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遊牧民のモンゴル人は徴税・通商などの経済財政政策に疎く、滅ぼしたトルコ系ホラズムのムスリム商人であったマフムード・ヤラワチを財務官に登用した。彼は、それまで諸国家が乱立し通行税関税が複雑であったシルクロード交易の仕組みを一掃し、最終売却地で価格の30分の1の売却税のみに改めた。しかも、銀納に一本化しモンゴルを銀本位制に転換した。駅伝制でシルクロードの安全性を確保したのも大きく、交易は大いに発展した。
ヤラワチは、華北支配においても耶律楚材とともに、宋代の紙幣の有効性を見出し、銀本位制のもとで、フビライの元朝で「交鈔」(銅銭との交換単位はあるが、銅銭に対しては不換紙幣/画像参照)という通貨政策を実施した。この「交鈔」にはマルコ・ポーロもイブン・バトゥータも驚いている。しかしながら、結局紙幣増刷の誘惑に勝てず、「交鈔」の濫発で経済混乱をおこし、不作と飢饉も相まって朱元璋(=洪武帝)により滅亡する。
明朝では、統制経済が行われ、綿織物や絹織物の手工業だけでなく、農業、海外交易も朝廷が統制していたのだが、中期になると洪武帝の穀物生産中心の農本主義の原則が崩れ、貨幣経済で有利な商品作物の栽培に移行、特に養蚕のための桑畑が増え、民衆は飢えていったが、汚職官僚らの蓄財が蔓延していく。一方で、鄭和の大遠征は謎が多い。遠征の理由も交易の停止も謎のままで、その100年後に大航海時代が始まる。メキシコ銀や日本の石見銀山の銀が明に密貿易者の手で流入し、明も一条鞭法で銀納一括の税制となったが、宗や元同様に「宝鈔」という紙幣を禁じ手の大量増刷してしまい滅亡するのである。
…元朝と明朝の共通点は、銀本位によるグローバル化と「交鈔」・「宝鈔」という紙幣増刷で滅亡したということである。中国の歴史をみると、結局官僚が、自己保身と私利私欲のため同じ過ちを繰り返しているといえる。現代中国には科挙がないが、科挙を乗り越えた優秀でもない中国共産党による腐敗政治が続いている。この腐敗状況に民衆は苦しめられつつ、したたかに法の抜け道を探し生き延びるという構造があるわけで、なんともやりきれないエゴイズムの連鎖の歴史を背負っている、といえるのではないか。
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