものもあれば、日本海側を走るものもあり、四日市から長野方面にガソリンを運ぶタンク列車もあったりして、だいぶ知識が広がった。牽引する機関車にも地方差があって面白い。青函トンネル専用の機関車やディーゼルのものもあったりする。

https://www.youtube.com/@cargojournal
コンテナにも特徴があって、面白かったのは、4匹のくまが描かれたブルボン製菓専用のコンテナや、西濃運輸に2台しか無いというキティちゃんの描かれたコンテナがあったりする。なかなか貨物列車ウォッチングも深いのである。(笑)

2026年5月7日木曜日

アストロズ3連戦

ヒューストン・アストロズとの3連戦。第1試合は山本由伸投手が先発。3点を取られたが、打線が繋がって勝利した。これはいける、と思った第2試合は、大谷投手が先発。さすが投手部門での月間MVP。(打者部門と投手部門の月間MVPはMLB史上初の快挙)この日も凄い投球内容だったが、ソロHRを2発打たれてしまった。それでもまだ防御率は0点台をキープした。この日は打線の繋がりはあってもあと1本が出ず敗戦投手になってしまった。

第3試合は、5時起きで後半戦を見たが、すでに試合を決めていた。大谷選手は久々の2ベースヒット、シングルヒットを放っていて安心した。第1試合も無安打、第2試合は投手専念だったので、明後日以後、持ち直してくれるだろうと期待。

それにしてもMLBのタイトさは半端ない。連戦に次ぐ連戦。各チームとも怪我人が続出している。高い報酬をもらっているとはいえ、これでは…と思う。

余談だが、ライブ配信をしてくれているハムショー氏も、連日の中継(ドジャーズと日本ハム、それに井上尚弥のボクシングまで)やら日本ハムでの始球式やらで、疲れがたまり、しかも風邪でボロボロだった。うーん、彼もタイトすぎる。

2026年5月6日水曜日

チェックメイト:日本語学校

https://school.sugawara4976.com/japanese-languageschool-before/
以前からあった日本語教育機関認定法が、現内閣で厳格化されるようだ。文部科学大臣は、この法律を施行し、現在国内にある日本語学校の認可を(裁判によらず行政命令として)取り消すことができる。これによって近い将来、国内の日本語学校は激減する可能性が高い。

現在日本には、留学ビザで入国し、不法労働を行うのが主目的の幽霊日本語学校もあり、のべつ幕無しの不法移民の増加を防ぐ意味合いがあるようである。特にこれからの日本語学校には、生徒の管理(留学ビザ制限内の労働時間を守らせること)も業務面で必要不可欠とされている。またN1・N2(日本語検定試験1級・2級)修得といった教務面、日本の社会に適応できるようにといった面も含まれていく。

先日後輩のM君が、退職後日本語教師の資格を取り、近隣の日本語学校に勤めているという報告があった。第二の人生のスタートである。実に良い知らせで喜んでいたのだが、彼の務める日本語学校は大丈夫なのだろうか、と不安になった。

マレーシアのPBTで日本語教育を横目でみていた私としては、たしかに今回の厳格化は正当なものだと思う。ただ、留学生といっても、地域・学力・経済力の差が大きい。文部科学省の認定を受けることができるのは、おそらく日本のそこそこの大学に合格するくらいの日本語能力と経済力が必要不可欠な留学生のみを対象としているように思う。学力面においては、もう少し余裕をもたせてもいいのではないかと思う。

2026年5月5日火曜日

チェックメイト :イラン

https://www.cnn.co.jp/usa/35246923.html
久しぶりにイランの話をエントリーしたい。イランとアメリカ・イスラエルの停戦合意下、ホルムズ海峡でイランからの攻撃があったようだ。様々な情報が入り乱れて正確なことはわからないのだが、イランでは政権が大混乱していることは確かで、革命防衛隊の戦意はまだあるようだ。

イランの石油積出港は全てアメリカ海軍が封鎖している。この事実は単に輸出ができないというだけでなく、石油タンクが満杯になり、油井を止めなければならないという自体を引き起こしている。これはイランにとって非常に厳しい。油井の操業が長くストップすれば、いずれその油井は使えなくなる(地層の圧力バランスが崩れ、地下水が入り込み永久的な損傷を受ける。)からである。

しかもこれ以上の戦闘を続けるならば、生活インフラの発電所や水利施設を空爆で破壊される恐れがある。そうなれば、電気も水もストップして、市民生活も大打撃を受ける。これ以上民衆は黙っていないだろう。

完全にチェックメイトである。アメリカはリスクが高い地上軍の侵攻なしで、イランを追い詰めている。イランのシーア派の中でも十二イマーム派は、古来より信仰への情熱も高いが、同時に理性的な判断も重視する。まだまだ予測はつかないが、発電所や水利施設まで空爆されることがないように祈るのみである。アメリカ軍は躊躇するだろうが、イスラエルには躊躇はないと思われる。