こちらで知遇を得たIご夫妻に誘われて、宇和島で「坊ちゃん劇場」のミュージカル「ジパング青春記」を観に行ってきた。「坊ちゃん劇場」は、愛媛で頑張っている劇団で松山市に拠点があり、四国に関係する内容のミュージカルをやっているようだ。
今回の「ジパング青春記」は、江戸時代の黎明期の仙台伊達藩で、大きな津波の被害を受けた村が舞台だ。宇和島も伊達藩なので関係が深い。
この舞台となった仙台伊達藩は、有名な伊達政宗が初代藩主である。豊臣氏と徳川氏の権力争いのなかで、政宗の長男・秀宗は人質生活を送っていた。そんな中、政宗に忠宗が生まれ、この忠宗が結局仙台藩の後継者となる。一方、秀宗は大坂冬の陣で政宗と共に戦いその戦功としては伊予・宇和島藩を拝領した。これが宇和島伊達家の始まりである。とはいっても、秀宗はわだかまりがあったようで、父が送った家臣の起こした事件を隠していて勘当されてしまう。幕府の老中のとりなしで父政宗と秀宗が腹を割った対話がなされる。「長い人質生活を送らされた上に、長男なのに仙台藩を告げなかったので、正直父を恨んでいる。」と胸の内を打ち明けた。政宗は、怒るどころか、秀宗の想いを受け止めたという。
この政宗の度量の大きさは、このミュージカルでも登場する。また支倉常長の渡欧の話も出てくる。もちろん、津波という災害から立ち上がる人々の姿も、である。もうひとつだけ付け加えると、被災者(=飢餓に苦しむ人々)に仕事を与え、その報酬として食料を与えるという、開発経済学の手法も出てくる。(これ以上詳しく書くのは差し控えたい。)
実に面白いミュージカルだった。もちろんNYで見た本場のものと比することはできないが、私はこういう雰囲気のミュージカルが大好き。ちょっとだけ大衆演劇の匂いもある。次の講演も是非行きたいと思うし、松山の本拠地も訪ねたいと思ったのだった。
最後に、ミュージカルの始まる前に、宇和島伊達家の現当主のお話があったことも付け加えておきたい。これもまた、舞台にさらに趣を加えてもらえてよかったのだ。
2020年2月1日土曜日
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