2012年9月25日火曜日

モザンビークのLNG

モザンビークとタンザニアのLNG
ロイターのWEBニュースで、モザンビークやタンザニアのLNG開発に黄色信号が出ていると報じている。先日(9月23日付)のアフリカ投資国ランキングのエントリーの中で、私がモザンビークに魅力を感じているという事を書いたのは、南アやザンビア、マラウイを結ぶ経済回廊とこのLNG開発が有望だと見たからだ。内戦の疲弊からモザンビークはかなり立ち直っており、さあこれからという時に、ロイター電が冷や水をかけた感じだが、要するに、LNGの開発にはかなりの時間が要する上に、生産開始時期が遅れると、今でこそ需要が高いものの、他の供給地域との競合でそれほど利益が見込めないのではないかという話である。

ちょうど今朝モーニング日経を読んでいると、イスラエル国内ではイラン攻撃がかなり強行に叫ばれており、テルアビブやエレサレムでは一般人に無料のガスマスクが配布されているという記事が載っていた。イラン攻撃には、かなりのリスクが伴うので、消極的なオバマ政権を無理やり引き込む必要がある。そのためにはユダヤロビーの力を最大限発揮できる大統領選前でなければならないという観測が流れているらしい。もし、イスラエルがイランの核施設を攻撃するとなれば、私個人は息子夫婦の安否が最大の問題となるが、日経にはそんなことは書いてない。まあ、当たり前である。日本経済に与える影響について、次のように予測していた。何よりホルムズ海峡封鎖あるいは危険水域化によって、カタールからのLNG輸入が滞り、現在の原発を停めている電力事情に大打撃となるとの話だった。日本の火力発電は今、原発停止後一気に輸入量が増えたカタールのLNG頼みなんだそうだ。

経済界の利益を主軸とする日経は、原発再稼働を主張している。中東の安定は日本経済のまさに分水嶺なわけだ。モザンビークやタンザニアのLNG開発は、このような情勢の中で、脱原発を目指すことになるかもしれない日本にとっても大いに期待されるのだが、まだまだインフラや人材の問題、法整備など様々な問題があるらしい。

もちろん、モザンビークもタンザニアも天然資源の罠にだけはハマらないでもらいたい。好機を生かし、両国政府は慌てずに長期的に取り組んで欲しいものだ。その意味で、WEB記事に出てくるティエリー・ブロス氏の指摘は正しいと私は思う。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE88J03220120920?sp=true

なお、MIYAさんの「アフリカのニュースと解説」に、この東アフリカのLNGの詳しい考察がされています。興味のある方は是非。
http://let-us-know-africa.blogspot.jp/2011/11/blog-post.html

2 件のコメント:

  1. ガスを発見して開発する場合、(1)投資額に見合うだけの埋蔵量があるか、(2)巨額になる投資額を回収できるかが問題になります。特にLNGにする場合は投資額が巨額ですので、10年程度は買い手にコミットしてもらわないと、投資できません。カタールは米国市場をあてにして大きなLNG液化施設を作ってしまったのですが、北米でシェールガスが生産されるようになったため、供給過剰になってます。モザンビークはカタール、オーストラリアと競争することになりますが、タイミングをみて開発する必要があります。ちなみに、アンゴラLNGはガス発見してから出荷するまで10年以上を要しました。

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  2. MIYAさん、貴重な情報ありがとうございます。(1)と(2)については、地理の工業のところで基本的なところは講義するところですが、実際問題として具体的な情報は限られています。たすかります。

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