長い通勤時間なのでどんどん読める。気になった箇所を上げて見ようと思う。
明治5年のマリア・ルーズ号事件の話は初耳であった。ペルーの商船で、中国人苦力を運ぶ奴隷船。治外法権下で、副島外務卿が自主外交を貫いた話である。菊池寛がなぜこの事件を記しているのか、下巻の最後まで読むとよく分かる。明治初期、日本は不平等条約で常に列強の干渉の中で右往左往していたのである。その中で、同じ東洋人である苦力を救った事実が象徴的である。
西南戦争で、西郷が私学校の生徒たちの暴走に結局付き合うことになるのだが、この背景には政府から刺客が送られたということになったことが大きいという。西郷も幕末を生き抜いた志士の一人である。暗殺は日常的なことであったからだ。この菊池寛の考察は正しいと思われる。
板垣退助について。戊辰戦争の会津戦争で松平容保が妙国寺に退隠したある日、一人の百姓が芋を藩公に献じてその不幸を諌めようとした。護衛の任にあたっていた土佐の士が美談として板垣に語ったところ、板垣は戦争の時、農民の多くは逃げ出した。これを今後の日本に当てはめた場合由々しき大事である。士族のもつ愛国心を国民一般のものとしなければならない。士族の特権を国民一般のものとして広く享受しなければならないと語ったという。
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