2021年7月11日日曜日

秘伝 教材研究(倫理編)Ⅷ

https://www.bloomsbury.com/au/
eclipse-of-reason-9780826477934/
西洋哲学の木については、これまで記した中心的な流れ以外にも、共通テストに出てくるような哲学もあって、補足的に指導してきた。ウィトゲンシュタインなどはその1人だが、私が必要不可欠だと思うのは、フランクフルト学派である。(センター試験の出題者はフランクフルト学派が大好きでよく出題される。)ホルクハイマー、アドルノ、フロム、ハーバーマスといった人々だが、ナチスのファシズムを抜きに語れない。

特に私が重視するのは、ホルクハイマーの「道具的理性」である。この例として、アウシュビッツにユダヤ人を送り込んだドイツ国鉄の職員の話をする。ヨーロッパ各地から輸送の任についていた国鉄職員は極めて理性的であった。貨物車にユダヤ人を詰め込みながら、きっちりと運賃を取っていたのだ。彼らからすれば、そういう命令が出ていたのであろうし、自分の責任として理性的に従ったわけだが、今振り返ってみると、理性的行動といえるだろうか。理性が人間性に反し、道具的に使われている事を道具的理性というのである。

このような例は現在もいくらでもある。中国のウィグルの人々への迫害も同様だろう。不妊手術を行っている医師も、強制労働を強要している者も、新疆綿を使って利益を上げている日本の某企業の従業員も、権力によって人間性を圧殺され、道具的理性に堕しているといえるだろう。もしかたしたら、道具的理性すら失っているかもしtれないが…。

0 件のコメント:

コメントを投稿