2026年6月21日日曜日

吉村昭 『アメリカ彦蔵』

学院の図書館で借りた『アメリカ彦蔵』(吉村昭著/新潮文庫)を通勤時間に読み終えた。前回の『海の祭礼』に続いて、漂流者を描いた歴史小説である。吉村昭氏の文章は中毒性があって、すいすい読める。16コマの授業で疲れているのだが電車内で寝ることがなかった。(笑)

現兵庫県の姫路と神戸の間に生まれた彦太郎は、父を亡くし、後妻となった若い母も病死する。13歳で継父の船に乗り込み、水主見習いとなり、父の友人の船(永力丸)に移ったのだが、暴風雨のために難破する。この後の対応が詳細に描かれている。舵がやられるともうどうしようもない。帆柱を切るしかなくなる。チョンマゲも切り、神仏に祈るしかなくなる。幸い、米を積んでいたので、餓死することもなくアメリカ船に救助される。物語は、彼らのその後と、関わった日本人漂流者の詳細にわたる。

まず感じたのは、最も年少の彦太郎(彦蔵)をはじめとした詳細な資料をもとに書かれていることである。彦蔵は英語で自伝を残しているのは幸いだったが、膨大な資料を探し起こし、地方の歴史家に会い、この本書は出来上がっている。吉村昭氏の凄さは、筆力とともにこの点にあると思う。

サンフランシスコに上陸した永力丸の一行は、アメリカ市民の様々な援助を受けた後、香港へ向かう。ペリーの艦隊によって帰国を目指すのだが、ここで当時の鎖国日本の外国船打ち払い令で帰国できなかった(モリソン号事件)、香港の日本人漂流者に出会う。帰国を諦めイギリス商社と関わり成功していた力松は、その困難さを挙げ、中国船で長崎へ行くのが良いと述べ多くの水主がこれに従う。彦蔵は、親切なアメリカ人・トマスにサンフランシスコに戻るよう説得される。水主の2人(後に函館に1人、さらに幕府のアメリカ視察船で江戸にもう1人が帰国)が彦蔵とともにUターンする。

上海経由の中国船でも仲間の長崎からの帰国がなり、中には外国船の操船ができるとして士分に引き立てられた者もいた。

サンフランシスコで、税関長サンダースの支援を受け、後にボルチモアで学校にも行かせてもらえた彦蔵は、英語をかなりマスターできた。この有力者は父のようにその後の彼を支えてくれる。それも、彦蔵の日本人的な勤勉性と性格の良さのおかげだったと推測出来る。この辺は紆余曲折があるのだが、この地で奥さんの勧めでカトリックの洗礼を受ける。さらに驚くことに、サンダースによりピアース大統領、上院議員によりブキャナン大統領に日本人として初めて会っている。日本が開国した際、帰国の実現のためサンダースはアメリカ国籍を取らせる。(キリシタン禁令がまだあったため)アメリカに帰化した日本人も彼が最初であろう。在神奈川のアメリカ領事の通訳として帰国がかなう。彼は公使ハリス、領事ドールには好印象を持っている。横浜村の外国人居留地に住んだ彦蔵は貴重な通訳として重宝されることになる。

しかし、攘夷派のテロが頻発する。香港で1人失踪した岩吉は伝吉、さらにダンと呼ばれイギリス大使オールコックの通訳となって帰国した。大威張りで馬に乗り日本人を見下していた彼は攘夷派に暗殺される。さらにハリスの通訳であったヒュースケン暗殺が影を落とす。このような攘夷派のテロは続き、彦蔵はアメリカへの再渡航を考えざるを得なくなってしまう。

アメリカで、領事の正式な通訳官の任を得、リンカーン大統領とも会うことになるのだが、南北戦争の影響で、日本との交易は激減していた。日本帰国後、横浜村で、英字新聞を翻訳することで大いに重宝され、日本初の新聞を創刊。だがこの間に、ハリスもドールも帰国し、新しい領事とも上手く行かなくなり、通訳官を退任して長崎へ移る。

https://www.hanami-zuki.com/ijin/aoyamareien/90.html
長崎では、民間人貿易商として、グラバー傘下で薩摩・長州の倒幕派と関係を持つ。伊藤博文が後に兵庫県知事となったおかげで、帰化しているが故に、神戸から陸路では移動不可だが海路なら問題ないと帰郷が叶う。母と義父の墓を故郷に建立している。建立者は英字でジョセフ・ヒコとなっている。

