2013年1月12日土曜日

ESDのための仮想世界ゲーム3

昨日は、文Ⅱクラスの5組と4組で南北貿易ゲーム、そして文Ⅰクラスの1組で「ESDのための仮想世界ゲーム(高校生版)」の第1セクションをやったという、授業時間:4時間中3時間、まれにみるアクティビティな1日だった。南北貿易ゲームでも面白い話はあるのだが、とりあえず仮想世界ゲームの話を優先したい。

今回の「ESDのための仮想世界ゲーム(高校生版)」、高校生にもできるように、元の仮想世界ゲームのポリシー的な部分まで改編させていただいている。その1つが、参加単位の問題である。今回は個人で参加しない。あくまでグループ参加で、助け合うこととしたのだ。そのほうがワークショップとして、ESDという教育目標に合致するし、何より平易だと考えたのだ。また、学校で行う場合、個人的な様々な感情のもつれがなくなる。ストレスを抜いたわけだ。本来は社会心理学のためのゲームである仮想世界ゲームにとって、この改編は大きいと私は思う。

さて、「ESDのための仮想世界ゲーム(高校生版)」でも、仮想世界ゲームのルールの基軸である食糧チケットと労働チケットというシステムを使わせていただいている。第1セクションにして早々と、この個人参加からグループ参加という改編が、大きな矛盾点として私の前に立ちはだかったのである。それは、昨日の放課後、7カ国のセクションごとの報告書を点検し、実際の封筒の中身を確認している中で判明した。

食糧チケットは、ゲーム開始時には、先進国(アメリカ・日本・ドイツ)の農園主に7枚ずつ配布した。21枚が仮想世界に存在したわけだ。ゲーム参加者は日本以外の国は4人で、計29人。と、いうことは現状では8人分不足しているわけだ。先進国の農園主が農園を拡大する(40)、もしくは途上国が個人農園をつくる(60)必要があるわけだ。( )内の数値は必要な金額。

40分間の間に、結局アメリカが+3、日本が+2、ドイツが+1、タンザニアが+1、ウガンダが+1、ボツワナは+3、合計11人分農園が増えた。人口は29のままなので、個人参加なら、3枚食糧チケットがあまることになるわけだ。

ところが、食糧チケットの半券である労働チケットの販売状況を見てみると、30人分が使用されていた。うん?1人多い。あまった食糧チケットの半券を先進国の企業に販売したわけだ。この犯人はボツワナであった。ボツワナは、ドイツから3枚の食糧チケットを購入、3枚の労働チケットをアメリカに販売し、前払いで賃金を得て、残りの資金を合わせて個人農園を3購入。残る1人の食糧チケットと本来使えない食糧チケットを得たのだ。その後日本にこれを販売している。4人しか人口のいないボツワナは5人として労働市場に参加したことになる。

個人単位だと、このようなことは絶対に起こり得なかった。供給を越えた食糧チケットは、価格を下げるだけだった。うーん。マニュアルではこういう規制はかけていない。しかし、これを許すと、仮想世界ゲームの人口が無尽蔵に拡大していくことになる。人口が拡大することのほうが面白いのだが…。うーん。どうしようか。第1回目にして大きな矛盾が露呈してきたのだった。この三連休じっくり考えてみようと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