2012年1月17日火曜日

スティグリッツと「行動経済学」

このところ、スティグリッツの入門経済学(12月25日付ブログ参照)を、授業の合間にひたすら読んで、各章の最後にある復習問題をやっている。これが、アメリカ式で非常に具体的な問題なのだ。しかっりと理解していないと到底答えられない。「この経済用語が意味するところの具体例をあげよ。」などという問題が多く、なかなか進まない。今日などは、ついにグラフを描けという問題があった。比較優位説で出てきたのが、生産可能曲線…。うーん。高校では、比較優位説は教えてもこんなグラフやらないぞ。しかもテキストには、その描き方は載っていない。なんとか、公式をWEBで手に入れて、数値を導入してみた。80xa+100xm72000…。あかん。完全文系の私としては、どんなグラフになるのか全くわからない。で、数学の若手のH先生に教えてもらった。「簡単な一時方程式ですよ。」と、すらすらと式を解いて、「こんなグラフになります。」…なるほど。(方程式なんか何十年ぶりに解いたぞ。)

ふー。と言う感じであった。このスティグリッツのテキストを読んで、痛感するのは経済学の大原則である。それは、人間の合理的な行動を前提としていることである。比較優位の問題の中で、「グローバリゼーション下で、開発途上国は、貿易の自由化をよしとせず、保護貿易化する傾向がある。先進国に対し、絶対優位も比較優位も持ち合わせていない故である。これについて論ぜよ。」というのまであった。そんな簡単に論ずることはできないぞ。
比較優位説をグラフ化する
ただ、スティグリッツのいう経済学の大原則から見れば、やはり取引を行う事で双方に利益が生まれると書いてある。さすが、アメリカの本で、そうは行っても、社会保障などの不備のため様々なマイナス面もあり、云々と逃げ道も書いてあったりする。学生は、あらゆる局面をシミュレーションして論ずるのだろう。この問題だけで、回答に凄い時間がかかる。なかなかの読み応え。全く、ふー。という感じである。

ところで、今朝いつものようにモーニングで日経を読んでいたら、広告で今週の『週刊東洋経済』が面白そうな記事を特集していることを知った。『自衛隊のコスト』…つい、帰宅路に買ってしまったのだった。パラパラとめくっていたら、「経済を見る眼」というコラムがあり、阪大の大竹教授の「行動経済学を使って問題解決を」という小論が載っていた。
簡単に要約すると、スティグリッツのテキストのような「人間は合理的な行動をとる経済学の大前提」をとらず、様々な人間の行動特性を認め、その知見の集積によって社会に望ましい方向に誘導する「行動経済学」の可能性と有為性を示したものだった。

なるほど、と思いつつ、この文章、どこかで読んだような気がした。そうだ!先日の日経の「経済教室」の記事だ!

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