なんとも波乱万丈の人生である。激動の幕末維新、その時期、その次期の日米両国の国情に翻弄されつつも、アメリカ人に愛された人物像が浮かび上がる。すばらしい歴史小説だった。

2026年6月20日土曜日

ベッツとラッシングで逆転

https://x.com/fullcountmlbc2/status/2068148121671238125
対オリオールズの初戦。大谷選手が第二子の誕生を控えて欠場の日となった。膝のこともあるし、休んで欲しかったところ。ベッツ選手のボブルヘッドデー(Wシリーズの最後のゲッツーした場面をモデルにしているらしい。これは欲しい。)でもあった。

試合は、ササミローキ投手が5回までいいピッチングを見せていたが、6回にHRを2本打たれて勝利投手の権利を同点で失って降板。スタミナかなあ。逆転されて、9回裏。まず、ベッツ選手が1点差に迫るHR。ベッツ、最高。さらに2アウト、1・2塁の場面で、ラッシング選手がライトへタイムリーを打って、エラーも重なって大逆転となった。すぐエキサイトするラッシング選手、前の打席ではバットをへし折って悔しがっていた。エキサイトは確定というハムショー氏のコメントも面白いし、エキサイティングカメラが存在しているのも面白い。(笑)というわけで、ドラマチックな試合となり、またまたエントリーせざるを得ないのであった。

2026年6月18日木曜日

教え子を再び戦場に送るな?

https://derorin.com/an-introduction-to-the-jtu-for-young-teachers-a-quick-look-at-its-history-and-current-status/
立憲民主党の女性参議院議員の決算委員会の発言について、私の感想を述べたいと思う。この議員は日教組の出身である。

「自衛隊に入るのは貧しい家庭の子供である。」という発言は、自衛隊の方々への冒涜的な差別発言であるのは間違いない。私の経験でも、母子家庭でその母親が逝去された故に陸自に行った生徒いがたことも事実であるが、父親が自衛隊幹部であり尊敬していたが故に防大を受けた生徒もいるし、ガンマニアで半ば趣味的に陸自を選んだ生徒もいた。この女性議員の発言は、事実とかけ離れている。与野党の政治家が厳しく批判するのは当然である。

昔々、私が教師になった頃(80年代初頭)、職員室に組合のコーナーがあって、「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンが書かれたポスターが貼ってあったと記憶している。(組合が強い学校であったからかもしれない。)この「ドグマ」は強烈であって、当時ちょっと左翼的でもあった私にも、自衛隊へのなんとも言えない違和感を植え付けた。

北海道に行った際、「自衛隊さんありがとう」という看板が各地にあり、意外な感じがした。まだ東西冷戦の感覚が残っており、対ソ・対ロシアが仮想敵国だった故に北海道が最前線に位置していたからだと思われる。この違和感が完全に払拭されたのは、かの東北大震災の後の自衛隊の活躍である。(阪神大震災の時は首相も知事も自衛隊の出動を拒否した。)その後の東アジアの情勢もあって、今の私には自衛隊は日本の安全保障において、極めて重要な存在であり、長く冷遇されてきたことを払拭すべき時だと感じている。

この女性議員の頭の中は、まだ「教え子を再び戦場に送るな」のままなのだろう。左翼の凋落が叫ばれて久しいが、例の辺野古の犯罪的事故にしても、今回の発言にしても、ドグマで固められた左翼の正義がいよいよ排除されていく機会になるような気がする。日教組の組織率は年々低下傾向にある。私の後輩世代は、こういうドグマに侵されていない。ど真ん中の私からしても、左翼の妄想もそろそろ幕を下ろすべきだろうと思うのであった。

大谷投手が護られた第3戦

https://www.youtube.com/watch?v=sOhyn3Mp4ws
朝起きたら、ドジャーズとレイズの第3戦が始まっていた。先発の大谷投手は無得点で4回まで抑えていたので喜んでいたら、5回に四球から2塁打、さらに不運な安打が続き、なんと4点も取られて逆転されてしまった。5回に打線が繋がり1点返したが、このままでは敗戦投手になってしまう。6回に大谷投手がマウンドに上がり、その裏にフリーマンが2ランを打ってくれた。そのままリリーフ陣が踏ん張って3戦連続の1点差勝利を掴んだのだった。特に最後のベシアのふんばりは、心臓が止まりそうだった。

