2024年5月21日火曜日

フィリオクェ問題

https://w.atwiki.jp/trinity_kristo/pages/337.html
以前エントリーしたことがあるが、カトリックと正教会では、三位一体論における聖霊について大きな相違点がある。神とイエス両方から発せられるというカトリックに対して、正教会は神のみから発する、としている。これはかなり大きな違いであり、大シスマ(東西分裂)の主因ともなっている。「オーソドックスとカトリック」(及川信著/サンパウロ)では、この問題(フィリオクェ:ラテン語でFilioque「また子より」を意味する。)について詳しく書かれている。

381年のニケア・コンスタンチノープル公会議(第ニ回公会議:三位一体=至聖三者論が確立)で採択された時、聖霊は神からのみ発するとされたのだが、スペインのトレドあたりの人達が、イエスからも聖霊が発せられると言い出し、これを聞きつけたビザンチン側が信条にないことなので、唱えないようにローマ教皇に訴えた。教皇もそれを禁じようとしたが、一般の人が唱えだし、ついにはフランク王国が認めるようにローマに圧力をかけてきた。この裏には、ローマ教会のアレイオス主義(ギリシア哲学の思弁にのっとり、神の絶対性を主張し、イエスは神の子であっても、神の被造物であり同等ではない、とする。325年の第1回ニケア公会議で異端として排除された宗派。)に対する警戒心があり、当時フランク王国がそれの防波堤という役割を果たしていたので、フランク王国の言い分を容認せざるを得なかったという歴史的背景があったようだ。

この論理展開は、アウグスティヌス(354ー430)から始まっているようで、カトリックではアウグスティヌスは「聖人」に列せられているのに、正教会では一段下の「福者」である。(この問題と関係しているのではないか、と私は思う。)ちなみに正教会は分離後のカトリックの聖人を認めていない。また政教分離に重きを置くカトリックは、正教会と違い、政治的立場にある旧約のダビデやソロモン、国教化を図ったコンスタンティヌスなどを聖人には加えないという違いもある。

フィリオクェに話を戻すと、第三者&ブディストである私からみても、どうも正教会の方が正論であると思われる。実際、カトリックの教義を受け入れてきた聖公会(イギリス国教会)も正教会側の主張に同意しているようだ。(下記URLはその記事)ただ、ローマカトリック側にもいろいろと事情がある。次回はそんなメタな立場から大シスマについて考察してみようと思う。

https://www.christiantoday.co.jp/articles/24754/20171110/anglicans-oriental-orthodox-agree-doctrine-holy-spirit.htm

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