テルアビブの朝 |
昨年末にイスラエルで、蜷川幸雄・演出のアラブ系・ユダヤ系そして日本人の役者を使ってギリシア悲劇『トロイアの女たち』が上演されたらしい。その舞台稽古の話が面白い。トロイアが炎上し、奴隷として女たちが船に乗り込むシーンの初稽古。アラブ系、ユダヤ系の役者は、何度も振り返り、なかなか船に乗ろうとしない。それに比して日本人の役者はさっさと乗り込んだのだという。
蜷川氏は「彼らとは経験しているものが違う。」と言い、「現代史に向きあう」とも表現したという。3.11以後日本は激動の中東を含む世界の現代史にどこまで向き合ってきたのだろう。民主党政権下では、ついに首相の中東訪問はなかったし、外相がエジプトに一度来ただけだ。そもそも国会議員と地方首長の兼務論議をする前に、外相と議員の兼務が国益にかなうのかと、石合氏は吠えている。
燃える祖国を見てヘトロイヤの女・ヘカベがつぶやく台詞でコラムは〆られている。「アジアの中でひときわ光り輝いていたわが祖国、栄光に満ちたその名はまもなく消える。おまえは焼け落ち、私たちは奴隷として引かれてゆく」
…海外にいるからこそ、日本が見える。海外にでないと見えない日本がある。青年よ、書は捨てないでもいいから、日本から出(いで)よ。そして思索せよ。
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