https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26029 |
北欧、特にスウェーデンは人権活動に熱心で、多くの難民や移民を受け入れている。そのアイデンティティを捨ててのNATO加盟である。またスウェーデンは独自の中立政策を取ってきた。軍事的にも独自の戦闘機(サーブ)を開発・配備していて、これもかなぐり捨てたといえる。それほど、ロシアは脅威なのだろうか。フィンランドは度々ロシアから侵略されていて、いままで泣く子を起こさないようにしてきたが、ここに至ってスウェーデンに同調した格好だ。
…正直なところ、私はスウェーデンの掌返しには驚いた。クルディスタンは見事に見捨てられたわけだ。結局のところ国益なのだろうか。という見方が普通のような気がするのだが、ここで違う視点も提供したい。偶然だが、今日帰路に「イスラム2.0ーSNSが変えた1400年の宗教観」(飯山陽:河出新書)を読んでいたら、スウェーデンの事情が少しわかってきた。
ムスリムが集住することで治安が悪化し、警察や当局者すら立ち入れない「ノー・ゴー・ゾーン」がドイツやイギリス同様にスウェーデンでも生まれているようだ。2019年にイタリア公共放送局がスウェーデンの「ノー・ゴー・ゾーン」を取材した。この時は在伊・スェーデン大使館はその存在はないと反論したのだが、スウェーデンの野党・穏健党は、地域のほぼ全域がイスラム法によって統治されている地区ではシャリーア警察が闊歩していると指摘している。2016年には、ストックホルム、ヨーテボリ、マルメなど大都市を含む全国各地で放火や路面電車への投石などが発生、2000台以上の車が放火されたといい、手榴弾やダイナマイトによる爆破事件も起こっている。戦争状態にない国としては考えられないほどの頻度と地元警察が嘆いているという。この治安問題がスウェーデン最大の国家課題であるらしい。
…もちろん、これらの治安悪化の原因がクルディスタンではないだろうが、スウェーデンでは反イスラム感情が高まっていることは想像に難くない。マレーシアの穏健なムスリムと接してきた私には想像だにできないが、これもまた現実である。スウェーデンは、そちらに舵を切ったといえるだろう。
…しかもNATOは、そのうち拡大NATOとして、オーストラリア、ニュージーランド、日本をも含む集団安全保障組織になるかもしれない。(韓国は例のF35のブラックBOX開封問題で米国からかなり不信感を持たれているが、結局入ってくるかもしれない。)今回のマドリード会議で、ロシアをはっきりと敵国扱いとし、中国を準敵国扱いにしたからである。
様々な論点がありそうな、北欧二カ国のNATO加盟問題…である。
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