2024年6月17日月曜日

プランテーションの構造的暴力

https://ashitane.t8s.jp/culture/culture_kenya/2543/
地理総合で農業を教えているが、いよいよ最終章、プランテーションの話になった。ヨーロッパ諸国では栽培できない熱帯性作物をヨーロッパに輸入するために始められたのがプランテーションであるといえる。最初はカリブ海の島嶼でのサトウキビから始まる。すでにアフリカ系の人々が奴隷として使役される三角貿易が行われていくことになる。その後、カカオやコーヒーなどに拡大していくわけだが、これらは現在も「構造的暴力」としか言いようがない状況を生んでいる。

なにより、ヨーロッパ人は良い土地をプランテーション農園にしてしまった。輸出が伴うので海岸近くが最高である。(ケニアのように、海から遠いハイランドで茶のプランテーションが行われたが、やはり豊かな土地が選ばれている。画像参照)というわけで、アフリカなどでは、豊かな土地を奪われ、残った貧しい土地で主食を栽培することになる。メイズ(白いとうもろこし)やミレット、ソルガムと行った雑穀であるが、人口支持力と対比すると、赤字になる。そう多くはない商品作物の収益が人口支持力のための穀物購入費に当てられ、貧しいままになっている。これを「構造的暴力」と言わずして何が暴力だろうか。ちなみに、教科書などでもモノカルチャー(単一耕作)という語彙が使われるが、コーヒーの原産地エチオピアでのコーヒー栽培面積はそう多くはない。ほとんどが主食の栽培に割かれている。

最近では、プランテーションの労働賃金が欧米諸国によって低く抑えられており、フェアトレード運動も盛んになっている。この問題は、「構造的」であって、一部の国や地域だけがこの運動で利益を得ても、解決にはならないと私は固く信じている。この構造自体を打破しないと、永遠にアフリカは救われない。そんなことを、授業で話していたのだった。

もちろん、商品作物について様々な面白い話もしたけれど、重要なのはこういった視点だと思うのである。なんか、久しぶりに地理を教えた気分になった。(笑)

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