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ピエタは「哀悼」「敬虔」「慈悲」などの意味を持つイタリア語である。「名画で見る聖書の世界<新約編>」(西岡文彦/講談社)の書評の続きである。ピエタといえば、バチカンにあるミケランジェロのピエタの大理石像が超有名である。24歳の時の作品だと言うから驚きである。おそらくは、史上最高の彫像であると私は異教徒ながら思う。イエスの肉体の描写もうっすらと静脈が浮き出しており、大理石を削って作られたとは思えないほどであるらしい。
ただ、このピエタ像には大きな2つの虚構があるそうだ。一つは聖母の年齢。若すぎるのである。制作当時にも批判があったらしいが、天才・ミケランジェロは「貞操なる女性は、不貞な女性よりはるかに長く若さを保てることをご存じないのか。」と切り返したという。それまでのピエタは、老いた聖母が傷だらけのイエスを抱きかかえ、『受難の悲惨さ』を訴えるものだったのだが、ミケランジェロのピエタは、『過酷な運命を耐え忍ぶ姿への礼賛』に変貌させたわけだ。もう一つは、聖母の身長。座った姿勢でこれだけの高さなら、立ち上がったらゆうにイエスの二倍になる。だが、見た目は極めて自然で、ピラミッド型の安定感がありいささかも不自然な印象を抱かせない。「定規を手に持ってはいけない。目に持つことが大切だ。」というのが、天才・ミケランジェロの言葉であるそうな。妙に納得してしまう。(笑)
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https://galleryhopping.livedoor.blog/archives/31186452.html |
ピエタを題材にした絵画も、中世以来数多く描かれているのだが、この書の図板の中で最も強烈な印象を受けたのが、マンテーニャ「死せるキリスト」である。短縮法で足の方から眺めた姿で、左側に聖母と弟子のヨハネが見えるが、この作品の主題は、唯一正面を向いている「手の甲と足の裏の聖痕」である。なかなか強烈な隠れた名画であると思う。
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