毎日新聞のコラム『金言』(西川恵専門編集委員)は、今週も南スーダンでの国連やJICAなど国際社会の取り組みの現状を取り上げている。『自立まで不確定要素は多いが、アフリカにおける独立・復興のモデルになってほしい。』と結ばれている。アフリカへの温かな記者の目を感じる次第。
さて、今日の本題は、学校でいつも読む朝日新聞から。『記者有論』という杉山正ナイロビ支局長のコラムだ。なかなか衝撃的な記事である。タイトルは『ノーベル賞と「金権」の溝』さっそく引用してみたい。
「ノーベル賞のイメージが吹っ飛ぶ場面に出くわした。西アフリカ・リベリアで今月、大統領選挙を取材した時のことだ。今年の平和賞が決まった現職エレン・サーリーフさん(73)の故郷で本人を待っていると、彼女は多くの住民に囲まれながら現れた。一緒にいた陣営関係者の手には、ピン札の50リベリアドル(約50円)の束が握られていた。何をするのかと見ていると、近づく住民に1,2枚ずつ渡して歩いていた。」
凄い書き出しである。選挙の買収の現場の目撃談である。記者は、この後リベリアでは選挙に際し、候補者が地方に行っては、現金や食料を渡して支持を求めるのはよくあることらしいと知る。だが、記者はノーベル平和賞をもらう人までが金権選挙に染まっていることに驚きを隠せなかった。そこで、本人に直接聞くのだ。
「将来的には禁止すべき風習だ。」サーリーフさんも非を認める。だが「今やめることはできない。」とも。
「失業率は8割を超え、1人あたりの国民所得は約170米ドル。選挙期間中、人々は施しへの期待が高まってしまうのだという。」「サーリーフさんは(中略)米国での生活が長く、国連開発計画などで活躍した人だ。しかし米国流をそのまま持ち込んでも立ちゆかないことを熟知しているのだろう。急激な変化は反発を招きかねない。」「国家再建を果たすための必要悪ということなのだろう。その手腕はしたたかさや、しなやかさとともに、リベリアが抱える問題の闇の深さがうかがえる。」
リベリアは、つい最近まで失敗国家の最たる存在だった。綺麗ごとだけで、抜け出せるとは私も思わない。果たして、リベラルが基調の朝日の記者は、どう結論付けるのか。
…さすが、ナイロビ支局長。アフリカを温かい目で見ていた。
「ノーベル賞は、サーリーフさんに対してだけでなく、アフリカの将来に希望を込めて贈られたものだと私は考えている。真のモデルになりうるような彼女の2期目に期待したい。」
私も全く同感である。
2011年11月25日金曜日
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