ここ数日、アフリカにとって大きな影響を与えるニュースが二つ報道されている。ひとつは、ダーバンで行われたBRICS(Sは複数形ではなく、南アを示している。)のサミットで、とにもかくにも開発銀行設立という話だ。世銀やIMFが先進国の意向を反映していることに対し、BRICSが独自に開発銀行を設立し、アフリカやアジアに融資していこうというものである。今朝の日経には、そのことが詳しく書かれていた。
BRICSは、このところ経済成長に陰りが見え始めていて、以前のような元気がない。たとえば中国は、大量の安価な労働力が売りだったが、このところ賃金面で他の途上国との格差が出始めている。内需への転換が必要らしい。ロシアは、天然ガスなどの第一次産品が好調なわりに、国内産業の成長が進んでいない。インドは海外投資が減少し、成長に急ブレーキがかかっているらしい。ブラジルと南アはまずまずだが、およそ以前の高成長率状態ではないのだ。で、とにかく設立はするよ~という宣言で終わったらしい。
とはいえ、BRICSが開発銀行を設立することは確かなようで、これまでの開発資金=世銀・IMFという体制を、根本から揺るがすことはまちがいがない。
もうひとつは、コンゴのPKOに戦闘部隊を組み込むことが、国連の安保理で決議されるらしいということだ。PKOは、ソマリアでの失敗以来、その名称どおり、基本的に市民や人道支援関係者の保護などが主目的で、治安維持部隊であるといってよい。コンゴの場合、それでは全く解決しないということなのだ。それは確かにそうなのだが、国連は積極的に反政府勢力に対し、「平和の強制執行」を行うというのである。美句ではるが、要するに反政府勢力に攻撃を加え内戦を終結させるというのである。現在のところ、南アやタンザニア軍、3000人がその任にあたるらしい。AUなどアフリカ諸国の連合軍も考慮されたらしいが、資金や装備不足で流れたという。AUのアフリカの紛争はアフリカの手でという原則も、なかなか現実的には難しいわけだ。
この国連PKO攻撃部隊組み込みには、フランスが最も積極的なのだという。現在、フランスはマリで反政府勢力と戦っているが、1カ月半で1億ユーロの戦費を使ったらしい。フランス国内からは、失業対策などもっと重要なことがあるだろうという批判が噴出している。さらに先日追い打ちをかけるように、中央アフリカ共和国でもクーデターが起こった。旧植民地であるこの地でも最近ウランやダイヤモンド鉱山などが開発され、フランス人が多く在留している。彼らと空港などを守るため550人のフランス軍を急きょ派遣したところだ。フランスとしては、これらを国連のPKOに任せ、国内の批判をかわしたいというのが本音で、コンゴのPKOの件を積極的に進めるのはまさに国益である。中国とロシアの動きは定かではないが拒否権発動はない模様。イギリスもフランスほど積極的ではないが賛成。明日は我が身という国益か。あまりに乗り気でないのがアメリカなのだという。理由は2つだと私は思う。ひとつはソマリアでの苦い経験。もう一つは、国連の拠出金の問題だ。アメリカは最も多くの拠出金を出している。分担率は22%である。PKOの戦費は直接アメリカに跳ね返るわけだ。
ちなみに、国連拠出金の分担率は、第二位は日本。10.833%。第三位はドイツ。7.141%。この話、日本は決して無関心であってはいけないのではないかと思うのだが…。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2706C_X20C13A3FF1000/
http://mainichi.jp/select/news/m20130328k0000e030237000c.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jp_un/yosan.html
2013年3月28日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