ロシアの油田・天然ガス田 http://russianresources.seesaa.net/article/432900478.html |
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59920
現在石油価格は暴落している。(たしかに日本でもちょっとガソリン価格は下がっている。)この理由は2つ。①3月6日のOPECと非OPEC主要産油国(ロシアなど)の「OPEC+会議」での追加減産案にロシアが賛成せず、決裂したこと。これに対して、サウジが直ちに原油増産を発表、供給増=価格低下となった。⓶新型肺炎コロナウィルス蔓延による世界的な経済活動停滞による需要減が見込まれること。①供給増+⓶需要減=暴落となっているわけである。
ロシアが追加減産に反対した理由は、西シベリアの油圧層が低いので、バルブを閉めて減産すると将来採取が不可能になってしまうこと、さらに西シベリアの原油はワックス分が多いので、パイプラインを常に流しておかないと、動脈硬化を起こしてしまうこと、また冬場には原油に含まれる水分が氷結してしまうという、極めて技術的な問題であるそうだ。これ以上減産すると西シベリアの油田が崩壊の危機にあるわけだ。
しかも、原油生産にロシアの国家財政は大きく依存しており、1バレル$42.4で予算を組んでいる。現在の石油価格は、WTI(授業で教えたテキサスにある原油先物取引市場)で1バレル$20台。このままいけば国家財政は赤字に転落する。ソ連崩壊時の原油価格は1バレル$10台。もしこのような事態になれば、プーチン政権にとっても一大事となる。
現在の最大の産油国になったアメリカもまた、この暴落は痛い。シェールオイルの損益分岐点は1バレル$40程度、このまま行くと3年ごとに投資(新採掘)を行う必要があるシェールオイルは壊滅的打撃を受ける。
サウジがいくら増産しても、利益は薄い。結局、世界の主要産油国(米13%、サウジ13%、ロシア12%のシェア)三者全てが敗者になってしまう。筆者は早晩手打ちすると予測。最大の受益者は大消費国の中国だとすると遠藤筑波大教授の論評を慧眼だとしている。
…原油価格の話はかなり複雑である。しかし、国際関係を考える上でかかせない問題である。今回の小論は実に参考になると思う。興味のある学生諸君はさらに深く学んでほしい。
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