昨日ブログで紹介した「世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ」(下川裕治)といっしょに、J堂書店で『今すぐ乗りたい!世界名列車の旅』(櫻井寛:新潮文庫)を購入した。私は別に鉄道ファンというほどではないが、こういう紀行文は大好きだ。櫻井寛の方は世界中の列車紹介といった本で、短い文章ばかりなので、まとめて書評を書くという感じの本ではない。ここに紹介されている名列車、アジア:9、ヨーロッパ:16、オセアニア:3、アメリカ11、アフリカ:6の中で、私が乗ったことがあるのは、ジャズのスタンダードで有名な「ニューヨークのAトレイン」(NY地下鉄のA列車)だけである。ほとんどが、食堂車付きの豪華な寝台車である。「名列車」だから当たり前か。(笑)
ちなみにアフリカの名列車として挙げられているのは、目次順に、南アフリカのロボスレイル、エジプトのターボトレイン、ケニアのサバンナ急行、モロッコの特急ベイダ、エジプトのエジプシャン・ワゴンリー、そして南アフリカのブルートレインである。
アフリカを白人観光客の視線で見る、豪華な鉄道の旅というのは、どうも私の趣味には合わないのだが、ケニアのサバンナ急行には是非とも乗ってみたい。正式な列車名は”Jambo Kenya Deluxe”というらしい。所用時間は14時間、週3往復で、ナイロビとモンバサを結んでいる。そうなのだ。私は、JICAの教員研修旅行でケニアに行った際、予定されていたモンバサに行けなかったのだ。沢木耕太郎的に言えば(本年2月11日付ブログ参照)心を残してきた場所の1つなのである。ナイロビに着いた夜、レストランで食事中、JICAケニア事務所の次長さんの携帯が鳴った。モンバサで爆破テロが起こったのだ。次長さんは、モンバサにいるJOCVの安否の確認を指示し、我々の接待どころでなくなったのである。で、モンバサに行く予定はぶっとんだのだった。おかげで、ケニア山や赤道通過ができたけれども、インド洋をこの目で見る機会を失ったのだった。
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ケニアのサバンナ急行 |
櫻井寛の紀行文によれば、切符は乗車券・寝台券・食事券の3枚組らしい。どこにも号車番号や寝台番号らしきものはなく、出発前に3mはある紙が掲示板に張られるらしい。まるで合格発表みたいだという。コンピュータ全盛で、航空機のチケットさえ簡素化されているのに、面白いではないか。(そのうち、こういう趣のある儀式も無くなってしまうだろうと思うが…)50年間は走り続けている骨董列車だが、重量感があっていいらしい。もし、ケニアを再訪し、モンバサに行くことになったら、なんとしてもこの列車で行きたいものだ。野生動物目当ての白人観光客の目線でなく、地球市民の目線で、沿線にあるキベラスラムを見てみたい。
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