2012年1月30日月曜日

『震災から考える国際協力』

前任校から逓送便が届いた。中身は、昨年「国際理解教育学会の高校の先生方へ」というアンケートに答えた宮城県立仙台H高校のI先生からのものだった。東北大学大学院教育研究科の昨年6月11日付の「研究年報」の抜刷で『高等学校におけるグローバル教育のアセスメント指標と実践枠組みに関する研究』が入っていた。かなり重厚な研究論文であった。
もう1つ、同封されていたのは、DEAR(開発教育協会)のニュースに発表された実践事例報告だった。テーマは、「震災から考える国際協力と私たち」で、英語科の2年生の学校設定科目「グローバル・シティズンシップ」(2コマ連続授業)選択者18名の授業である。すでに公にされている内容だと思われるし、私のブログを見ていただいている方の中で、ESDに興味を持っておられる方もおられると思うので、是非ともその素晴らしい実践の概要を紹介したい。

いうまでもなく、仙台は先日の大震災の被害を受けた。I先生は「震災を開発教育に取り入れる意義は大きい。」と考えられた。実際生徒の中には、ライフラインの断絶だけでなく家屋の津波被害にあっている生徒もいたという。真剣に取り組み、また実感を伴って国際理解・協力を学べたのではないかと感想に書かれてている。さて、授業は大きく4つの構成になっている。

準備(宿題):海外からの支援協力をまとめる 自分の知っているあるいは調べた範囲で、震災に対する海外からの支援について調べる。
STAGE1:東日本大震災への国際支援について知ろう
①発表準備。まとめてきた支援国の分だけ、付箋に名前を書いておく。
②付箋を持ち、1人ひとりが前に出て、自分の把握した支援内容を口頭で発表、それを大きな地球儀のその国の上に貼る。
STAGE2:国際協力の意義、必要性、あり方について学ぶ
①全員の付箋が地球儀に貼られたら、どんな特徴があるか、また発表を聞いて、わかったこと・感じたことを話し合う。
発問:なぜ支援してくれるのか?どんなところから支援がきているのか?
発問:付箋がつかなかった国からは、支援がなかった、あるは少なかったのか?
発問:恩返しといって協力を申し出た国が多くあるが、それはどういうものなのか?
発問:日本はどのような国に、そのような支援をしているのか?
補足:ODAの説明等。
STAGE3:開発途上国の現状と私たちの暮らし
①ライフラインがままならない途上国の現状・救援を要請できない忘れられた地域や人々の存在
発問:今回の震災でのライフラインの断絶についての実体験
補足:途上国のライフラインについて
補足と発問:日本には130国もの支援の手が差し伸べられたが、忘れられた人々・子どもたちがいる。このことをどう考えるか?
②まとめと振り返り

授業では、アメリカや韓国にたくさんの付箋が付いたらしい。仙台空港のトモダチ作戦などが大きく報道されたからであろう。同時に、メディアリテラシーの認識も生徒に認識させるようにしている。I先生自身、かなり詳細に調べられたのだと思う。ここから途上国の現状やライフラインに向けて生徒に発信するアイディアは素晴らしいと私は思う。さらに詳細を知りたい方はDEAR(開発教育協会)のニュースバックナンバーを開発教育協会で販売しているようである。(152号に掲載されている。)
http://www.dear.or.jp/book/book03_nl.html

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