2012年7月25日水曜日

ユダヤ「超正統派」の不思議

本校野球部はベスト8にの進出を逃してしまった。世界史の補習で、「明日は応援に行くつもりなので、休講の可能性が高い。」と言って職員室に戻ると、9回の裏でリードされていた。インターネットの速報に「0」が入り、ゲームセット。秋田商のようなドラマは本校には起こらなかったのであった。残念である。あーあ。3年生の野球部の顔を思い出してため息をつきながら公園で喫煙していたら、うちのクラスの生徒4人が自転車に段ボールを満載して走ってきた。「センセ-!」「おお、ごくろうさん。」文化祭の準備で、段ボールを集めているのだった。それで、やっと現実にもどった次第。

さて、今日のエントリーはイスラエルについて書きたい。先日(6月23日付ブログ参照)ちょっと紹介した『イスラエル人とは何か』(ドナ・ローゼンダール著 徳間書店 2008年9月発行)を読んでいる。2段組みで600ページを越える読み応えのある本である。海外に行くのに際して、何も知らずに行くのもいいのだが、イスラエルは少し趣が異なる。事前に学んでいったほうが不思議が拡がる国なのだ。

ユダヤ人といってもかなり”律法を守る”というスタンスに差がある。息子の話によると、泊めていただくスウェーデン系ユダヤ人のおばあさんは、あまり律法にこだわらない「世俗派」らしい。大家さんは、なかなか熱心に信仰しているらしい「正統派」もしくは「保守派」に入るような気がする。我々が、最もユダヤ人らしいと見る黒ずくめの人々は、「超正統派(ハレディム)」と言われる。東ヨーロッパのアシュケナジがそのルーツらしいのだが、超正統派の中にも様々な種類があって、帽子を見たら違うことがわかるそうだ。ホロコーストで、人口の4/5が犠牲になった関係で、イスラエルは彼らのコミュニティを守るため、兵役を免除した。男性の大多数は、フルタイムの神学の徒である。タルムードをはじめとした律法の研究が仕事だ。よって、収入はない。女性は多産で彼女らが家計を支えている。政府から、補助金、子供たちへの奨学金、医療の無料サービス、地方税の免除などでなんとか生計が立っているらしい。しかしながら、彼らは、「シオニズム」を認めない。イスラエル国家の成立は不幸な出来事だと学校で教えている。イスラエルを再建できるのは神だけで、彼らはその掟にそむいたというのだ。だからイスラエル国旗を燃やすこともある。安息日に遊びまわる「世俗派」に対しては、石を投げつけることもあるらしい。
だから、イスラエルでは、彼らの兵役免除をやめさせようとする勢力もある。かなり孤立しているのだ。凄い話である。日本の常識など全く通用しない。この本を読めば読むほど、イスラエルと言う国が、よくわからなくなる。この本は重いけど、リュックに入れていこうと思っている。

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