2012年3月23日金曜日

日経 H・サイモンの箴言

ハーバード・サイモン
日経の「やさしい経済学」の欄もモーニングで読む時楽しみにしている。碩学のいろんな話が載っていて、勉強になる。今日は、東大の松井彰彦教授による「ハーバート・サイモン」の話だった。ハーバート・サイモンはノーベル経済学賞を受賞した政治学者、認知心理学者、経営学者、情報科学者である。人口知能の研究でも有名。

なかなか面白い箴言があった。H・サイモンは学生に、「他の人々にはなくて自分にある秘密兵器は何だろうか、ということを問わなくてはならない。」と語っていたという。また口癖で「自分は他人より賢いというのはめったに正しくないので秘密兵器にはなりえない。そして他人と差別化せよ。」と言っていたらしい。松井教授は、これは現代日本にとっての箴言だと書かれていた。

記事の前段部には、次のような科学の方法論が書かれている。
『科学者とは迷路の中を探索する問題解決者である。興味深い現象を見つけだすこと。そこから意義のある問題を明確な形で切り取ること。現象やデータの中に潜んでいる法則を見つけること、いくつかの現象を体系的に分析する理論をつくること。理論から導かれる帰結を仮説として立て、それを検証すること。』
実は、H・サイモンは、これは科学者だけの方法論ではない。一般の人間にもあてはまることなのだと言っていたらしい。学問を特別視しないのがH・サイモンの真骨頂らしい。

たしかに、私などのような一般人でも、様々な形で、上記のような科学的方法論をとって物事に対処している。転勤して1年。本校の現状をまさに上記のような目で見てきた。どうすれば本校生に最も適した授業や生活指導ができるのか、迷路の中を探索し、それなりの帰結から仮説を立てれるまでになった。4月からその検証が始まる。結局その繰り返しが本校での経験知になるのだろう。

そう、一般人も実は無意識に科学的だったりする。(笑)そのうえで、自己の『秘密兵器』を他者との差別化の中で模索しなければならないわけだ。そう、一般人も自己の『秘密兵器』を持つべきなのだ。そんなことをこの記事を読んで考えたのだった。

ところで、松井教授の今日の記事の結論は以下の通りである。『最先端に到達した以上、今までと同じこと、他人と同じことをやっていたのでは道は開かれない。日本の秘密兵器は何か。サイモンの言葉は時空をこえて我々の心に響いてくる。』
…名文であると私は思う。というわけで、ブログで是非紹介したいと思い手帳に細かな文字で書き留めた次第。

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