2017年5月21日日曜日

第4次産業革命に備えを。

日本の若手官僚の日本の将来を憂いた資料の話を昨日エントリーしたが、マレーシアではナジブ首相が、先のメーデー(5月1日)の集会で「第4次産業革命に備えを」と訴えている。(地元の日本語フリーペーパー・南国新聞/5月11日号)
昨年のダボス会議で開かれた世界経済フォーラムの年次総会が「第4次産業革命」をテーマに掲げ、仕事の未来について報告したことを受け「失われる職種もあるが新たに生まれる雇用もある。(レポートでは710万人が失職し、200万人の新たな雇用が生まれるとされている。)マレーシア人もそのような変化に直面していることに留意し、準備を怠らないようにしよう。」と呼びかけたということだ。
この第4次産業革命とは、水や蒸気機関による第一次産業革命、電気による大量生産が可能になった第二次産業革命、コンピュータ制御による生産性の向上が図られた第三次産業革命に続くもの。現在ドイツの官民が一体となって進めているもので、単に大量生産するのではなく、インターネットやビッグデータを活用しながら個々の需要に機械も人も対応する客業生産体制を意味する。「スマートファクトリー」(自ら考える工場)を志向するものだ。
http://thedevelopmentadvisor.com/malaysia-kaj-melaka-gateway/
一方で、中国の「一帯一路」プロジェクトの一環として建設が開始される「マラッカ・ゲートウェイ」について、マラッカで州政府主催の公務員の集会でも首相はスピーチしている。マラッカの沿岸に3つの人工島を埋め立て、新たな大港湾施設を建設する他、観光施設、商業施設、住宅などを含む複合開発プロジェクトで、2025年の完成後は250万人の観光客、45000人の雇用を生むとされる。

…現在のマレーシアはASEANの中では経済発展については十分に優等生だが、世界的には人口の少ない中進国であるといえる。この中進国の罠を抜け出るためには、インフラの整備をはじめ、さらなる投資をして「飛翔」する必要があると開発経済学は説いている。マレーシアの政権の中枢部は、そのあたりについては十分把握しているようで、大筋間違っていないと私は、いつも学生に説いている。(学生の多くは、インフラの工事やコンドの新築工事などがガンガン行われている今の状況に、不安を抱いている者が多い。)
ところで、このマラッカ・ゲートウェイには、マハティール元首相が大陸の中国系の人々の移住を促進するものではないか、マレーシアの人口バランスを崩すと国是が揺らぐと警鐘を鳴らしていて、賛否両論があるようだ。いずれにせよ、世界的な大きな経済変動さえなければ、いいのだが…。

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