2012年3月27日火曜日

毎日社説 「ODA白書」に思う

毎日新聞の今日の社説は、外務省から出た「ODA白書2011」についてであった。その論旨をまとめてみると、およそ次のようになるかと思う。
今回のODA白書は、『世界の絆とODA』として、東日本大震災との関わりに1章をさいて言及している。財政難で減少傾向にある日本のODAは、総額で1位だったのが、米英独仏に次ぎ現在5位。国民所得に対する比率では0.20%で、20位。こうした中で、国民のODAに対する支持はさらに低下している。長年指摘されてきたODAの不透明性に加え、震災復興優先という国民感情もあるようだ。しかしながら、世界の安定にODAを活用することが日本の安定に直結する、また主要国としての責務であるというという理念は正しいが、さらに国民に丁寧に説明する必要があるのではないか。被災地の物産を調達して途上国支援に活用したり、省エネや環境技術の普及など、白書で紹介されている質の向上も必要である。新しい時代にふさわしいODAのあり方を政治が先頭に立って議論すべきである。

さっそく外務省のHPにアクセスしてみた。膨大な資料なので精読するとかなりの時間が必要となる。とりあえず、サブ・サハラ=アフリカについてのページを読んでみた。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/11_hakusho_pdf/pdfs/11_hakusho_030203_4.pdf

TICADの話が続く。あたりまえである。私が驚いたのは、リベリアが最も日本のODA(ただし政府貸付が主である。)を受けていることである。2位はスーダンで、こちらは無償資金協力が大きい。一方、スワジランドや赤道ギニアなど、ガバナンスにかなり問題のある国には少ない。1位、2位はちょっと意外だったが、およそ日本の外務省は正当な評価をしつつODAを運営していると思われる。

毎日新聞の社説は、国民に丁寧に説明する必要性を訴えているが、私は異議がある。これは外務省というより、マスコミの責任が大きいと思うのだ。リベリアは、内戦の後、ノーベル平和賞を受賞した女性大統領が、今国の立て直しに奮闘している。スーダンは、南スーダンが独立し、いわば悪役の扱いを受けている産油国である。ダルフール問題など人権的にも国際的批判を受けている。おそらくは南スーダンの独立を支援するためのODAという一面もあるだろうと思われる。国際機関を通じての無償資金協力の金額が高いこともそれを裏付けていると私は推測するのである。このような見方をあまりアフリカに興味のない一般の方がするとは思えない。私もアフリカ以外の地域の考察は不如意だ。それぞれの国への外交上様々な意味があるのだろうと思う。

マスコミが、高みから「国民に丁寧に説明せよ。」と評論したところで、何も変わらない。「社説のための社説」になってしまう。私は、毎日新聞のなんとなく中立というスタンスが好きで購読している。是非とも、丁寧に、何度も、何度も、もういっちょ「丁寧に」、途上国の現状を報じて欲しいと思うのだ。
外務省の「ODA白書2011」全体の閲覧はこちら。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/11_hakusho_pdf/index.html

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