ワルシャワのパヴィアク刑務所 |
ところで、以前から気になっていたことがあります。この刑務所には、カトリックの神父も多く収監されました。アウシュビッツ強制収容所でもコルベ神父(昨年長崎で彼の様々な展示を見ました。)が、殺された地下房を見学しました。ヒトラーやナチは、カトリック教会、あるいはキリスト教をどう考えていたのでしょうか。
WEBを中心に調べてみると、およそヒトラーは、まずユダヤ人問題を宗教問題として捉えていないこと、あくまで人種問題と捉えていたことが重要であるようです。つまり、ヨーロッパに多く見られるキリスト教徒から発する反ユダヤ主義と同列ではないわけです。
ヒトラー自身は、イエスを物質主義的なユダヤ人に対して精神主義的な敵対行動をとった戦闘者・殉教者と捉え、反ユダヤのアーリア人のヒーローと考えていました。それに対し、パウロが歪曲させたキリスト教団をローマ帝国のアーリア的な精神主義や寛容の破壊者とみなしています。ヒトラーは、イエスを憎んでいたのではなく、キリスト教組織(教団)を憎んでいたといえます。
さらに、ボルシェビキズムをキリスト教の私生児、ユダヤ人の生み出したものとしています。ヒトラーは、ボルマン覚書で、こう述べています。「昨日の扇動者はパウロだった。今日の扇動者はモルデカイだ。サウロ(パウロのユダヤ名)は聖パウロになった。モルデカイはカール・マルクスである。」
*モルデカイは、バビロン捕囚後のアケメネス朝ペルシャの支配下でユダヤ人虐殺を賢女エステルとともに阻止し、アダルの祭りの故事のもとになった人物。(エステル記)
このように、ヒトラーはボルシェビキと同様にキリスト教団を極めて嫌悪していたようです。ただ、政治的にはキリスト教団をすぐ敵に回す愚を去け、「積極的キリスト教」政策をとります。前述のように、ユダヤ人が書いた部分(旧約聖書の全てを含む)を却下、イエス=キリストをユダヤ人であることを否定、カトリックを根絶し、プロテスタントと国家社会主義者を1つの教会に統合する、というものです。結局、ナチはプロテスタントの諸派を直接抑えましたが、カトリックのバチカンまでは直接手を出せないまま、政教協定を結び、反ナチ的でなければ干渉しないとしたわけです。
ホテル近くの教会 お約束通り、左に天国の鍵を持ったペテロ、右にパウロの像がありました。 |
ポーランドのカトリック神父が、ナチに多く虐殺された理由。ようやく納得がいきました。
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