本日、ついに平野先生の「経済大陸アフリカ」を完読した。今までのアフリカ開発経済学そのものの土台を揺るがすような一冊であった。
第3章はアフリカの食糧問題である。平野先生は「図説アフリカ経済」でも主張されているが、アフリカの農業はやせた土地が多く、低生産性の天水農業(灌漑農業ではなく、降水にたよる農業)が主である。よって、穀物生産が少なく、慢性的な穀物輸入国となっている。まさにアフリカの貧困の根源なのである。
通常は、経済成長に伴って都市人口が増え、都市の購買力が上がって食糧の支出も増え、それが農村部の収入増に繋がるはずなのだが、アフリカではその循環が閉ざされてしまっている。最新の資料では、サブ・サハラ=アフリカ内で生産される穀物だけでは15.7%の都市人口しか養う事が出来ない状態だと言う。都市化がこのまま続けば、穀物輸入が増加の一途をたどることになる。これまで、この穀物生産に無関心だったアフリカ諸国も、世界的な穀物の高騰化に、その脆弱性を再確認したようで、最近肥料工場の設置や、農村部への肥料運搬ルートの確保(インフラ整備)も重要視されてきた。
一方、アフリカ各地で、欧米や中東諸国、中国、インドの企業農地を取得する動きがある。これを「ランドグラブ」と言う。アフリカ全体でおよそ2700万ha。特に広いのは、スーダン、エチオピア、モザンビーク、南スーダン、タンザニア…。アフリカの20カ国で外資の支配が進んでいると言う。小農から耕地を奪い、自給できないアフリカで輸出用の穀物を生産するという本末転倒であるといえる。しかし、新技術がアフリカに定着する可能性もあるらしい。
それに近いケースとして、平野先生が提示されたのは、穀物貿易が黒字となったザンビアの話である。その理由はジンバブエから移住してきた白人農家が、その世界最高水準の生産性を持っていたからである。ザンビア政府は、彼らを保護し、生産を増大させてきた。今や、南アフリカ地域の食糧供給基地になっているのだという。
…このあたりのアフリカの食糧問題は、実に難しい。最高の解決策があるわけではない。京大の公開講座に通う中で、私は単に経済性だけでアフリカを見ることには懐疑的になった。ただ、貧困の根源に食糧問題があることは間違いない。うーむ。
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