2017年5月17日水曜日

書評 ラザク先生の戦後(1)

昨年11月6日付ブログで、戦時中に南方特別留学生として日本に留学、東京大空襲と広島での被爆経験を持つマレーシア人・ラザク先生について書かれた「わが心のヒロシマ」の書評を書いた。後に、このラザク氏はマレーシアの日本語教育に多大な尽力をされ、IBTにも「ラザク奨学金」というシステムがあることをエントリーした。(今回の皇太子殿下ご訪問の際も、殿下はラザク先生のご子息とご懇談されている。)

今日紹介する「南方特別留学生ラザクの戦後-広島・マレーシア・ヒロシマ」(南船北馬舎/2012年7月発行)の著者の宇高雄志氏は、マレーシアに造詣が深い建築学の現兵庫県立大学教授で、以前書評をエントリー(2017年1月3日付ブログ参照)した「住まいと暮らしからみる多民族社会マレーシア」を書いておられる。しかしながら、文章の固さがかなり違うので同じ著者とは思えないほどだ。著者はマレーシア科学大学に研究員として2年滞在した後、広島大学に戻っている。建築学が主専攻ながら、ラザク先生と広島での被爆の問題から南方特別留学生の調査に関わっていく。軍事都市だった廣島、現在の広島、そして平和都市としてのヒロシマの姿を、ラザク先生の戦後とともに考察していくという内容である。

核を振り回す北朝鮮の指導者に、核のもつ残忍さ・悲惨さを改めて知らしめたいものだ。(つづく)

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