2015年4月13日月曜日

下川裕治の新刊文庫本を読むⅡ

ラオス ルアンパバーンの街並 http://ameblo.jp/kuraicco/theme-10062067942.html
下川裕治の「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦(新潮文庫/本年4月1日発行)の書評続編である。下川裕治は、長年タイを愛し、足を運んできた。そのタイをこう表現している。印象深いので是非エントリーしておきたい。

タイのカプチーノ
「タイという国は、東南アジアでは頭ひとつ抜けた国になったことを、(ラオスとの)国境のカプチーノは教えてくれるのだった。」ラオスの高地では、動物の血を飲んだりしていた下川裕治は、国境を越えた田舎の食堂でコーヒーを頼む。すると出てきたのは、カプチーノだったのだ。仏領インドシナだったラオスも、ベトナムもカンボジアもコーヒー文化圏である。どこもコーヒー豆はある。問題はミルクである。どこもコンデンスミルクの世界である。カプチーノは、それ用のコーヒーマシンが必要。それを動かす電気が必要で、生の牛乳を保存する冷蔵庫、そして牛乳を腐らせず運ぶ流通が必要である。カプチーノの背後には、そんなインフラが控えていた、というわけだ。

ミャンマーからの出稼ぎ者
後半のミャンマーのへの旅では、バンコクからミャンマーに帰る多くの人々と遭遇する。彼らは出稼ぎにきていたのだ。この道筋をつけたのが、かつてのタイの首相・タクシンであった。タクシンは、最低賃金の段階的引き上げ政策を取っていった。例の赤シャツ派と黄シャツ派に別れ大騒ぎになった赤シャツ派(賃金の低い人々)優遇政策である。反発したのは企業や工場をもつ富裕層で、とてもこんな高い給料は払えないと悲鳴をあげたのだ。そこで、タクシン政府は外国人労働者のビザ枠を広げていく。多くのミャンマー人、カンボジア人、ラオス人が合法的に働けるようになっていったのである。今では、タイのATMではミャンマー語を選択できるほどになったのだ。

…こういう隣国同士で、強者と弱者の格差があることは周知の事実である。良い悪いは別にして、陸の国境を接するトコロでは十分ありうる。海に囲まれた日本ではわかりにくいのだが、教え子にはこういう経験もして欲しい。これが世界の現実なのである。

…ところで、コンデンスミルク入りのコーヒーは、糖尿病の私には毒以外のないものではないが、ブルキナファソで飲んだ。最高においしかった。コンデンスミルク入りのコーヒーとフランスパン。最高の朝食のコンビであると私は思う。

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