明日は物理の試験だ |
結局居場所がわかったのは15分後だった。物理教室ではなく、生物教室で理科の若手の先生に教えてもらっていたのだった。校内放送で全員呼び出した。男子4名、女子7名。男子は前列に並び、どやされるのを覚悟で女子を守る体制である。その姿勢や良し。勉強していたのだから、それはそれで褒めてやった。しかし、「時間を守り、それまでに教室をきちんとするのが、責任ある行動だと思うが…。なにか言いたいことがあるなら聞いてやるから、言え。」と言うと、「ありません。」私の指導は一切ぶれない。約束を守る。5時と言ったら5時だ。『責任ある行動』、これしか言わない。「では、教室にもどり、明日の試験のため、きっちと掃除してもらおう。」と言うと、全員がほっとしたようだ。ダッシュで教室に戻っていった。男子が「清掃終わりました。」と報告に来た。「…?」手に教室用の時計がある。「実は…、風が吹いて、時計が落ちまして…壊れました。」「…?」「風が時計を壊したんです。」
「この風が時計を壊したという言い方、まるでムスリム(イスラム教徒)やなあ。」と全員が揃った前で私が言った。何人かが微笑んだ。「?」という顔をしている女子に、「インミッシャ・アッラー(神がそう望みたもうなら)やで」と男子。「?」「神が時計を壊したたもうたという感じの言い方やん。」と男子。おいおい、私の社会科の勉強もしときや。(笑)
ところで、壊れた時計について「これ高いねんど。」と私。「いくらですか?」「…300円」そこで、吉本新喜劇のようなこけ方をするのが大阪人のDNAである。(笑)
みんな笑顔で「さよならー。」「気をつけて帰れよー。」…担任っていいよなあと思うのである。
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