2012年1月5日木曜日

セネガルの大統領選 波乱

Youssou N'Dour
先日紹介した今年のアフリカの政治日程にも記したが、2月26日にセネガルで大統領選挙が行われる。その選挙に、同国の有名ミュージシャンが出馬表明を行ったというニュースが流れた。このミュージシャン、ユッスー・ウンドール氏は、グラミー賞も獲得した世界的なミュージシャンであり、ドイツでのワールドカップでファイナル前のイベントもプロデュースした人物らしい。私はどんな音楽か興味深かったので、YOUTUBEでも彼の歌を数曲聞いてみたが、たしかにアフリカ音楽にポップスを注入した感じだった。ブルキナでも、TVでフランス語圏の様々なミュージシャンのプロモーションVTRを見た。それに良く似ていた、というより先駆者なのであろうと思われる。

とにかく、このユッスー・ウンドール氏、なかなかの人物らしい。単に大御所ミュージシャンというだけでなく、『ネルソンマンデラ』というアルバムを発表したり、反戦の意志を表明するため全米ツアーを取りやめたりと硬骨漢のようであるし、ユニセフの親善大使でもある。<今日の画像参照>
http://www.africa-news.jp/news_sBYMpDLcv.html

では、彼が批判したという現大統領はどんな人物なのか。これも調べてみた。アブドゥライ・ワッド氏。元ダカール大学の法経学部長から野党政治家になり、2007年に決選投票で大統領に選出されている。大統領の任期を7年から5年にするなど、改革派に見えるが、2010年4月、セネガル独立50周年を期して、長年のアイデアである「アフリカ・ルネサンス像」を完成させた。

おそらくユッスー・ウンドール氏が批判したのは、この「アフリカ・ルネサンス像」にまつわる事だと思われる。高さ約50m。ブロンズ像としては自由の女神をしのぐ巨大な像である。ひと組の男女と子どもが大西洋上の西の空を見上げている。数世紀にもおよぶ無知・忍耐・人種差別から自らを開放したアフリカを象徴しているのだとか。旧ソ連を連想するデザインだが、設計はセネガル人。建設費は約19億円(20億円超という説もある。)。施行はなんと北朝鮮で、セネガルの国有地を北朝鮮に売却する形で支払われたという。(民間に国有地を売却して捻出したとの説もある。)この像による観光収入は65%が国庫に、35%は発案者のアブドゥライ・ワッド氏に支払われるのだという。この像については、完成前から非難が続出したらしい。そりゃあそうだよなあ。どうも権力者というのは、歴史的に見てもハコモノが好きだ。自分の権力でなにか残したいらしい。私はこの像が無意味だとは思わない。観光目的に巨大なものを作るのも悪いことではない。(あの4人の大統領を岸壁に彫ったマウント・ラッシュモアだって観光目的でつくられたものだ。)ただ国力に対して費用がかかりすぎだし、その収入が現大統領とその息子が総裁を務める管理団体に流れると言うのは、私物化の誹りを免れないだろう。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2634759/4499069

「へぇー。ミュージシャンが大統領選挙に出馬ねえ。」という思いで調べてみたら、北朝鮮が施行した巨大ブロンズ像が飛び出してきたのだった。

追記:mackeeさん、32人目の読者登録ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

2 件のコメント:

  1. tsujiさん、さすがに情報早いですね~。僕も今日ビックリしました。アフリカで人気のある歌手の多くはレジスタンスを旨とした、反権力的な歌を歌っていると思います。アフリカで人気のあるレゲエを歌う歌手、代表格としてコートジボアールのアルファ・ブロンディ、ブルキナファソでもフロビィなんかもその中の一人。
    ただ、こうした歌手が権力の側に身を置くのは、もしかしたらアフリカでは初めてかもしれません。アブデュライ・ワッド父子がどうやって動くのか、また、民衆が世界的人気歌手のユッス・ンドゥールにどう反応するのか、注目しておかねばなりませんね。

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  2. 荒熊さん、さっそくコメントありがとうございます。私はアフリカン・ポップスに無知ですので、ナイス・フォローありがとうございます。タイトルで「波乱」と表現しましたが、これが「激震」や「混乱」にならないように祈っています。現大統領父子がどうでるか、心配ですね。

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