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「節約すべきは金ではない。時間と労力だよ。」
永井先生は天才でも、スーパーマンでもない。田舎の小学校では優等だったが、中学は補欠で合格している。体育も、走るのも器械体操も大の苦手であった。高校では弓道をやったが、一度も的に当たらなかったという。大学では、はやりかけてきたバスケットボール部をつくり、中国人留学生と中国式の速攻の戦略を用い、大学の選手権で3位になっている。永井先生は、運動音痴から、スポーツマンになるのに、長い時をかけているわけだ。
無理をしないで、ゆっくりゆっくり、しかも絶えずたゆまず、やさしいことから始めて、むずかしいことに進みつつ、からだの成長に合わせてきたからである。と述べておられる。だからこそ、「節約すべきは金ではない。時間と労力だよ。」と言われているのだ。
最近、スマホを夜中までいじっている児童・生徒が増えているそうだ。その時間が全く無駄だとは言わないが、教育に携わる者としては、そんな彼らにとって大いなる金言だと思う。全ての人間に平等に与えられた時間をいかに使うか。その姿勢は、人生に決定的な格差をもたらすと思う。
もうひとつ。我が家(夫婦だけだが…)で、今はやっているフレーズがある。よほど気に入ったのだろう。妻が暗誦してよく口にする。永井先生が昭和25年に、白血病の病床から原稿を書き、絵を書きして資金を集め、子供たちのために設けられた図書館「うちらの本箱」の入り口に掲げられていた「おきて」である。実にユーモラスである。
おきて
ブタのようにおしりのよごれた子
ネコのようにあしのよごれた子
サルのようにてのよごれた子
イヌのようにわめく子
ウマのようにあばれる子
ウシのようによだれをたらす子
ヤギのように本をちぎる子
はいることおことわり
1950年 こどもの日 永井隆
永井先生の母堂のエピソード。永井先生の家で、兄弟と近所の子供たちでかくれんぼをしていて、漬物小屋でらっきょうを見つけた。みんな我慢できずポリポリやりだした。だいぶ食べてしまった。母堂が物音に気づいて小屋にこられたが、何事も言わず去られた。皆、どうしようと悩んだが、結局兄が代表してあやまりに行くことになった。皆茶の間で小さくなっていたら、母堂がお茶と大きな器にらっきょうを入れて「さあ、遠慮なくおあがり。」と言ったそうだ。皆、ひしひし後悔したという。この母堂は、年に1・2回ごちそうをつくって、近所の子供らとともに遠足に行ったり、算術や書き取りを教えたりしていたという。この「うちらの本箱」のおきてには、その母堂の暖かくも、厳しく子供を育てようという教育の精神が生きていると思われる。
…妻と、次に長崎に行くときは、永井先生の記念館に行こうということになっている。
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