あの悪夢の5回表の後、ドジャーズの選手が、大谷投手を敗戦投手にしてなるものかという気迫が感じられた。昨日は大谷選手のHR1本で勝った。その翌日である。調子の良い時も悪い時もチームの士気を鼓舞しているのがよくわかる。フリーマンの男気が垣間見えた。

最近、ドジャーズの試合のことばかりエントリーしていて、他のことも書きたいのだが、あまりのドラマの多さについつい…。

2026年6月17日水曜日

ロハスと大谷のHR

https://www.blogger.com/blog/post/edit/910575509843965239/5545685079193470824
好調のレイズ(ア・リーグ東地区2位)との初戦は、ロハスの代打HRで決めた。不調だと言われたタッカーの3ランもよかったけど、ベテランが決めてくれた。

https://www.sankei.com/article/20260617-HJDQGOL5JZI3RCQW3KSIMWSMMY/
第2戦は、投手戦の中、大谷選手の15号HR1本で決めた。レイズ戦の連勝は、2試合ともかなり珍しい勝ち方だった。明日は、大谷選手が先発する。膝は大丈夫だろうか。心配である。無理だけはしないでほしい。とはいえ、全力でやるんだろうなあ。

2026年6月15日月曜日

W杯 日本、蘭と引き分た日

https://www.sankei.com/article/20260615-CVAA3SETJJOH3LLT
JM4NCXMVXQ/?outputType=theme_soccer_worldcup2026
W杯、ついに日本の対戦が始まった。オレンジ軍団のオランダが初戦の相手である。格上感バリバリである。昔からW杯を見てきたが、強豪中の強豪であって引き分けた事自体、隔世の感がある。

試合は後半に1点を失い、すぐ取り戻し、また1点入れられて、最後の最後に同点にした。見事な粘り、諦めない姿勢、大したものである。ちょうど、オランダを訪れておられる天皇皇后両陛下も、オランダ国王夫妻とTVで観戦されていた(画像参照)。素晴らしい試合で最後に同点弾、引き分けとなって、両陛下もほっとされたのではないか。日蘭友好という意味で実に意義深い試合ともなったわけだ。

一方で、久保が怪我をしたようだ。三笘や南野、遠藤といった中心選手の故障離脱に加え、久保まで離脱となれば実に痛い。名将森安監督は「誰が出ても勝つ」と言ってくれているのが心強いが…。

ところで、ドジャーズの第3戦は、またまたリリーフ陣が崩れて、大谷選手は四球ばかりで勝負してもらえす、フリーマンやベッツがHRを打って頑張ってくれたが及ばず、久々の負け越しとなった。ホワイトソックスの勢いは本物のようだ。私が今望むのは、ロートベット捕手(現在メッツ傘下のAAA所属)に帰ってきて欲しいことである。

2026年6月14日日曜日

地図で読むアメリカ

月1の病院通いの昨日、早めに診察が終わったので、枚方市駅近くの本屋に寄った。新しい新書を物色するためである。住道駅の本屋が閉店してしまい、新書が多い本屋がまたひとつ減ってしまった故でもある。

で、選んだのが『地図で読むアメリカ』(J・M・Vardaman著/森本豊富訳/朝日新書)である。昨年地理総合の2学期末の範囲で、11のアメリカというフレーズで地誌的な授業をしたのであるが、この時は、コリン・ウッダード氏の論であった。本書は、10地域に分けている。いずれにせよ、教材研究の一環として読んでおきたいと思ったのだった。11のアメリカの区分より、大まかで内容次第でこちらに乗り換える可能性が高い。

アメリカという国は、まさに合衆国であって、ステレオタイプで語り尽くせない。ボチボチ読みながらエントリーしていこうと思う。

蛇足だが、学院のボストニアンであるG先生と先日、もしアメリカに移住するなら、私は、1:カリフォルニア州のサンディエゴ、2:ノースカロライナ州の海岸平野部、3:G先生の故郷・ボストンだと話した。理由はいろいろあるのだが、気候や地域の人柄などが大きい。