2017年5月22日月曜日

IBTの話(99) 宿題

1週間のスクールホリデーが終わり、授業再開である。6月中旬の定期試験、そしてEJUへと邁進しなかればならない初日だ。このホリデー中、国費生などは故郷に帰っているはずだ。日本語抜きの日々が続くと、それまでの学習が水泡に帰す。先日書評を書き終わったラザク先生の伝記でも、学生が土日ごとに学んだ内容を忘れて困られたという記述があった。ましてスクールホリデーは1週間である。当然、各教科とも中身の濃い宿題を出すことになる。私の「公民分野」の宿題はA4版両面刷2枚である。これまでの政治分野と経済の前半部の総まとめになっている。テキストと私の補足プリントを読み直せばできる内容にしてある。(画像参照)とはいえ、そう簡単ではない。おそらく優秀な学生でも3時間くらいはかかるだろうと思う。

今朝提出された宿題をチェックした。間違いに赤ペンを入れるのだが、国費生の宿題の出来がかなり悪い。明らかに手を抜いていた。たとえば、高等裁判所のある都市名で、”さっぽろ”とひらがな書きされていたりする。日本語を学ぶ学生が漢字を避けていくと壁にぶち当たる。労働三法なども、団体交渉権を交渉権などと略してある。難しそうだと最初から空白の部分も多かった。こういう手抜きを今見逃すとEJUでは勝てない。きっちりと何時間かかろうとやり抜くことが、結局のところ、大学に行ってからもその学習姿勢が生きてくるのは間違いない。国費生は、国立大学に留学する。入った後、いいかげんな姿勢だと地獄を見ることになる。特に文系は、新書などの資料を読み、レポートを書くことが多いからだ。

そんなことを今日は、50分の短い3時間目だったこともあって、解答をしながら説教をしていたのだった。私はあまり説教をするタイプの教師ではない。だが、今日は私の五感の全てが、説教すべしと言っていたのだ。今年の国費生、心配である。マハティール首相の涙の話やラザク先生の話も入れて、マレーシアのこれからのために半年耐えて、なにがなんでも力をつけるように諭したつもりである。

その後、昼からは私費生の私のクラスの学生の宿題をチェックした。入学が一ヶ月早いだけだが、出来が全然違う。中華系で漢字に強いこともあるが、読解能力が違う。手抜きもない。ちょっとだけ救われた気がしたのだった。明日、返却するが説教をする必要はなさそうである。

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