2011年11月1日火曜日

パレスチナのユネスコ加盟

ブルキナファソ行の時、往路パリに一泊した。ネットで調べて、エールフランスの割引がきく安いホテルに泊まった。全くの偶然だが、その近くにユネスコ本部があり、中に入ったわけでもないが、カフェでコーヒーを飲みながら外観を拝したことがある。そのユネスコにパレスチナが加盟することになった。私は、その賛成国、反対国、棄権国が気になって仕方がない。ユネスコのHPにも突入して見たが、現時点で最も詳しく報道しているのは以下の記事だった。
http://www.afpbb.com/article/politics/2838446/8016176

107の賛成国:アラブ・アフリカ・中南米諸国のほか中国やインドなどのアジア諸国+フランス(これはTV報道で知った)。
14の反対国:イスラエル・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ドイツなど。
52の棄権国:日本・イギリスなど。

これをどう読むべきなのか。14の反対国の立場ははっきりしている。イスラエルの権益を守る国々だ。最大のユダヤ人口をもつ国家であり、極めてユダヤロビーが強いアメリカは当然として、アングロサクソン同盟(彼らは、通信傍受のネットワークを持っているらしい。)のカナダ・オーストラリアも入っているのが、面白い。ドイツは、ユダヤ人への大きな贖罪意識を背負っているからだろうと思われる。
イギリスが、棄権しているのはWWⅠ後の三枚舌外交がパレスチナ問題のそもそもの原因なので、わからないこともないが、シティのロスチャイルド本家の影響力が衰えたということだろうか。日本が棄権したのは解りやすい。アラブの石油をとるのか、アメリカの第51番目の州としての立場をとるのか。どちらも出来ないので棄権というわけだ。
107の国々は、ひとくくりで言ってしまえば開発途上国連合である。フランスも入れて論じれば、反アメリカ連合でもある。

国連には、パレスチナはアメリカの拒否権で、絶対入れない。しかしながら、今回の裁決で、その国連の機関の1つユネスコに、パレスチナが入ったわけだ。イスラエルの、というよりアメリカの『力』や人気がいかに世界的に凋落しているかを示す採決であったわけだ。世界は、アメリカの「世界の警察」としてのバックス・アメリカーナ的な世界を望んでいないし、「明白な天命」でアメリカ的民主主義の押し付けも望んでいないと読める。

ユネスコは、教育、科学、文化の協力と交流を通じて国際平和と人類の福祉の促進を目的としている。パレスチナが国家としての要素を持っていないという、アメリカのロジックは、かなり厳しい。今、世界に必要なことは、ユネスコの提言する地球市民的「異文化理解」の精神だ。教育や文化という土俵で、国益を超えるという理想を語れる場がユネスコではないか。国連加盟はともかく、私はパレスチナの加盟を悪いことだと思わない。まして、拠出金を凍結するというアメリカの態度は、相変わらずの西部劇的な力の誇示でしかない。悲しい決断だと思うのだが…。

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