日本人に贈る聖書物語を読んでいる。今日5巻まで読み終えた。4巻はダビデ・ソロモン王の話から、北部イスラエル、南部ユダ王国、バビロン捕囚へと続く。5巻は、いよいよ、バプテスマのヨハネの話から、救世主・イエスの登場である。旧約聖書から新約聖書の世界へ突入となるわけだ。
なかなか興味深い内容なのだが、超個人的な感想を記したい。もとより私はキリスト者ではないので、ユダヤ教・キリスト教を一人称で語るわけではない。非常に非哲学的な話である。5巻の137Pに、著者中川健一氏は、こんなことを書いている。
『著者は大阪の下町育ちであるが、家のすぐ隣に二軒映画館があって、一軒が邦画専門館、もう一軒が「パーク劇場」という名の洋画専門館であった。中学、高校時代に筆者が足繁く通ったのは、後者のほうであった。』
この後、この頃の三本立ての映画館の状況を詳細に記していく。著者は日曜日の早朝・開館時からパーク劇場に入場し、「大いなる西部」という洋画の途中からの上映を経験する。昔は映画館同士でフィルムの貸し借りが行われていたようで、パーク劇場のその日の段取りは、大いなる西部後編→他の洋画→さらに他の洋画→大いなる西部前編となっていたのだった。後編を最初に見た著者は、筋書きがわからないままで感動が不発状態のままだったそうだが、前篇を見ると筋書きが面白いようにわかる。帰宅途中に前半と後半をつなぎ合わせ、作品を理解できた、という話である。著者は、旧約聖書と新約聖書のスタンスを、キリスト者の立場から、極めて解り易い譬話で説いているわけだ。
ところで、通勤途中にこの箇所を読んでいた私は思わずのけぞってしまった。事実、後頭部を電車の窓ガラスにぶつけてしまったのだ。なぜなら、私も、このパーク劇場を地元の人間としてよく知っていたからだ。
大阪市生野区、ソカイ道路沿いこのパーク劇場があった。その隣の邦画専門館が最初につぶれたが、ここでゴジラやキングギドラが活躍する東宝怪獣映画を見たし、「これが青春だシリーズ」や「若大将シリーズ」も見た。パーク劇場では、それこそ旧約聖書の創世記を映画化した「天地創造」を見た。砂からアダムが生まれて目が開いたとき、小学生だった私はかなりビビったという強烈な記憶がある。パーク劇場は後に日活のロマンポルノ専門館になってしまい、その後閉館した。
著者のプロフィールを調べてみたら、1947年大阪府生まれとある。私の出身中学の南隣の中学を出た11年年長者であると推測する。もしかしたら、天地創造を共に見ていたかもしれない。まさに「地縁」を感じる次第。
聖書物語に出てきた「パーク劇場」の文字。ほんと、心の奥底から驚いたのだった。超個人的感想と言うのは、こういう事情である。
2013年7月6日土曜日
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