2015年8月1日土曜日

波蘭ユダヤ民遺蹟巡礼 2

ホテル近くのビル 社会主義時代の彫像がある
ワルシャワは、大通りが3車線×2もあって、やたらだだっ広いという感覚を与える街でした。裏通りはともかく、大通りは社会主義時代の遺産なのでしょう。冷たい感じのする巨大なビルが多い街です。これらのビルは、1階(ワルシャワでは0階)にも歩道があり、ジョルジョ=デ=キリコの絵にあるようなようなアーチが続くビルもあったりして、日本から来た身には極めて異質に映ります。

ワルシャワとくれば、冷戦下に生きてきた私などは「ワルシャワ条約機構」。そしてユダヤ問題に長年関心を持ってきた身とすれば、「ワルシャワ・ゲットー」となります。
ワルシャワ・ゲットー記念碑 周囲に面影はない。この前に歴史博物館が建っている。
ワルシャワ・ゲットーについては、「ホロコースト全史を読む。(4)」として7月16日付ブログでエントリーしましたのでその説明は省くとして、実際に向かうと、中央駅の北、旧市街の西というワルシャワの中心部であることがわかります。研究者の息子はすでにゲットーの調査を過去に行っており、2日かけてその痕跡を回ったとのことでした。私たち夫婦にはそんな時間はないので、とにもかくにもポーランド・ユダヤ人歴史博物館へと向かったわけです。やっと常設展示が完成したとのことで、息子も常設展示を見るのは初めてとのことでした。

この博物館は、演出が実に素晴らしい。まるで長崎県立歴史博物館のように、様々な機材(色の変化やVTR)で視覚的に訴えたり、中世の印刷物を実際刷ってみたりできる体験的な展示、当時のシナゴーグの再現など、見るものを魅了します。息子に言わせれば、研究者としても貴重な文献が展示されており、演出だけではなく内容もかなり充実している、とのことでした。
中世の展示 色の変化が美しい
実際にユダヤの文献を印刷できる体験的展示
シナゴーグの展示
ワルシャワ・ゲットーには、有名な橋がありました。ゲットーとゲットーを繋ぐものですが、博物館でも実際に渡るような演出がされていました。ゲットーの橋の上からは、ワルシャワ市民の普通の生活が眺めることができます。その対比としてゲットーの窮屈な生活の様子も再現されていました。
ゲットーの街並を再現
ところで、この博物館の最後の方に、衝撃的な展示を発見しました。このVTRはワシントンDCのUSホロコースト博物館で、子供達が見れないように高い位置からしか生体実験のVTRが見れないようにしてあるのと同様、展示会場自体が鋭角な三角形になっており、よほどじっくり見ようとする人しか気づかないようになっています。7月17日付ブログにエントリーしたへウムノ絶滅収容所で使われた排気ガスで窒息死させるガストラックのVTRが流れていたのです。笑顔を見せるSS隊員が映り、少女をトラックに入れ…。
へウムノ絶滅収容所のガス・トラック
私は、何度も何度もこのVTRを見て、目に焼き付けました。

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