政教分離・価値相対主義・個人主義といった西欧文化の帰結(普遍主義と称している)は、非西欧社会においては自らの文化を内から蝕んでいく。ロシアは、西欧文化の基本を形作る歴史的経過(ローマカトリック・封建制・ルネサンス・宗教改革・大航海時代・啓蒙運動・国民国家形成など)とは無縁であった。17世紀のピョートル大帝は、(後の)日本の明治政府と同様に。西欧文明を摂取して列強とならぶ大国を目指したが、そのツーリズムは、アジア的、ビザンチウム的、ロシア正教会的な古い習慣を持つ(スラブ主義の)民衆との亀裂を生み、革命に繋がっていく。
かのハンチントンは、ボルシェビキの革命は、「西欧には存在しない政治・経済制度を、西欧でつくられたイデオロギーのもとに創設した」と言っている。うまく欧化主義とスラブ主義を止揚し、革命によってロシアは、欧化主義者もスラブ主義者も西欧の後塵を拝しているという劣等感から開放され、一気に西欧を飛び越してしまったのである。
政教分離・価値相対主義・個人主義といった西欧文化の帰結(普遍主義と称している)は、非西欧社会においては自らの文化を内から蝕んでいく。ロシアは、西欧文化の基本を形作る歴史的経過(ローマカトリック・封建制・ルネサンス・宗教改革・大航海時代・啓蒙運動・国民国家形成など)とは無縁であった。17世紀のピョートル大帝は、(後の)日本の明治政府と同様に。西欧文明を摂取して列強とならぶ大国を目指したが、そのツーリズムは、アジア的、ビザンチウム的、ロシア正教会的な古い習慣を持つ(スラブ主義の)民衆との亀裂を生んだ。
かのハンチントンは、ボルシェビキの革命は、「西欧には存在しない政治・経済制度を、西欧でつくられたイデオロギーのもとに創設した。」と言っている。うまく欧化主義とスラブ主義を止揚し、革命によってロシアは、欧化主義者もスラブ主義者も西欧の後塵を拝しているという劣等感から、一気に西欧を飛び越してしまったのである。
ところで、ロシアの根源感情について、井筒俊彦は「ロシア的人間」(1953年)の中で、自然と人間の魂の間には血のつながりがある、と述べている。著者は、これは理解不可能な暗い闇、ロシア独特の陰鬱や憂鬱で、ドストエフスキーの「地下生活者の手記」に見られるようなもので、ロシアにおける自由や開放は、西欧的な理性のもとでの自由・平等・幸福追求の権利とは全く異なっている。
ロシアの歴史は戦争の連続であった。よって、ロシア人の心のなかには、常に周辺に脅かされるという恐れと、耐え忍ぶ忍耐力、一気に形勢逆転する軍事力を手に入れ勢力を拡大する「力への意思」があり、ロシア正教会は基本的にロシアを守る戦争には好意的で、兵士や武器も神によって祝福される。核兵器の使用もロシア防衛のためには認めている。
亀山陽司は「地政学と歴史で読み解くロシアの行動原理」の中で、ロシアにとって戦争とは、単なる防衛でもなく、単なる侵略でもない。それは巨大な祝祭であり、国民にとって何度も追体験されるべき歴史的記念碑である、とされている。
…今回のエントリーで、最後の三段落の内容は、特に重要なロシア理解であると思う。WWⅡで最も多くの戦死者を出したのは、大祖国戦争と呼ばれるロシアであったし、ナポレオンとの祖国戦争でも、自らの被害を顧みず、焦土作戦を実施している。祝祭と呼ぶのが正しいのかどうかわからないが、そこにロシア正教の神の祝福が存在したように思われる。
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