https://jbpress.ismedia. jp/articles/-/76232 |
当時のユダヤ教は徹底した選民思想であり、神との契約もユダヤ人と結ばれたものとしていた。したがって、ユダヤ人以外の民族はユダヤ教に入信するためには洗礼が必須であったし、厳格なユダヤ人はユダヤ人の俗人の接触さえ一切絶っていた。こうした選民思想に疑問を突きつけたのがヨハネである。彼はあらゆる人を受け入れ、ヨルダン川の水に全身をつけて洗礼を行った。なにより彼が重視したのは「自らの罪を悔い改めること」で、洗礼はその儀式であった。「神の国は近い」と力説し、形骸化した律法主義に警鐘を鳴らし、多くの人々が洗礼を受けようと殺到した。イエスは、布教活動に先立ってヨハネの洗礼を受ける。「私こそあなたの洗礼を受けるべきなのに」と言うが乞われて洗礼を与えたわけだ。
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その後、ヨハネは、サロメの見事な舞への褒美として、ヘロデ王(イエス誕生時に幼児を大量虐殺した王の息子)によって殺される。これは、前王の妃の妹にあたるサロメの母が、ヘロデ王の妻になっていたことを、ヨハネが「兄弟の妻を娶るのは良くない。」と諌めたことを恨んでのこと。有名な「サロメ」の話である。まあ、ヘンリー8世が、死んだ兄の許嫁(スペイン王家のカザリン)と結婚しなければならなかった話に似ている。当時の教皇は、スペイン王家のカール5世(=カルロス1世:カザリンは叔母にあたる)の意思を受けて、教会法を曲げて、ヘンリー8世を説得したのだが…。男女が逆だが、似ているような似ていないような話ではある。
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