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まずEUにおける中国との関りであるが、一帯一路構想に賛同し覚書を交わしたEU諸国は14か国。エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国。ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、ブルガリアといった旧東欧諸国。ギリシア、マルタ、ポルトガルといった南欧諸国。そして唯一G7先進国のイタリアである。当然ながら、イタリアの覚書署名には、独仏米が不快感を示したと言われている。どうもEU内の団結は、シリア難民問題以来乱れているようだ。
しかも米大統領閣下の毒舌によるパクスアメリカーナの完全崩壊で、中露が地中海で演習をしたりして、どんどん欧州にクサビを打っている中、NATOも揺れている。まさに各国がバラバラな方向にベクトルを向けて動き出している。
ロシアの経済力は韓国並みらしいが、軍事力は今も強大である。中国と、このところ反米で共同戦線を張っていて、ユーラシア同盟のような状況にある。地政学上重要なNATO構成国であるトルコを仲間に引き入れそうな状況だ。この状況下、イギリスは、NATOまで離脱するつもりはないらしいが、安全保障面でどうも日本と組んでいこうとしているらしい。否応なしに日本も世界のパワーバランス闘争の中に引き込まれているわけだ。
これらの状況は、要するに、中国のアメリカへの挑戦が引き起こしたものだと言える。中国への対応で、EUは、反中・反露・親米のイギリスと、反中・反露・反米の独仏ベネルクス三国などのEUの中核・先進国組と、親中・反露の貧しい東欧・南欧組に3分裂していると一応分析することが可能だと思う。
このような中、春節と言う最悪のタイミングで、新型肺炎の拡散で中国の威信が大きく低下した。到底、世界をリードするガバナンス能力がないことを見事に露呈してしまったのだ。アメリカは、ほくそ笑んでいるはずである。これから先、香港やウィグル・チベットの問題も中国政府に重くのしかかってくるはずだ。これから世界がどう動くのか?全く読めない。
そして、日本は4月に国賓として習氏を迎えるわけだが、さてどう対処するのだろうか。それさえも読めない。国際関係学の面白さは、各国・地域の実情認識・分析とともに予測の困難さにあるのかもしれない。
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