日本語を学んでまだ1年強の生徒たちであるから、いくら優秀とはいえ、難しい語彙にはルビをふる必要があるのである。まあ、前半の経済的アプローチの分野は、そもそも日本の高校生向けに作ってあるし、すでに総合科目で講義している語も多いので、ルビは少ないのだけれど、政治的アプローチの分野、さらに文化人類学からのアプローチの分野になると、ルビの数がそれぞれ倍増していく。(笑)自分で読んでいても、最後のほうは完全に学術論文化している。こりゃあ、解説にだいぶ時間を必要としそうである。でも、それでいいと思っている。彼らが日本の文系の大学を目指す以上、避けて通れない高度な日本語の世界であるからだ。
今読んでいる「レヴィナスと愛の現象学」には、もっともっと凄い語彙が出てくる。
レヴィナスのテクストは「完全記号」である。
弟子となることは「命がけの跳躍」。
テクストを「眼光紙背」に読めば…。
テクストに固有の「知の周波数」に同調…。
…さすが人文科学、といいたくなるような語彙ばかりである。私のほうは、もちろん第一義で十分読解できる内容である。(笑)
ところで、今回の補習で伝えたいことは、いろいろあるのだけれど、もし本気で開発経済学を大学でもやってみようと思う生徒がいたら、「統計はウソをつく」と「貧困を救うテクノロジー」を読むことを勧め、私の本音を最後の最後で明かしている。
「このテキストが立脚している2015年MDGsがSDGsに取って代わるまでの時期の学問的集積を根底から覆すかもしれないからだ。時代は常に変化している。すでにこのテキストは古くなっている、という批判と可能性を著者は否定しない。それこそ教育者の本望である。」
つまり、もう古くなったかもしれない学問的な集積をあえて教えたのだよ、私を乗り越えていってね、ということである。だから、今回のテキストは、バージョンが刷新され、7となっているのである。
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