昨日からセンター試験が始まった。今年は、転勤したので私の専門の「倫理」の受験生徒はいなかった。(本校のセンター受験者は少ない。)いささか拍子抜けなのだが、一応試験問題を確認してみた。「倫理」の面白い問題としては、問題9/ユダヤ教とイスラム教の十戒の比較問題がでた。クルアーン(コーラン)の十戒など、初めての出題だ。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の比較宗教学的な設問がこのところ出題されていて、昨年も書いた(昨年1月16日付)が私は、一神教理解についての倫理教育は正しい方向に向かっていると思っている。
ちなみに、この問題<左記の問題参照>の正解は『4』である。1も2も3も間違いが明確なので、秒殺問題(一瞬で回答できる問題)で、容易い問題なのだが…。またフッサールが出題された。ついに現象学から出題されたわけだ。デリダやドゥルーズが出題される日も近いのではないかなどと思う。
実は、希望大学の受験科目で、センター試験の地歴公民が任意の1科目なら、絶対「倫理」が有利である。なんといっても、他の日本史や世界史、地理、政治経済とは、学習範囲の絶対量が違う。しかも、平均得点が毎年のように高い。これは、私の私見ではなく受験の専門家ならほぼ同意見だと思う。要するに受験テクニックとしては、地歴公民の穴場なのである。(こういう側面が強調されすぎることは、私自身は好まないが、事実である。)
他の科目の受験と不平等だという批判は前からあった。そこで、今回から倫理と政治経済をミックスした科目が、センター試験に登場した。公民分野では、従来の「倫理」「政治経済」「現代社会」と「倫理・政治経済」から選択することになったわけだ。受験科目を設定するのは大学なので、いくつか、「倫理」と「政治経済」を認めない、「倫理・政治経済」のみという大学も出てきた。関西では、京大、阪大、神大や奈良女子大、医学部系など超難関の大学である。
超難関大学を志望する生徒からすれば、倫理を選択する気なら、必ず政治経済もついてくるようになったわけだ。2教科になったからといって易しくなるわけではない。こちらの問題も見てみたら、6大問で、半々で出題されていた。要するに負担が二倍になったわけだ。
私はこのことを批判する立場にはない。地歴の学習範囲と比べて不公平感はあったのは確かだし、まだまだ超難関校だけが、「倫理」のみの選択を認めなかったからだ。ただ、これが全ての国公立大学に広がるとカリキュラムについて再考が必要になる学校もあるだろうと思う。実は、高校ではすでに新指導要領実施に向けて、ほぼカリキュラムが確定してしまっている。ちょっと、センター入試を改訂するには、若干時期が遅かったと思うのだ。当分、混乱するかもしれない。
追記:このセンター試験の問題に関して、イスラムに十戒などない、という極めて重要な批判が、息子から送られてきました。詳細は、16日付ブログをご覧ください。
2012年1月15日日曜日
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この件に関して、問題に対する抗議をブログに書いた。
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