朝日新聞の朝刊に、米国が約50カ国のアフリカの首脳を招いて初の「米・アフリカ首脳会議」が開かれたというニュースが載っていた。要するに日本のTICADの米国版である。このところ、アフリカ経済のニュース配信がほとんどなかったので久々のエントリーである。
アメリカ企業(GEやコカコーラなど)もCSR(corporate social responsibility:企業の社会的責任・2013年3月7日付ブログ参照)を伴った140億ドルほどの投資を行おうとしているようだ。米国らしいのは、テロ対策への支援を表明したことである。まあ、中国のアフリカ進出への対抗策であることは間違いない。
http://www.asahi.com/articles/ASG874DS4G87UHBI019.html
ウォールストリート・ジャーナル(日本版)によれば、AUの副議長(ケニア)は、経済関係の構築はアフリカを動揺させてきた紛争の封じ込めに寄与するだろうと述べた、とある。また、これまでアフリカ諸国との間で結ばれてきたアフリカ成長機会法(Agoa)が、来年失効するのを受けて、綿花の問題は言うまでもなくアフリカの主要な関心事になっていると述べたようだ。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303513604580072182526006138
…オバマ政権が「世界の警察」を降りて久しい。そもそもアメリカが国連PKOから引くことになったソマリア紛争の現在の覇者アルシャバブ、さらにナイジェリアのボコハラムをAUは当然念頭においているのだろう。現在、これらのイスラム原理主義の流れが、アルカイダとイスラム国(旧ISIS)の綱引き状態になっている。(7月26日付ブログ参照)しかし今日、イラクのイスラム国への空爆を認めたとの事。このままでは米国の国威の低下のデメリットの方が大きいと判断したのだろう。今回の「米・アフリカ首脳会議」でのAUの表明も、間接的にでも米国の姿勢の変化に影響を与えたのかもしれない。
…綿花については、米国は強固な保護貿易体制を敷いている。サンベルト地帯(今はかなりテキサスが中心だが)の綿花農家が、かなり複雑怪奇な保護を受けているのは有名。要するに、Agoaを延長し、アフリカの綿花を輸入させてくれとAUは言っているわけだ。これはオバマ政権としても苦しいところだと思う。綿花農家は、強烈な圧力団体で、ユダヤ・ロビーと並んで力が無茶苦茶強い。AUもなかなか言うのである。
また、ロイター(WEB版)によれば、南アのズマ大統領は、南アの対米輸出の95%がAgoaの免税措置を受けており、米国民はこの機会を逃したくない(と考えている)と確信する、と述べ、Agoaの15年延長を要請したらしい。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0QB0E320140805
…先日読んだ「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫/集英社新書:7月27日付ブログ参照)にもあったが、現在、投資する(地理的)「市場」は極めて小さくなってきている。最後のフロンティア(周辺と言った方がいいかもしれない)はアフリカだと言われている。実際、経済成長率の上位10カ国のうち6カ国はアフリカ諸国である。(但し、石油をはじめとする鉱産資源で儲かっているレンティア国家ばかりだが…。)まさに、米国は、ITの金融市場にばかり力を入れないで、投資するならアフリカだ。「今でしょ。」と言われているのだ。
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