この図の縦軸は、非宗教的・理性的価値を重視するか(+)、伝統的価値を重視する(ー)か。横軸は、自己表現・多様な価値を認めるか(+)、生き延びることが第一(ー)かになっている。原点は図の中心に置かれている。価値観の調査であるので、その善悪や正邪は全く無意味であると私は思う。これは生徒たちに重々伝えておきたい。
地理総合の授業であるので、地名に疎い生徒のためにも、まずは括られている地域を確認するところから始めようと思っている。ヨーロッパのプロテスタント圏とはどんな国を指すのか。同じくヨーロッパ圏のカトリック圏とは?米英カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの括りの特徴は?他に、東アジア、南アジア、東欧、バルト諸国(=バルト三国)、ラテンアメリカ諸国、アフリカ/イスラム諸国という括りになっている。
カトリックが多い国は、フランス・イタリア・スペイン・ポルトガル・アンドラ・モナコ・サンマリノのラテン圏と、非ラテン圏ではオーストリア・ベルギー・クロアチア・チェコ・ハンガリー・アイルランド・マルタ・リトアニア・ポーランド・スロベキア・スロバニア・ルクセンブルグ・リヒテンシュタインとなる。ドイツ(南部)・オランダ(カルヴァン派=ゴイセンも多い)・スイス・北アイルランドは半分カトリックである。ラテンアメリカもほぼカトリック。
プロテスタントのうち、ルター派が多いのは、ドイツ(北部)・デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・アイスランド。バルト三国のラトビア。(ちなみに残るエストニアは無宗教が半数以上)プロテスタントのうちカルヴァン派が多いのは、あまりに多くの分派に分かれているので、まあアメリカだといえる。もう一つの英国国教会は、イングランドやウェールズ、スコットランドと、旧植民地のカナダやオーストラリア、ニュージーランド。ただし、カルヴァン派の影響を受けて分派したものも多数ある。
南アジア(おそらくこの図では東南アジアも含めている)は、インドのヒンドゥー教、シーク教、ジャイナ教、仏教(チベット密教や上座仏教)圏と、イスラム圏(パキスタンやバングラディシュならびに中央アジア諸国)、東アジアは、表向き儒教圏であり大乗仏教圏である。
宗教分布は、なかなか捉えにくい。無宗教の人も増加しているし、国ごとにステレオタイプで語れないのだが、世界全体の価値観という視点で見るというのは意味があると私は思う。
こうしてみると、ヨーロッパのカトリック圏が原点付近に位置しているのが面白い。やはり、ヨーロッパのプロテスタント圏が非宗教的・理性的価値を重視し、多様な価値を認めるとなっている。反対に、アフリカ/イスラム圏は、伝統的価値を重視し、生き延びることが第一となっている。
この図を解説していくことになるが、何をどう教えていくかを考えて、じっくりと授業計画を立てよいと思っている。まずは、キリスト教内の比較になるかと思う。正教会のほうが、カトリックよりも原理原則的であるように感じるし、プロテスタントは教会ではなく、神との個人的直接的接触を好むので、自由度が高いように感じている。カトリックは、教会中心だが、柔軟であると感じている。このあたりに、この図を紐解く鍵があるのではないだろうか。
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