トルコ共産党の旗の画像らしい。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm26967389 |
…私は、この「金言」、かなり視点がすれているように思う。まず、トルコは、イスラムの中でも最も早く政教分離し「領域国民国家」たることを目指した国であるという前提がある。次に、現在過激派と呼ばれているISなどは、(過激と言ってもいいと思うが)イスラム復古主義者であるという認識がかけていること。彼らは「領域国民国家」を否定する。イスラムの神定法、カリフ制の下で、自由な往来を認めるアナーキズム的な共同体再構築を目指していることが顕著である。
彼らから見れば、トルコをはじめとした多くのイスラム教国は、神の定めたイスラム共同体を、西洋近代国家論に従い分割している(といより、分割された)と見えるだろう。そこには、キリスト教的な人定法で「法の支配」が優先される民主主義社会が形成され、さらに各国の国民という縛りが生まれ、資本主義の利益が優先されるようになっている(と、いうより堕してしまった)と見えているはずだ。復古主義者の彼らと、領域国民国家の官吏では、当然ながら話が成立しないだろうと思う。ただ、復古主義者でない領域国民国家に住み、それを是としている普通のイスラム教徒からみれば、論理の飛躍・狂信的ということになるのだろうとも思う。この違いを明確にしておくべきだ。
…ところで共産主義思想は、本来的にはキリスト教世界の二元論から、階級闘争として組み立てられたものだ。その後、領域国民国家(ソビエト=ロシア)の成立を目指したスターリニズムと、世界革命をめざしたトロッキズムに分裂した。70年代の赤軍はトロッキズムの流れを汲んでいるから、金言にあるように必ずしも国内に留まっていたわけではない。中国でも基本的には、世界人民大団結万歳の文字が長く天安門に掲げられていた。
西川氏の論はこのあたりの視点も欠落している。しかも現在のISとひっくるめて、疎外された人々によるもので「過激思想は共通課題」などど言われると、うーんと唸ってしまうのである。基本的な社会思想史と一神教理解があれば、思わず首を捻る今日の金言であった。私は、毎日新聞のコラムは、意外な視点が提示されていたりして、いつも楽しみにしているので残念である。
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